2012年12月23日日曜日

敦煌の民族と東西交流

栄新江著、高田時雄監訳、西村陽子訳『敦煌の民族と東西交流』(東方書店、2012年12月)

敦煌の歴史を東西交流・民族に軸を据えてフルカラーで紹介。概説書で扱われることが少ない吐蕃・帰義軍・ウイグル時代の敦煌統治・敦煌仏教や于闐との関係についても詳しい。敦煌が中国史の枠だけでとらえられない場所であることがよくわかる。

目次は以下の通り。
一、月氏 古代敦煌の白人種
二、玉門関と懸泉置 漢代の関城と宿駅
三、仏教東漸 敦煌の仏教都市空間
四、ソグド商胡と敦煌の胡人聚落
五、吐蕃の敦煌統治とチベット文化の貢献
六、帰義軍時期のシルクロード
七、ウイグルと敦煌
八、于闐と沙州

ちなみに、本書のなかには、監訳者あとがき等はなく、翻訳の経緯は不明。一見すると日本オリジナルに見えるが、東方書店のHPを見ると、柴剣紅主編の敦煌歴史文化絵巻シリーズの第一弾で、「中国における敦煌学の第一人者が多数のカラー図版とともに一般読者に向けて書き下ろし、高い評価を受けた「走近敦煌叢書」の日本語版。日中共同出版。シリーズ全3巻予定。」とあり、原書は『華戎交匯―敦煌民族与中西交通/走近敦煌叢書』(甘粛教育出版社、2008)だそうだ。本の中に刊行経緯や原書の記載が一切ないのはなぜなのだろうか。

汲古62

古典研究会編『汲古』62(汲古書院、2012年12月)

漢籍に関係するものは以下の通り。
渡辺滋「日本古代史料に見える「揚名」の語義―『孝経』の原義との関係」
長坂成行「篠屋宗礀と多福文庫旧蔵本」
成家徹郎「『漢書藝文志』“暦譜”の意味」
大塚紀弘「平安後期の入宋僧と北宋新訳仏典」
鶴成久章「陽明学の聖地に残された石刻―「天真精舎勒石」について」
田中有紀「『朱子語類』巻九十四訳注(十四)」

今号も内容が多岐にわたっていて、読みごたえがある。