青木健『マニ教』(講談社、2010年11月)
講談社選書メチエよりマニ教の概説書がでました。
なお、書名は「マニ教」となってますが、
本文中では一貫して原音に近い「マーニー教」としています。
第一章はマーニー教研究資料の発見史、
第二章はマーニーの生涯、第三章はマーニー教の教義、
第四章~第八章はマーニー殉死後のマーニー教史。
第八章では中国におけるマーニー教について紹介。
マーニー教の教義と歴史がよくわかる一冊。
各地の様々な時代・言語の文献から、
今は亡き宗教を研究する難しさとおもしろさが伝わってくる。
マーニー教と先行宗教との関係性もまとめられていて、
なかでもゾロアスター教との関係がとても興味深い。
従来、マーニー教の善悪二元論は、
ゾロアスター教の影響で成立したものとされていたが、
近年の研究では、むしろ、一神教的だったゾロアスター教が、
マーニー教の影響で二元論的教義に変化していったと理解されているらしい。
2010年11月11日木曜日
シンポジウム「源氏物語と唐代伝奇」
シンポジウム「源氏物語と唐代伝奇」
日時:2010年12月11日(土)13:00~18:00
場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー13階 1136教室
主催:明治大学古代学研究所
報告
河野貴美子「古註釈からみる源氏物語と唐代伝奇」
芝崎有里子「落窪物語と遊仙窟」
新間一美「源氏物語と遊仙窟ー夕顔巻・若紫巻を中心にー」
日向一雅「明石巻の光源氏と明石君の出会いと別れー『鶯鶯伝』との比較ー」
陳明姿「唐代伝奇と『源氏物語』における夢物語ー「夢遊」類型の夢物語を中心にしてー」
仁平道明「『源氏物語』と唐代伝奇の〈型〉」
日時:2010年12月11日(土)13:00~18:00
場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー13階 1136教室
主催:明治大学古代学研究所
報告
河野貴美子「古註釈からみる源氏物語と唐代伝奇」
芝崎有里子「落窪物語と遊仙窟」
新間一美「源氏物語と遊仙窟ー夕顔巻・若紫巻を中心にー」
日向一雅「明石巻の光源氏と明石君の出会いと別れー『鶯鶯伝』との比較ー」
陳明姿「唐代伝奇と『源氏物語』における夢物語ー「夢遊」類型の夢物語を中心にしてー」
仁平道明「『源氏物語』と唐代伝奇の〈型〉」
2010年11月8日月曜日
現代アート調査と考察
牧陽一「現代アート調査と考察 2008・2009 広州・上海・北京―消費されないこと Face up to Reality」(『埼玉大学紀要(教養学部)』45-2、2010年3月)
珍しく大学紀要に中国現代アート関連の論文が載っていたので紹介します。
著者は、『中国現代アート』(講談社、2007年2月)や
『アヴァン・チャイナ』(木魂社、1998年9月)などを上梓している
中国現代アートの研究者。
2008年・2009年に広州・上海・北京で見た展覧会・作品の解説。
鮮明な問題意識を持った作品を中心に取り上げている。
「政治体制」に属さず、現実を批判する力を持ち、
なおかつ「商品化」をも拒否する作品は、確かにかっこいい。
でも、ちょっと、「商品化」した作品や、問題意識の希薄な作品に対して、
否定的過ぎるような気がしないでもない。
珍しく大学紀要に中国現代アート関連の論文が載っていたので紹介します。
著者は、『中国現代アート』(講談社、2007年2月)や
『アヴァン・チャイナ』(木魂社、1998年9月)などを上梓している
中国現代アートの研究者。
2008年・2009年に広州・上海・北京で見た展覧会・作品の解説。
鮮明な問題意識を持った作品を中心に取り上げている。
「政治体制」に属さず、現実を批判する力を持ち、
なおかつ「商品化」をも拒否する作品は、確かにかっこいい。
でも、ちょっと、「商品化」した作品や、問題意識の希薄な作品に対して、
否定的過ぎるような気がしないでもない。
東アジア海域叢書刊行開始
以前の日記でちょっとふれた「にんぷろ」科研の成果をまとめた
東アジア海域叢書全20巻の刊行が、先月はじまりました。
第一弾は山本英史編『近世の海域世界と地方統治』(汲古書院、2010年10月)。
以下にラインナップをまとめます。
井上徹編『海域交流と政治権力の対応』(12月発売予定)
勝山稔編『小説・芸能から見た海域交流』(2011年1月発売予定)
吉尾寛編『海域世界の環境と文化』(2011年3月発売予定)
市来津由彦他編『江戸儒学の中庸注釈と海域世界』(2011年4月発売予定)
須江隆編『碑と地方志のアーカイブズを探る』
平田茂樹・遠藤隆俊編『外交史料から十~十四世紀を探る』
高橋忠彦編『浙江の茶文化を学際的に探る』
松田吉郎編『寧波の水利と人びとの生活』
山川均編『寧波と宋風石造文化』
伊藤幸司・中島楽章編『寧波と博多を往来する人と物』
藤田明良編『蒼海に響きあう祈りの諸相』
堀川貴司・浅見洋二編『蒼海に交わされる詩文』
森平雅彦編『中近世の朝鮮半島と海域交流』
小島毅編『中世日本の王権と禅・儒学』
藪敏裕編『平泉文化の国際性と地域性』
横手裕編『儒仏道三教の交響と日本文化』
加藤徹編『明清楽の伝来と受容』
井出誠之輔編『聖地寧波の仏教美術』
藤井恵介編『大宋諸山図・五山十刹図 注解』
A5判上製箱入、平均350頁、予価各7350円。
近年、これだけの成果をあげた東洋史関連の科研費って、他にあるのだろうか。
量より質という意見もあるだろうけど、各論文もかなりおもしろそう。
東アジア海域叢書全20巻の刊行が、先月はじまりました。
第一弾は山本英史編『近世の海域世界と地方統治』(汲古書院、2010年10月)。
以下にラインナップをまとめます。
井上徹編『海域交流と政治権力の対応』(12月発売予定)
勝山稔編『小説・芸能から見た海域交流』(2011年1月発売予定)
吉尾寛編『海域世界の環境と文化』(2011年3月発売予定)
市来津由彦他編『江戸儒学の中庸注釈と海域世界』(2011年4月発売予定)
須江隆編『碑と地方志のアーカイブズを探る』
平田茂樹・遠藤隆俊編『外交史料から十~十四世紀を探る』
高橋忠彦編『浙江の茶文化を学際的に探る』
松田吉郎編『寧波の水利と人びとの生活』
山川均編『寧波と宋風石造文化』
伊藤幸司・中島楽章編『寧波と博多を往来する人と物』
藤田明良編『蒼海に響きあう祈りの諸相』
堀川貴司・浅見洋二編『蒼海に交わされる詩文』
森平雅彦編『中近世の朝鮮半島と海域交流』
小島毅編『中世日本の王権と禅・儒学』
藪敏裕編『平泉文化の国際性と地域性』
横手裕編『儒仏道三教の交響と日本文化』
加藤徹編『明清楽の伝来と受容』
井出誠之輔編『聖地寧波の仏教美術』
藤井恵介編『大宋諸山図・五山十刹図 注解』
A5判上製箱入、平均350頁、予価各7350円。
近年、これだけの成果をあげた東洋史関連の科研費って、他にあるのだろうか。
量より質という意見もあるだろうけど、各論文もかなりおもしろそう。
第40回中央アジア学フォーラム
中央アジア学フォーラムのお知らせ(第40回)
日程: 2010年12月4日(土)13:30~18:00
場所:大阪大学豊中キャンパス・文法経本館・2階大会議室
[研究発表]
松田和信「アフガニスタンの仏教写本その後」
[論文紹介]
福島恵「張乃翥「洛陽景教経幢与唐東都”感徳郷”的胡人聚落」『中原文物』2009-2, pp. 98-106」(洛陽のソグド人に関する墓誌情報をからめて報告)」
[新刊紹介]
中田美絵「葛承雍(主編)『景教遺珍──洛陽新出唐代景教経幢研究』(北京:文物出版社,2009年刊)」
日程: 2010年12月4日(土)13:30~18:00
場所:大阪大学豊中キャンパス・文法経本館・2階大会議室
[研究発表]
松田和信「アフガニスタンの仏教写本その後」
[論文紹介]
福島恵「張乃翥「洛陽景教経幢与唐東都”感徳郷”的胡人聚落」『中原文物』2009-2, pp. 98-106」(洛陽のソグド人に関する墓誌情報をからめて報告)」
[新刊紹介]
中田美絵「葛承雍(主編)『景教遺珍──洛陽新出唐代景教経幢研究』(北京:文物出版社,2009年刊)」
2010年11月5日金曜日
旧石器遺跡捏造事件
岡村道雄『旧石器遺跡捏造事件』(山川出版社、2010年11月)
旧石器遺跡捏造事件の「第一次関係者」に
位置付けられてしまった著者が語る旧石器遺跡捏造事件。
各遺跡における捏造の状況などを紹介し、
25年間にわたって、捏造を見抜けなかった背景を説明している。
疑問ある石器でも、自説に近ければ問題視せず、
合理化を図っていた様子が描かれている。
一般向けということで、詳細な分析などは無いし、
先日読んだ『旧石器捏造事件の研究』の疑問が
解消されるわけではないけれど、これはこれで、一気に読んでしまった。
212頁~216頁には、2009年末に藤村新一氏に会った時のある意味衝撃的な様子が記されている。結局、捏造事件については何も語らなかったらしい。
当事者が語らない(語れない)以上、
これ以上、事件の真相を追うのは難しいだろうなぁ。
ただ、『旧石器捏造事件の研究』や本書でも指摘されているように、
考古学界の一部で、捏造事件の教訓が生かされてない状況にあるのが怖い。
旧石器遺跡捏造事件の「第一次関係者」に
位置付けられてしまった著者が語る旧石器遺跡捏造事件。
各遺跡における捏造の状況などを紹介し、
25年間にわたって、捏造を見抜けなかった背景を説明している。
疑問ある石器でも、自説に近ければ問題視せず、
合理化を図っていた様子が描かれている。
一般向けということで、詳細な分析などは無いし、
先日読んだ『旧石器捏造事件の研究』の疑問が
解消されるわけではないけれど、これはこれで、一気に読んでしまった。
212頁~216頁には、2009年末に藤村新一氏に会った時のある意味衝撃的な様子が記されている。結局、捏造事件については何も語らなかったらしい。
当事者が語らない(語れない)以上、
これ以上、事件の真相を追うのは難しいだろうなぁ。
ただ、『旧石器捏造事件の研究』や本書でも指摘されているように、
考古学界の一部で、捏造事件の教訓が生かされてない状況にあるのが怖い。
2010年11月4日木曜日
平成22年度白東史学会大会
平成22年度白東史学会大会
日時:12月4日(土)14:00~17:20
場所:中央大学駿河台記念会館330号室
報告
14:00~15:00 山元貴尚「前漢前半期における領域について」
日時:12月4日(土)14:00~17:20
場所:中央大学駿河台記念会館330号室
報告
14:00~15:00 山元貴尚「前漢前半期における領域について」
15:10~16:10 西川和孝「雲南省普洱における漢人移民と茶山開発について―清朝後期から民国期を中心にして―」
16:20~17:20 妹尾達彦「ケンブリッジ東洋学の今日」
2010年11月3日水曜日
旧石器捏造事件の研究
角張淳一『旧石器捏造事件の研究』(鳥影社、2010年5月)
不覚なことに、かなり前に出ていたのに気付きませんでした。
別の本を探していて、偶然発見。目次をみて即座に購入しました。
章立は次の通り。
第一章「旧石器捏造事件とはどんな事件か」
第二章「捏造事件の本質と構造」
第三章「石器研究法から見た捏造事件」
第四章「学史からみた捏造事件」
第五章「あとがきにかえて―捏造事件から未来の考古学へ」
衝撃の旧石器捏造事件の発覚から、10年が経とうとしています。
その後の「検証」で、1975年頃から約25年にわたる捏造が明らかとなり、
旧石器考古学が根底から覆されてしまいました。
さて、この事件については、毎日新聞の一連の記事と
毎日新聞の取材班がまとめた『発掘捏造』(新潮文庫、2003年6月、初版2001年)と『古代史捏造』(新潮文庫、2003年10月、初版2002年)を読んだだけです。2003年にぶあつい報告書が出たのは知ってましたが、考古学専攻ではないし、そもそも古書価格が高いこともあって読んでません。その後、いつしか興味も薄れ、関連書籍を追いかけることはしていませんでした。
本書の著者は、捏造発覚前に疑問を明示していた数少ない研究者の一人です。
今回、『旧石器捏造事件の研究』を読んで、別の意味で大きなショックを受けました。本書では、第一章で捏造事件と考古学協会特別委員会の「検証」のあらましを述べた後、第二章で詳細に捏造事件の構造について分析しています。
捏造事件はおおまかにみると、
前半期(70年代後半~90年代初頭)の公的機関による発掘下で行われた、
「理論」に合致した緻密な捏造と、
後半期(90年初頭~2000年)の東北旧石器文化研究所設立後の
縄文石器に酷似する石器を用いた雑な捏造の二期にわかれるとし、
様々な角度から前半期の捏造が根拠としたと思われる「理論」について詳細な検討を加えています。果たして前半期の捏造は、専門的訓練を受けていないアマチュアに可能なのだろうか。
そこで示唆されている旧石器捏造事件の構造は、まことに恐るべきものです。
そして第四章によれば、その構造は、遡って岩宿遺跡の発見にもうかがえるとしています。(ただし、岩宿遺跡の「第一発見者」である相沢忠洋氏は、その構造に含まれていないとしています)
果たして、本書で指摘されている構造が、事実であるか否かは
考古学の素人である僕には、よくわかりません。
ただ、少なくとも「理論」の危うさに関する指摘は、説得力あったように思います。
しっかりとした書評がなされることを願うばかりです。
ひとまず来年の回顧と展望の要チェック項目が一つ増えました。
さてさて、とりあえず次は、昨日出たばかりの、
岡村道雄『旧石器遺跡捏造事件』(山川出版社、2010年11月)を
早急に購入して読んでみたいと思います。
不覚なことに、かなり前に出ていたのに気付きませんでした。
別の本を探していて、偶然発見。目次をみて即座に購入しました。
章立は次の通り。
第一章「旧石器捏造事件とはどんな事件か」
第二章「捏造事件の本質と構造」
第三章「石器研究法から見た捏造事件」
第四章「学史からみた捏造事件」
第五章「あとがきにかえて―捏造事件から未来の考古学へ」
衝撃の旧石器捏造事件の発覚から、10年が経とうとしています。
その後の「検証」で、1975年頃から約25年にわたる捏造が明らかとなり、
旧石器考古学が根底から覆されてしまいました。
さて、この事件については、毎日新聞の一連の記事と
毎日新聞の取材班がまとめた『発掘捏造』(新潮文庫、2003年6月、初版2001年)と『古代史捏造』(新潮文庫、2003年10月、初版2002年)を読んだだけです。2003年にぶあつい報告書が出たのは知ってましたが、考古学専攻ではないし、そもそも古書価格が高いこともあって読んでません。その後、いつしか興味も薄れ、関連書籍を追いかけることはしていませんでした。
本書の著者は、捏造発覚前に疑問を明示していた数少ない研究者の一人です。
今回、『旧石器捏造事件の研究』を読んで、別の意味で大きなショックを受けました。本書では、第一章で捏造事件と考古学協会特別委員会の「検証」のあらましを述べた後、第二章で詳細に捏造事件の構造について分析しています。
捏造事件はおおまかにみると、
前半期(70年代後半~90年代初頭)の公的機関による発掘下で行われた、
「理論」に合致した緻密な捏造と、
後半期(90年初頭~2000年)の東北旧石器文化研究所設立後の
縄文石器に酷似する石器を用いた雑な捏造の二期にわかれるとし、
様々な角度から前半期の捏造が根拠としたと思われる「理論」について詳細な検討を加えています。果たして前半期の捏造は、専門的訓練を受けていないアマチュアに可能なのだろうか。
そこで示唆されている旧石器捏造事件の構造は、まことに恐るべきものです。
そして第四章によれば、その構造は、遡って岩宿遺跡の発見にもうかがえるとしています。(ただし、岩宿遺跡の「第一発見者」である相沢忠洋氏は、その構造に含まれていないとしています)
果たして、本書で指摘されている構造が、事実であるか否かは
考古学の素人である僕には、よくわかりません。
ただ、少なくとも「理論」の危うさに関する指摘は、説得力あったように思います。
しっかりとした書評がなされることを願うばかりです。
ひとまず来年の回顧と展望の要チェック項目が一つ増えました。
さてさて、とりあえず次は、昨日出たばかりの、
岡村道雄『旧石器遺跡捏造事件』(山川出版社、2010年11月)を
早急に購入して読んでみたいと思います。
2010年10月31日日曜日
第108回史学会大会
第108回史学会大会
日程:11月6日(土)・7日(日)
場所:東京大学法文1号館・2号館
11月6日(土)13:00~ 法文2号館1番大教室
公開シンポジウム「越境する歴史学と歴史認識」
桜井万里子「グローバル化時代の歴史認識―古代ギリシア人の自己認識という視座から考える」
古畑徹「渤海国をめぐる日中韓の歴史認識」
野村眞理「二つの顔を持つ国―第二次世界大戦後オーストリアの歴史認識問題」
永島広紀「日本の朝鮮統治と「整理/保存」される古蹟・旧慣・史料」
コメント:村井章介・吉澤誠一郎・加藤陽子
討論
11月7日(日) *日本史部会は中国史関係を中心に列挙
日本史部会<第1会場> 法文2号館1番大教室
[古代]9:30~12:00
須原祥二「中臣鎌足のつくった「令」について」
河野保博「日唐厩牧令の比較からみる日本古代交通体系の特質」
志村佳名子「日本古代の朝参制度と上日の意義」
[中世]13:00~17:00
オラー・チャバ「遣明使節の貿易活動と中国の牙行・商人――「信票」の導入とその背景をめぐって」
屋良健一郎「琉球王国辞令書の様式変化に関する考察」
日本史部会<第2会場> 法文2号館2番大教室
[近世]10:00~12:00
鴨頭俊宏「漂着異国人の移送情報をとおして見る寛政年間の幕藩体制―中国人太平洋岸漂着と朝鮮人日本海沿岸漂着の対比から」
東洋史部会 法文1号館113番教室 9:30~17:00
曺貞恩「中国医療伝道協会と清末社会―福建の医療宣教師ホイットニーの事例から」
宮古文尋「翁同龢の免職帰郷と戊戌政変―変法運動と外国人の処遇問題」
佐野実「明治日本における外国公債引受・発行の過程について―郵伝部公債と横浜正金銀行」
上出徳太郎「清末、省制時期の新疆における伊犂将軍」
橘誠「ボグド・ハーン政権におけるチンギス・ハーンの表象―八白宮のフレー移転計画をめぐって」
昼休み 12:00~13:00
麻田雅文「中東鉄道の敷設決定過程再考―ロシアはなぜ「満洲」に鉄道を敷いたのか」
守田まどか「16世紀イスタンブルにおける街区とイマームへの寄進―『ワクフ調査台帳』の分析を中心に」
会田大輔「令狐徳棻等撰『周書』の北周像の形成―隋唐初の諸史史料との比較を通じて」
福永善隆「内朝の形成―宮中諸官の変遷を中心として」
藤野月子「和蕃公主の降嫁における儀礼について」
林美希「唐代前期における北衙禁軍の展開と宮廷政変」
鄭東俊「古代東アジアにおける律令の伝播と変容についての試論―高句麗・百済律令における所謂「泰始律令継受説」をめぐって」
辻大和「17世紀初頭朝鮮の対外貿易と明朝の干渉」
日程:11月6日(土)・7日(日)
場所:東京大学法文1号館・2号館
11月6日(土)13:00~ 法文2号館1番大教室
公開シンポジウム「越境する歴史学と歴史認識」
桜井万里子「グローバル化時代の歴史認識―古代ギリシア人の自己認識という視座から考える」
古畑徹「渤海国をめぐる日中韓の歴史認識」
野村眞理「二つの顔を持つ国―第二次世界大戦後オーストリアの歴史認識問題」
永島広紀「日本の朝鮮統治と「整理/保存」される古蹟・旧慣・史料」
コメント:村井章介・吉澤誠一郎・加藤陽子
討論
11月7日(日) *日本史部会は中国史関係を中心に列挙
日本史部会<第1会場> 法文2号館1番大教室
[古代]9:30~12:00
須原祥二「中臣鎌足のつくった「令」について」
河野保博「日唐厩牧令の比較からみる日本古代交通体系の特質」
志村佳名子「日本古代の朝参制度と上日の意義」
[中世]13:00~17:00
オラー・チャバ「遣明使節の貿易活動と中国の牙行・商人――「信票」の導入とその背景をめぐって」
屋良健一郎「琉球王国辞令書の様式変化に関する考察」
日本史部会<第2会場> 法文2号館2番大教室
[近世]10:00~12:00
鴨頭俊宏「漂着異国人の移送情報をとおして見る寛政年間の幕藩体制―中国人太平洋岸漂着と朝鮮人日本海沿岸漂着の対比から」
東洋史部会 法文1号館113番教室 9:30~17:00
曺貞恩「中国医療伝道協会と清末社会―福建の医療宣教師ホイットニーの事例から」
宮古文尋「翁同龢の免職帰郷と戊戌政変―変法運動と外国人の処遇問題」
佐野実「明治日本における外国公債引受・発行の過程について―郵伝部公債と横浜正金銀行」
上出徳太郎「清末、省制時期の新疆における伊犂将軍」
橘誠「ボグド・ハーン政権におけるチンギス・ハーンの表象―八白宮のフレー移転計画をめぐって」
昼休み 12:00~13:00
麻田雅文「中東鉄道の敷設決定過程再考―ロシアはなぜ「満洲」に鉄道を敷いたのか」
守田まどか「16世紀イスタンブルにおける街区とイマームへの寄進―『ワクフ調査台帳』の分析を中心に」
会田大輔「令狐徳棻等撰『周書』の北周像の形成―隋唐初の諸史史料との比較を通じて」
福永善隆「内朝の形成―宮中諸官の変遷を中心として」
藤野月子「和蕃公主の降嫁における儀礼について」
林美希「唐代前期における北衙禁軍の展開と宮廷政変」
鄭東俊「古代東アジアにおける律令の伝播と変容についての試論―高句麗・百済律令における所謂「泰始律令継受説」をめぐって」
辻大和「17世紀初頭朝鮮の対外貿易と明朝の干渉」
2010年10月24日日曜日
三国志研究第五号
『三国志研究』第五号(三国志学会、2010年9月)
目次は以下の通り。
【講演】
川合康三「身を焼く曹植」
【論考】
並木淳哉「蜀漢政権における権力構造の再検討」
髙橋康浩「韋昭「博奕論」と儒教的理念」
島田悠「孫呉滅亡後の三呉―西晋の三呉支配―」
上原究一「「漢兒」なる張飛―金末の張飛人気と「燕人」の来源―」
竹内真彦「青龍刀と赤兎馬―関羽像の「完成」過程―」
中川諭「黄正甫刊『三国志伝』三考」
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語小考」
田村彩子「川劇三国戯「上方谷」をめぐって」
藤巻尚子「『太平記鈔』における三国志の受容―『太平記賢愚鈔』との比較を始点として―」
清岡美津夫「現代日本における三国要素の変容と浸透―アクセス集計を事例に―」
【文献目録】
朝山明彦「関帝信仰研究文献目録【和文編】」
【資料整理】
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語翻刻」
【翻訳】
増田真意子「周澤雄著「文和乱武」―詐欺師的策謀家から有徳の大臣へ―」
【雑纂】
前川貫治「三国志迷いの旅(四)―安徽・江蘇の旅―」
歴史・文学・版本学・演劇・日本における三国志受容など、
様々なジャンルの論考があって、読み応えがある。
号を重ねるごとに、徐々に歴史分野の論考の割合が減っている気もするけど、
それはそれで、まぁ、いいのかもしれない。
(四号は東方学会の原稿が掲載されているので、歴史分野が多く見えるが、
論考だけを見ると、意外に歴史分野の割合は低い)
若干、気になったこととして、
資料整理の翻刻は、後藤論文の直後につけたほうが、効果的だったように思える。
あと、翻訳については、書誌情報・作者などに関する解題がついておらず、
掲載意義がよくわからなかった。
個人的には、清岡論文のサイトのアクセス集計から見る
現代日本の三国志受容の様相が興味深かった。
ゲームやアニメなどの三国志的要素を持った作品の流行・受容が、
三国志などの根源に関心を向ける動きにつながる様子は、
アクセス集計を見る限り確認できない、という結論は重要な指摘なようにも思える。
多分、実際にはゲームやアニメから、三国志そのものに興味を持つ人も出てくるだろうし、もともと興味ある人がゲームやアニメにも関心を持つこともあるだろうから、
一概にいえないだろうけど、必ずしもゲーム・アニメなどの流行が、
三国志人気につながるわけではない、というのは間違いないだろう。
三国志ですら、そうなのだから、
ましてやゲームもアニメもな~んにもない他の時代では……。
目次は以下の通り。
【講演】
川合康三「身を焼く曹植」
【論考】
並木淳哉「蜀漢政権における権力構造の再検討」
髙橋康浩「韋昭「博奕論」と儒教的理念」
島田悠「孫呉滅亡後の三呉―西晋の三呉支配―」
上原究一「「漢兒」なる張飛―金末の張飛人気と「燕人」の来源―」
竹内真彦「青龍刀と赤兎馬―関羽像の「完成」過程―」
中川諭「黄正甫刊『三国志伝』三考」
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語小考」
田村彩子「川劇三国戯「上方谷」をめぐって」
藤巻尚子「『太平記鈔』における三国志の受容―『太平記賢愚鈔』との比較を始点として―」
清岡美津夫「現代日本における三国要素の変容と浸透―アクセス集計を事例に―」
【文献目録】
朝山明彦「関帝信仰研究文献目録【和文編】」
【資料整理】
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語翻刻」
【翻訳】
増田真意子「周澤雄著「文和乱武」―詐欺師的策謀家から有徳の大臣へ―」
【雑纂】
前川貫治「三国志迷いの旅(四)―安徽・江蘇の旅―」
歴史・文学・版本学・演劇・日本における三国志受容など、
様々なジャンルの論考があって、読み応えがある。
号を重ねるごとに、徐々に歴史分野の論考の割合が減っている気もするけど、
それはそれで、まぁ、いいのかもしれない。
(四号は東方学会の原稿が掲載されているので、歴史分野が多く見えるが、
論考だけを見ると、意外に歴史分野の割合は低い)
若干、気になったこととして、
資料整理の翻刻は、後藤論文の直後につけたほうが、効果的だったように思える。
あと、翻訳については、書誌情報・作者などに関する解題がついておらず、
掲載意義がよくわからなかった。
個人的には、清岡論文のサイトのアクセス集計から見る
現代日本の三国志受容の様相が興味深かった。
ゲームやアニメなどの三国志的要素を持った作品の流行・受容が、
三国志などの根源に関心を向ける動きにつながる様子は、
アクセス集計を見る限り確認できない、という結論は重要な指摘なようにも思える。
多分、実際にはゲームやアニメから、三国志そのものに興味を持つ人も出てくるだろうし、もともと興味ある人がゲームやアニメにも関心を持つこともあるだろうから、
一概にいえないだろうけど、必ずしもゲーム・アニメなどの流行が、
三国志人気につながるわけではない、というのは間違いないだろう。
三国志ですら、そうなのだから、
ましてやゲームもアニメもな~んにもない他の時代では……。
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