2012年11月29日木曜日

董啓章氏講演会「未来の考古学」

董啓章氏講演会 「未来の考古学」
日時:12月8日(土) 15:00~17:30
会場:東大文学部法文二号館2大教室
入場無料

司会:中島京子/コメンテーター:野崎歓
15:00~16:30 董啓章「未来の考古学―21世紀初の香港エクリチュール」
16:30~17:00 コメント野崎歓
17:00~17:20 参加者との質疑応答
17:30 閉会

今年、『地図集』が日本で出版された香港の作家、
董啓章氏の講演会。
『地図集』面白かったから、
気になるなぁ。

2012年11月28日水曜日

茶経 全訳注

布目潮渢『茶経 全訳注』(講談社学術文庫、2012年10月)

2001年8月に淡交社から出た『茶経詳解』の文庫化。新たに付された解説などはないため、淡交社版を持っている人には、買う意味がなさそう。
僕は淡交社版を持ってなかったので購入。『茶経詳解』は定価5000円強だし、そもそも絶版で手に入りにくく、古本価格も結構な値段なので、文庫で手に入るのは本当にありがたい。

語釈が詳細で、なにより多数挿入された図版がいい。イメージしにくい植物や茶器も、『中国高等植物図鑑』や実物写真などで具体的な形がわかる。

ちょうど、同じ月に熊倉功夫・程啓坤編『陸羽『茶経』の研究』(宮帯出版社、2012年10月)が出ている。偶然とはいえ面白い。ちなみに目次は以下の通り。
姚国坤「陸羽の人物と業績」
関剣平「『茶経』に関する発生学的研究」
沈冬梅「陸羽『茶経』の歴史的影響と意義」
余 悦「唐代陸羽『茶経』の経典化の過程について」
高橋忠彦「『茶経』の用字に関して」
程啓坤「唐代における茶葉の種類およびその加工に関する研究」
中村羊一郎「陸羽の『茶経』に見える地方の茶と現代東アジアの茶生産」
中村修也「古代日本における『茶経』の影響」
熊倉功夫「陸羽の『茶経』と岡倉天心の『茶の本』」
高橋忠彦 『茶経』原文と訓読

2012年11月25日日曜日

鎌倉興隆―金沢文庫とその時代

先日、神奈川県立金沢文庫で開催中の
「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」に行ってきました。

この展覧会は、世界遺産登録推進 三館連携特別展「武家の古都・鎌倉」の一つ。他の二つは鎌倉八幡宮内の鎌倉国宝館(古都鎌倉と武家文化)と神奈川県立歴史博物館(再発見!鎌倉の中世)。一応、全部いったけれど、一番熱かった金沢文庫を紹介します。

今回の展覧会は三つのテーマで構成されている。
まずは、お目当ての「金沢文庫の世界」。
鈔本では、『白氏文集』、『文選集注』、『卜筮書』、『集七十二家相書』、『施氏孫子講義』などなど。『孫子講義』は北条顕時が書写したそうだ。ヲコト点や訓点がびっしり書き込まれている。やはり武家らしく、気合入れて兵法書を読んだのだろうなぁ。
宋版では、『読史管見』、『唐柳先生文集』、宋版残欠集(文苑英華や春秋後伝など)などなど。近年、館山で発見された『孫真人玉函方』(南宋版の元覆刻本らしい)も公開されていて驚いた。『玉函方』のほか『膏盲腧穴灸法』・『産育保慶集』も合綴されているらしい。佚書とされていた医書が同時に三冊見つかったことになる。きっと、まだまだ日本には佚書があるに違いないと思わせる。

もう一つのテーマは「北条氏権力の確立と金沢北条氏」。
金沢北条氏の肖像画や書状のほか、北条氏の政変を記した日記などが展示されている。ここでは、蛇体に囲まれた日本図(鎌倉時代)と、あまりにも図形化が過ぎて、もはや地図とは呼べない日本図(日蓮宗・戦国写本)に目を奪われた。唐土・新羅などにまじって羅刹国・龍及国(身人頭鳥)という謎の国も。右隅には蒙古国の記事があり、日本・高麗・唐土(南宋)でそれぞれ呼び名が異なるという指摘が見える。
そのほか、称名寺の僧侶と流罪唐人(元寇の捕虜)の漢詩のやりとりも興味深かった。漢詩というより、漢詩風筆談といった感じで、僧侶(多分、渡来僧)にあわせてほしいと訴えている。多分、兵士か下級官で、苦手な漢詩を一生懸命作ったんだろうなぁ、と想像してしまった。

予想以上に長くなったので、三つ目のテーマ「鎌倉仏教開花」は省略。

約300頁の三館合同の図録が1200円と超お得。
会期は12月2日(日)まで。開館時間は9時~16時半。
観覧料は600円。

2012年11月22日木曜日

江戸の読書会

前田勉『江戸の読書会―会読の思想史』(平凡社、2012年10月)

江戸時代に普及した議論する読書会=会読。
伊藤仁斎や荻生徂徠のもとで、儒学を学ぶためにはじまり、その相互コミュニケーション性・対等性・結社性の三原理ゆえに、身分社会との軋轢を経験しつつ、各地の私塾(蘭学・国学)・藩校に普及し、幕末・明治の精神・思想を準備したのだとする。

江戸時代の学問は講釈中心で、会読形式は蘭学(『解体新書』の翻訳)に始まったとばかり思っていたので、目からウロコが落ちることしきり。遊戯性を帯びていて、立身出世と直結しないからこそ、普及したという指摘も面白い。会読のエッセンスをなんとか授業に取り入れられないかなぁ。

2012年11月19日月曜日

日本中国考古学会2012年度総会・大会

日本中国考古学会2012年度総会・大会
日時:2012年12月15日(土)、16日(日)
会場:九州国立博物館 1階ミュージアムホール
参加費:大会資料費 1000円

スケジュール
12月15日(土)
一般発表
13:30~14:00 岸本泰緒子「出現期銅鏡の再検討」
14:00~14:30 古澤義久「新岩里出土青銅刀の年代について」
14:30~15:00 劉菲「敦煌莫高窟における中心塔から覆斗形天井への変遷について」

X線CTスキャナ紹介
15:30~16:00 今津節生「九博のX線CTスキャナによる文化財の研究」
16:00~17:00 X線CTスキャナ見学・ポスターセッション
総会17:00~18:00

 
12月16日(日)
テーマ発表 「中国古代青銅器研究の現在」
10:00~11:00 廣川守「X線CTスキャナによる商周青銅器製作技法に関する研究」
11:00~12:00飯塚義之・内田純子「中央研究院所蔵殷墟青銅器の冶金学的研究」
昼休み
13:00~13:40 鈴木舞「盤龍城青銅器の製作技術」
13:40~14:20 丹羽崇史「中国における湾曲羽口の基礎的検討」
14:20~15:00 角道 亮介「西周青銅器の使用方法に関する一考察」
15:00~15:40 岡村秀典・石谷慎「同型鏡・同印鏡論の提言―戦国鏡の制作と流通」
15:40~16:00 休憩、ポスターセッション
16:00~17:00 パネルディスカッション:中国古代青銅器をめぐる諸問題

ポスターセッション
掲示:12月15日(土)12:30~12月16日(日)17:00
質疑応答:12月15日(土)16:00~17:00
 12月16日(日)15:40~16:00
山本尭「長江中流域における殷代社会動態に関する考察」
大日方一郎「西周時代における副葬土器」
小林青樹・石川岳彦「中国北方青銅器文化における年代の再構築」
因幡聡美「雲岡石窟第三期諸窟に見られる複合龕に関する研究」

2012年11月13日火曜日

平成24年度九州史学会大会

九州史学会大会
日程:12月8日(土)9日(日)
場所:九州大学 箱崎文系キャンパス
参加費1500円

12月 8日(土)シンポジウム「戦跡からみたモンゴル襲来 ―東アジアから鷹島へ―」
法文系講義棟101番教室 (13:30より)
舩田善之「モンゴルの襄樊包囲戦とその軍事拠点」
尹龍爀「韓国における最近の三別抄遺跡調査と研究」
森平雅彦「甲戌 ・辛巳の役後における高麗対日警戒体制とその拠点」 
佐伯弘次「弘安の役と北部九州」
池田栄史「鷹島海底遺跡の発掘調査」

12月9日(日)<東洋史部会> 法文系講義棟204番教室  9:00開始
黒木修平「古代東アジアにおける麈尾の伝播について」
劉可維「唐代の賵賻制度について―唐喪葬令を中心として ―」
藤野月子「唐代和蕃公主考―降嫁に付随し て移動したヒトとモノ ―」
史習隽「明末士大夫の天主教受容について―徐光啓の交友ネットワークを中心に―」
郭陽「日本に伝わった鄭經関連の情報 ―『華夷変態』を中心に―」
川本芳昭「現代中国の民族問題と中国史研究について― 「少数民族」の理解をめぐって―」
三田辰彦「東晋南朝の儀注改定プロセス」
塩卓悟「唐宋代の肉食における性差」
内田直文「清代康煕朝の奏摺政治について」
小林聡「漢唐間の礼制・服制史における北朝の位置」

五胡十六国 新訂版

三崎良章『五胡十六国―中国史上の民族大移動 【新訂版】』(東方書店、2012年10月)

東方選書43。2002年に出た『五胡十六国』の新訂版。
文章の全面的な修正、研究の進展による内容の修正を施し、
第六章「「五胡」と漢族の融合」を新たに設けている。
表紙は遼寧省朝陽市袁台子壁画墓(前燕)の墓主像(漢族)と、
甘粛省酒泉市丁家閘五号墓(北涼か西涼)の農耕図(非漢族)。

2012年11月12日月曜日

シンポジウム「大青山一帯の北魏城趾遺跡」

シンポジウム「大青山一帯の北魏城趾遺跡」
日時:2012年12月8日(土)10時~16時
場所:東京大学本郷キャンパス 法文1号館315室

研究報告
10:00~10:40 佐川英治「都市としての北魏六鎮」
10:40~11:20 松下憲一「大青山南部北魏城址遺跡」
11:20~12:00 塩沢裕仁「大青山北麓の六鎮関連遺跡」

特別講演
13:00~14:00 黄暁芬「秦漢帝国北方辺境の歴史空間(仮)」
14:00~15:00 蘇哲「墳墓の図像資料から見た北魏平城時代の暮らし」

ディスカッション 15:10~16:00
大青山からみた北魏史