2010年2月5日金曜日

史林の書評

丸橋充拓「David A.Graff Medieval Chinese Warfare,300-900」(『史林』93-1、2010年1月)

2002年出版のデイビット・A・グラフ著『中世中国の戦争300~900』の書評。
この本は日本・中国で研究があまり多くない南北朝隋唐期の軍事史の研究書。
政治過程や制度的背景については、新知見はあまりないようだが、
戦争の経緯や軍事的諸要素の分析に興味深い点が多いようだ。
書評を読む限り、かなり面白そう。ぜひ日本語訳がでてほしいなぁ。

『金瓶梅』第三十九回の構成

田中智行「『金瓶梅』第三十九回の構成」(『東方学』119、2010年1月)

『金瓶梅』は読んだことないので、さっと見るだけにしようかと思ったら、
面白くてしっかり読んでしまいました。
『金瓶梅』では九のつく回に重要事件が起きる、という先行研究の指摘を踏まえ、
一見、大した事件が起きたようには見えない第三十九回の内容を検討し、
どのような意味が隠されているのか明らかにしている。
『西遊記』にしろ、『紅楼夢』にしろ、明清の長編小説には、
緻密な計算が施されているものが多くて、その謎解きも面白い。
この論文の影響で、日下翠『金瓶梅―天下第一の奇書―』(中公新書、1996年7月)をついつい古本屋で買ってしまいました。