2012年11月28日水曜日

茶経 全訳注

布目潮渢『茶経 全訳注』(講談社学術文庫、2012年10月)

2001年8月に淡交社から出た『茶経詳解』の文庫化。新たに付された解説などはないため、淡交社版を持っている人には、買う意味がなさそう。
僕は淡交社版を持ってなかったので購入。『茶経詳解』は定価5000円強だし、そもそも絶版で手に入りにくく、古本価格も結構な値段なので、文庫で手に入るのは本当にありがたい。

語釈が詳細で、なにより多数挿入された図版がいい。イメージしにくい植物や茶器も、『中国高等植物図鑑』や実物写真などで具体的な形がわかる。

ちょうど、同じ月に熊倉功夫・程啓坤編『陸羽『茶経』の研究』(宮帯出版社、2012年10月)が出ている。偶然とはいえ面白い。ちなみに目次は以下の通り。
姚国坤「陸羽の人物と業績」
関剣平「『茶経』に関する発生学的研究」
沈冬梅「陸羽『茶経』の歴史的影響と意義」
余 悦「唐代陸羽『茶経』の経典化の過程について」
高橋忠彦「『茶経』の用字に関して」
程啓坤「唐代における茶葉の種類およびその加工に関する研究」
中村羊一郎「陸羽の『茶経』に見える地方の茶と現代東アジアの茶生産」
中村修也「古代日本における『茶経』の影響」
熊倉功夫「陸羽の『茶経』と岡倉天心の『茶の本』」
高橋忠彦 『茶経』原文と訓読