2009年12月6日日曜日

『老子』―〈道〉への回帰

神塚淑子『『老子』―〈道〉への回帰』(岩波書店、2009年11月)

岩波書店の書物誕生あたらしい古典入門シリーズの一冊。
第Ⅰ部では、『老子』の成立過程(馬王堆帛書・楚簡との比較)や、
各時代の注釈書、仏教や道教との関係をまとめている。
第Ⅱ部では『老子』の思想を以下の五つのテーマに分けて読み解いている。
「道」について、「道」への復帰、文明への警告、「聖人」の治、処世訓。
『老子』の概説書として、とてもわかりやすかった。
ただ、書物誕生シリーズの『孫子』・『論語』・『『史記』と『漢書』』を読んだときほどは、目から鱗が落ちなかった。

中国儒教社会に挑んだ女性たち

李貞徳著、大原良通訳『中国儒教社会に挑んだ女性たち』(大修館書店、2009年12月)

北魏の蘭陵長公主の流産と死を起点に、
南北朝隋唐期の女性と法の関係に迫る。
政治史の側面は希薄だけど、霊太后に注目していて、
なかなか面白い。
原題翻訳は「公主の死―あなたの知らない中国法律史」。
個人的には原題のほうがいいような気がするのだけど。