2012年7月16日月曜日

史料からみる中国法史

石岡浩・川村康・七野敏光・中村正人『史料からみる中国法史』(法律文化社、2012年7月)

中国法史の入門書。教科書であることを意識しているので、前近代中国の法をわかりやすくまとめている。現代日本法との比較も興味深い。

「第1部 法と刑罰」では、律令体系と五刑の形成・変容をまとめていて、中国法史の全体像をつかむことができる。続く第2部から第4部は具体的事例をもとに個別の内容を解説している。
「第2部 法と裁判」では、裁判の構造、拷問、誤判への対処、法と道徳が抵触した場合にどのように対処したかなどを取り上げている。「第3部 刑事法」では、高齢者や年少者の扱い、自首、正当防衛など。「第4部 家族法」では、婚姻、離婚と再婚、家産の継承、養子。

いずれも身近なトピックで、現代日本法との違いや意外な共通点も示されていて、とても面白い。ヒューリックのディー(狄)判事シリーズを読んでいるところだったので、なおのこと楽しめた。法と道徳の問題や養子・家産の継承などは、中国史概説でも言及する箇所なので、とても参考になった。さっそく活かしていきたい。