2011年4月29日金曜日

内陸アジア出土古文献研究会6月例会

内陸アジア出土古文献研究会6月例会

日時:2011年6月4日(土) 14:00~18:00
場所:財団法人東洋文庫7階 第1・2会議室

報告
菊地淑子 「敦煌の陰氏をめぐる一考察」
中川原育子「キジル壁画における箔の使用とその意味-キジル摩耶窟の事例を中心に-」

2011年4月24日日曜日

第104回訓点語学会研究発表会

第104回 訓点語学会研究発表会
日時:2011年5月22日(日)
場所:京都大学文学部(第3講義室)

報告:午前の部 10時30分~
賈智「『新訳華厳経音義私記』所引の楷書字書について― 用例の採集と考察 ―」
アルベリッツィ、ヴァレリオ・ルイジ「書記言語の観点から見た文体記述研究の可能性について―興福寺本『日本国現報善悪霊異記』の場合―」

報告:午後の部 13時30分~
大坪併治「古訓三題「〓カタヒラ・依ヨスキ・逮ウ」について」
是澤範三「台湾大学図書館蔵圓威本『日本書紀』の声点と資料的位置づけについて」
土居文人「語源辞書『和句解』見出し語の依拠資料― 易林本系節用集との比較 ―」
稲垣信子「北大津「音義木簡」成立年代存疑」
石井行雄・當山日出夫「園城寺『弥勒経疏』の訓点について―角筆・白点・朱点をめぐって―」
小助川貞次「漢文文献の階層構造(注釈構造)と朱点との関係について」

2011年4月23日土曜日

魏晋南北朝時代の服飾制度

小林聡「漢唐間の礼制と公的服飾制度に関する研究序説」(『埼玉大学紀要教育学部』58-2、2009年9月)
小林聡「朝服制度の行方―曹魏~五胡東晋時代における出土文物を中心として―」(『埼玉大学紀要教育学部』別冊(1)59-1、2010年3月)
小林聡「北朝時代における公的服飾制度の諸相―朝服制度を中心に―」(『大正大学東洋史研究』3、2010年4月)

今まで見落としていたので、3本一気に読みました
「漢唐間の~」は、文献史料と出土史料を用いて、魏晋南北朝隋唐の服飾制度変容のアウトラインを描き、さらに東アジア(高句麗・倭)への服飾制度の伝播も視野に入れています。
「朝服制度の行方」では、曹魏から五胡東晋期の朝服制度の変容を明らかにし、「北朝時代における~」では、北魏の服制改革や北朝独自の服制について検討しています。

なお、「漢唐間の~」と「朝服制度の行方」は、
学術情報発信システムSUCRAからダウンロードできます。

2011年4月20日水曜日

六朝学術学会第23回例会

六朝学術学会・第23回例会

日時:2011年5月21日(土)午後1時~5時
場所:二松学舎大学九段校舎11階会議室
会場費:500円

発表(報告)
冨田絵美「正月十五日の行事について」
栗山雅央「「魏都賦」旧注に見える特徴について―「三都賦」劉逵注との比較を通して」
齋藤希史「遠望と遐想──六朝文学の主題として」

2011年4月18日月曜日

第60回東北中国学会大会

第60回東北中国学会大会

日時:2011年5月28日(土)・29日(日)
場所:28日は秋田大学教育文化学部六十周年記念ホール(三号館145教室)
 29日は男鹿観光ホテル

大会プログラム
5月28日 研究発表会 13時~
石川三佐男「地域文化の鑛脈「秋田漢詩文」について」
氣賀澤保規「唐「鴻臚井碑」の歴史的意義と内藤湖南」
公開講演 14時30~
加地伸行「中国学研究の過去と未来」

5月29日 9時~
第一分科会(哲学・文学部会)
高田哲太郎「『管子』の「聖人」について」
薪塩悠「詩律に対する唐代の意識について―試帖詩からのアプローチ」
菅原尚樹「地理叙述よりみる「全相平話」と明代歴史小説の継承関係について―『新刊全相平話楽毅図斉七国春秋後集』『新刊全相平話前漢書続集』を中心に」
尾崎順一郎「程瑤田の学問観について」
藤居岳人「中井竹山の儒者意識―その経学研究を中心として」
金澤文三「「禹域の神明」―昭和三年、満州国建国に奔走した鄭孝胥と内藤湖南の漢詩の風景」

第二分科会(史学部会)
塩野貴啓「前漢の郎官と郎将」
小尾孝夫「東晋南朝の「軍郡」―義煕土断と劉裕の対州鎮政策」
兼平雅子「唐文宗の宦官誅殺計画と宦官権勢の様相についての一考察―甘露の変再考」
進藤尊信「明代における二十四衙門及び王府の宦官の出自と異動に関する考察」
釆沢匡俊「清末における科挙受験生の「科挙観」の変遷について」

2011年4月10日日曜日

中国古代貨幣経済史研究

柿沼陽平『中国古代貨幣経済史研究』(汲古書院、2011年1月)

中国古代史のみならず、中国史全体(ひいては世界史)を視野に入れて、“交換史観”を提唱し、中国古代貨幣経済の解明を試みた意欲的な論著。経済人類学などの近接諸分野の成果を取り入れるのみならず、中国古代史では殆ど言及されることのない言語論的転回も視野に入れている。
いずれも既出論文に改稿を加えている。なお、近年刊行された後漢・三国・晋代に関する論文は収録されていない。

目次は以下の通り
序 章 中国古代貨幣経済史研究の意義と分析の視角
第一章 殷周宝貝文化とその「記憶」―中国古代貨幣経済史の始源に関する「記憶」の形成―
第二章 文字よりみた中国古代における貨幣経済の展開
第三章 戦国秦漢時代における物価制度と貨幣経済の基本的構造
第四章 戦国秦漢時代における「半両」銭の国家的管理
第五章 戦国秦漢時代における盗鋳銭と盗鋳組織
第六章 戦国秦漢時代における銭と黄金の機能的差異
第七章 戦国秦漢時代における布帛の流通と生産
第八章 戦国秦漢時代における塩鉄政策と国家的専制支配の機制―男耕女織政策・塩鉄専売制・均輸平準による三位一体的支配体制の確立―
終章 中国古代貨幣経済の特質とその時代的変化

2011年4月9日土曜日

ハウス・オブ・ヤマナカ

朽木ゆり子『ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商―』(新潮社、2011年3月)

戦前に日本・中国の美術品を欧米に輸出して世界に名を馳せた山中商会を取り上げたノンフィクション。副題が新潮社っぽく、あおり口調だけど、研究書といってもよさそうな内容。主にアメリカの公文書館で発見した資料を用いて、アメリカ支店を中心に山中商会の盛衰を描いている。闇商人的なイメージが強かったけれど、アメリカでは信頼できる美術商として活躍していたようだ。残念ながら日本での活動については、資料的制約から殆ど触れられていない。

アメリカ支店設立当初は、日本美術を中心としていたが、徐々に中国美術を扱うようになり、1910年代以降は中国美術が主要商品となったらしい。日本でも山中商会は活発に中国美術を売買していた。例えば、根津美術館にある天龍山石窟の仏頭は、山中商会が取り扱ったものである。山中商会の研究が進むことで、発見地・出土時期・流通経路などが明らかになる中国美術品も出てくるのではないだろうか。

実際、本書157~165頁によれば、現メトロポリタン美術館蔵の北魏の金銅仏(524年製)は、メトロポリタン美術館の1944年のカタログでは1924年に河北省の小さな村で発見されたとあるそうだが、山中商会の請求書から1918年に河北省正定で発見され、日本に入った後、アメリカにいったことがわかるそうだ。今後、是非とも山中商会研究が活発化してほしい。

2011年4月5日火曜日

第56回東方学者会議

第56回東方学者会議
日程:2011年5月20日(金)
場所:日本教育会館7階・8階

シンポジウム1 東南アジア港市国家論
シンポジウム2 中国宋代における「地域」像―中央集権的文臣官僚支配国家下における「地域」史研究
シンポジウム3 16~18世紀モンゴル語文献資料への探求
シンポジウム4 仏教と論争―大乗仏教の展開とその宗教思想史的背景
シンポジウム5 注釈の未来―日本文学研究から
美術史部会

詳細は東方学会HP掲載のプログラムをご覧ください。

もうひとつの敦煌

關尾史郎『もうひとつの敦煌―鎮墓瓶と画像磚の世界―』(高志書院、2011年3月)

新潟大学人文学部の新大人文選書7。
本邦初の鎮墓瓶・画像磚の一般向け専門書。
敦煌といえば、シルクロード、敦煌文書、壁画などで有名ですが、本書では魏晋十六国期の敦煌で主に作成された鎮墓瓶・画像磚を中心に取り上げています。一見、些細な史料にみえる鎮墓瓶や画像磚から、敦煌地域社会を浮かび上がらせていて興味深いです。

2011年4月2日土曜日

三国志関連書籍

渡邊義浩『三国志―演義から正史、そして史実へ―』(中公新書、2011年3月)
愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター編『曹操高陵の発見とその意義―三国志 魏の世界―』(汲古書院、2011年3月)


『三国志―演義から正史、そして史実へ』は、
各章で演義と正史を比較し、そのイメージの違いを確認。
さらに正史のフィルターを払って、史実に迫るとしている。
これまでの著者の研究のエッセンスを凝縮している。


『曹操高陵の発見とその意義』は、2010年11月27日・28日に愛媛大学で開催されたシンポジウム「三国志 魏の世界―曹操高陵の発見とその意義」の講演録。目次は以下の通り。
村上恭通「『三国志 魏の世界』開催にあたって―経緯と趣旨―」
白雲翔「漢末・三国時代考古およびその新展開―北方曹魏を中心に―」
潘偉斌「曹操高陵の発見と発掘および初歩研究」
郝本性「曹操高陵出土文物の研究―安陽高陵出土石牌刻銘にみる曹操のすがた―」
張志清「漢代陵墓考古と曹操高陵」
討論会
付録一 河南省文物考古研究所・安陽県文化局「河南安陽市西高穴曹操高陵」
付録二 曹操高陵に関する中国人研究者の見解について
付録三 曹操高陵発見前後の経緯

曹操高陵の発掘経緯・発掘状況・出土物などについて紹介。漢代(前漢・後漢)陵墓との比較もある。付録一は、『考古』2010-8に掲載された発掘報告の翻訳。付録二は、『中国文物報』(2010年10月1日)に掲載された「曹操高陵考古発現専家座談会発言適要」をもとに、各研究者の見解の要点をまとめたもの。付録三は、『曹操墓真相』(科学出版社、2010年)掲載の発見経緯年表に加筆したもの。