2010年3月17日水曜日

罽賓李氏一族攷

福島恵「罽賓李氏一族攷―シルクロードのバクトリア商人」(『史学雑誌』119-2、2010年2月)

2005年に発見された北周の「李誕墓誌」と、その子・孫の墓誌を分析。
「李誕墓誌」中の罽賓をカピシー(カブール川上流)とし、
カピシー出身バクトリア人がソグド人と強固なつながりをもって、
ともに交易活動を行い、中国に流入してきたとする。

唐宋時代刑罰制度の研究

辻正博『唐宋時代刑罰制度の研究』(京都大学学術出版会、2010年2月)

東洋史研究叢刊の七十四。
追放刑と労役刑に焦点をしぼり、唐宋時代の刑罰制度の特質に迫る。
唐代と宋代の追放刑の位置づけ・あり方の変容について考察している。
附篇には「唐代貶官考」と「天聖獄官令と宋初の司法制度」がおさめられている。
まだ序論しか読んでいないが、読み応えがありそう。

唐王朝をどう考えるか

『歴史評論』No.720(2010年4月号)は、まさかの唐代史特集。

特集:唐王朝をどう考えるか。
石見清裕「唐の成立と内陸アジア」
金子修一「唐朝と皇帝祭祀」
山根清志「身分制の特質から見た唐王朝」
妹尾達彦「長安の変貌」
西村陽子「9-10世紀の沙陀突厥の活動と唐王朝」

いずれも自説を軸に概括している。
西村氏のみは個別研究的。