2011年10月28日金曜日

2011年度公開講演会「資料学の方法を探る」

愛媛大学「資料学」研究会主催2011年度公開講演会「資料学の方法を探る」
日時:2011年11月26日(土)10時~17時30分

会場:愛媛大学城北キャンパス,法文学部8階大会議室

プログラム
10時~12時
藤田勝久「漢代エチナ河流域の交通と肩水金関」
畑野吉則「居延漢簡にみえる郵書記録と文書逓伝」

14時~17時30分
侯旭東氏「後漢《乙暎碑》の卒吏増員にみえる君臣関係」
關尾史郎「『最後の簡牘群』考―長沙呉簡を例として―」
 コメント:金秉駿氏(韓国・ソウル大学校人文大学)
西尾和美「『伊予国神社仏閣等免田注進状写』を読む」

第3回日・韓訓読シンポジウム

第3回日・韓訓読シンポジウム
日時:2011年10月29日(土)13:00~18:00
会場:麗澤大学廣池千九郎記念講堂2階大会議室

基調講演
南豊鉉「韓国の借字表記の発達と日本訓点の起源について」

講演
金文京「日韓訓読史の比較―その共通点と相違点」
庄垣内正弘「ウイグル漢字音と漢文訓読」
鄭光「朝鮮吏文の形成と吏読―口訣の起源を模索しながら」
小林芳規「日本所在の八・九世紀の『華厳経』とその注釈書の加点」

参加費無料 定員100名
申込方法:FAXまたはメールで申し込み
詳細はHP参照。

2011年10月21日金曜日

古代東アジアの国際情勢と人流

古代東アジアの国際情勢と人流

日時: 2011年11月19日(土)13:00~17: 00、11月20日(日)10:00~17:30
場所: 専修大学神田校舎1号館3階303教室
定員: 300名( 聴講無料・申込者多数の場合抽選)

講演 11月19日(土)
13:15~14:15 高兵兵「菅原道真と九世紀の日本外交」
14:30~15:30 浜田久美子「日本と渤海の文化交流― 承和年間の『白氏文集』の受容を中心に―」

講演 11月20日(日)
10:00~11:00 山内晋次「9~12世紀の日本とアジア― ヒトの移動の視点から―」
11:10~12:10 矢野建一「遣唐使と来日『唐人』― 皇甫東朝を中心として― 」
13:30~13:50 窪田藍「『古代東アジア世界史年表』の活用― 『白村江の戦い』を事例として」
14:00~15:00 鈴木靖民「東アジア世界史と東部ユーラシア世界史」
15:20~17:30 討論 司会・進行:飯尾秀幸
 討論に先立って 荒木敏夫「古代東アジア世界史と留学生―五年間の取り組みと課題―」

申し込み・お問い合わせは、往復はがきまたはメールにて。
詳細は専修大学社会知性開発研究センターのHP
参照してください。

2011年10月14日金曜日

東洋文庫ミュージアム

東洋文庫ミュージアムが10月20日に開館します。
そこで、牧野元紀「東洋文庫ミュージアムぐるり探訪―時空をこえる本の旅」(『東方』368、2011年10月)および東洋文庫ミュージアムのチラシ・HPをもとにその概要を紹介したいと思います。

まず、基本情報です。
名称:東洋文庫ミュージアム
アクセス:JR・東京メトロ南北線「駒込駅」から徒歩8分または都営地下鉄三田線「千石駅」から徒歩7分
休館日:毎週火曜日(ただし、火曜日が祝日の場合は開館し、水曜日が休館)年末年始、その他、臨時に開館・休館することもある。
開館時間:10:00〜20:00(入館は19:30まで)
ショップ:マルコ・ポーロ 10:00~20:00
レストラン:オリエント・カフェ11:30~21:30(ラストオーダーは20:30まで)
入場料:一般880円、65歳以上、780円、大学生680円中・高校生580円、小学生280円

フロアは五つ。
オリエントホール:東洋文庫の歴史を紹介
モリソン書庫:24000点のモリソン文庫を展示
ディスカバリー・ルーム:東西の出会い・発見を軸とした企画展示
回顧の路:時空を超える旅のゾーン(百万塔陀羅尼・甲骨文字など)
国宝の間:国宝を毎月展示替え&『東方見聞録』コレクション


開館記念展示は、時空をこえる本の旅。
東洋文庫の名品100点が勢ぞろい。
モリソン書庫では、『ラフカディオ・ハーン書簡集』・チベット経典・嵯峨本など。
ディスカバリー・ルームでは、
企画1「キリスト教と東アジア」として、キリシタン版『サクラメンタ提要』(展示期間:10月20日~12月18日)、マリー・アントワネット旧蔵『イエズス会士書簡集』、『ドチリーナ・キリシタン』(展示期間12月20日~2月26日)など。
企画2「激動の近代東アジア」として、孫文自筆書軸、『アヘン戦争図』、『ペリー久里浜上陸図』など。
国宝の間では、国宝『史記』(夏本紀:10月20日~11月21日、秦本紀:11月23日~12月26日)、国宝『文選集注』(巻48残巻:12月28日~1月23日、巻59:1月25日~2月26日)など。
そのほか浮世絵コレクション(葛飾北斎『諸国瀧廻り』)も出す模様。

まさに、すごいの一言。
年に何回も通うことになりそうです。

2011年10月13日木曜日

関羽と諸葛亮

偶然(?)にも三国蜀漢政権に関わる概説書が二冊刊行された。

宮川尚志『諸葛孔明―「三国志」とその時代―』(講談社学術文庫、2011年10月)
渡邉義浩『関羽―神になった「三国志」の英雄―』(筑摩選書、2011年10月)

『諸葛孔明』は言わずと知れた名著。1940年に刊行された後、複数の出版社から復刊された。今回の底本は光風社版(1984年)。解説は渡邉義浩氏。
『関羽』は、8章構成。前半4章では正史と演義を比較し、関羽像の違いを示す。後半4章では関羽が神となった過程と背景をまとめている。

諸葛亮については、何冊も日本人研究者による伝記がでており、今回関羽も刊行された。でも、なぜだか日本人研究者による劉備の伝記は出ていない。軍師とあがめられた諸葛亮と神になった関羽のせいで、なんだか割を食ってる気がしないでもない。おもしろいと思うのだけどなぁ。

2011年10月11日火曜日

内陸アジア史学会2011年度大会

内陸アジア史学会2011年度大会

日程:2011年11月12日(土)
会場:富山大学人文学部(五福キャンパス)

公開講演(13:00~14:00)人文学部 第四講義室
小谷仲男「遊牧民族の右臂を断つ理論―中国正史西域伝の訳注序説― 」

研究発表(14:15~17:10) 同会場
三船温尚「アジアの高錫青銅器―鋳造・鍛造・熱処理技術について―」
岩尾一史「古代チベット支配下敦煌における写経事業とその経費処理」 
清水由里子「『東トルキスタン史』の叙述傾向と史料的価値について」

2011年10月10日月曜日

西魏・北周の二十四軍と「府兵制」

平田陽一郎「西魏・北周の二十四軍と「府兵制」」(『東洋史研究』70-2、2011年9月)

西魏・北周の軍制について、前期府兵制という枠組みから解き放ち、二十四軍を中心に再考した論文。二十四軍の集団構成や親信・庫真といった制度を分析し、二十四軍は擬制的部落兵制であり、遊牧軍制の系譜を継ぐものとする。
賛否両論とあると思うが、北朝隋唐研究に一石を投ずる研究であることは間違いない。

特集:五山文学

『文学』12-5(岩波書店、2011年9月)は、「特集:五山文学」。

目次は以下の通り
島尾新・住吉朋彦・中本大・堀川貴司(司会) 「《座談会》五山文学研究の新段階」
堀川貴司「『覆簣集』について―室町時代後期の注釈付き五山詩総集―」
金文京「中巌円月の中国体験―科挙との関係を中心として―」
樹下文隆「能〈龍虎〉の背景―禅林の周易受容と神仙趣味―」
楊昆鵬「五山文学と和漢聯句」 
中本大「菊隠慧叢について―『名庸集』研究序説―」
住吉朋彦「高峰東晙の学績」
島尾新「室町時代の画賛について―「禅林画賛」と「文人画賛」の関係から―」
綿田稔「足利将軍邸の障子画賛」 
岩山泰三「引き裂かれた臥遊世界―一休八景詩素描―」
芳澤元「慶長期の絵画・漢詩の製作過程―前田利家夫人・芳春院の女人図―」
太田亨「五山版『新刊五百家註音辯唐柳先生文集』について―五山版の再検討をめぐって―」
朝倉和「五山文学版『百人一首』と『花上集』の基礎的研究―伝本とその周辺―」
【文学のひろば】 川合康三「五山文学臆見」 

なんとなく、興味を持って購入。
座談会は、五山文学研究の現状と課題がわかりやすく述べられていておもしろかった。
しかし、専門論文になると素人ではついていけず……。
基礎知識を得てから再チャレンジしたいと思います。

素人の僕でもついていけて、興味深かったのは以下の論文。
入元経験から中巖円月の背景を追った金文京論文。
和漢聯句の面白さを味わえた楊昆鵬論文。
「画賛とは何か」をまとめた島尾論文。
前田利家夫人(まつ=芳春院)が作らせた女人図の賛の意味と制作過程・時代背景を明らかにした芳澤論文。

たまには書評も紹介

津田資久「書評・新刊紹介 渡邉義浩著『西晋「儒教国家」と貴族制』」(『唐代史研究』14、2011年8月)
井ノ口哲也「書評 渡邉義浩著『後漢における「儒教國家」の成立』」(『史学雑誌』120-9、2011年9月)

立て続けに書評が出た。

2011年10月9日日曜日

第62回佛教史学会学術大会

第62回佛教史学会学術大会
日時:2011年11月12日(土)午前10:00~
会場:花園大学 拈花館
大会参加費500円

研究発表 午前の部(10:00~12:00) 《東洋部会》拈花館104教室
米田健志「唐宋時代の宮中における仏教儀礼について」
師茂樹「新羅・真表伝の再検討」
馬場久幸「高麗時代の大蔵経に対する信仰-高麗版大蔵経を中心として-」

日本部会・合同部会は省略

記念講演(15:15~16:45)拈花館202教室
末木文美士「思想史の視点からみた日本仏教」 

第105回訓点語学会研究発表会

第105回 訓点語学会研究発表会

日程:2011年10月16日(日)
場所:東京大学山上会館

報告:午前10時~
中澤光平「『日本書紀』α群の万葉仮名における去声字の特異な分布」
平井吾門「自筆本『倭訓栞』の排列について―シソーラスから辞書へ―」
藤本灯「先行国書と『色葉字類抄』収録語彙との関係について」           
午後1時15分~
石山裕慈「室町時代における漢字音の清濁―『論語』古写本を題材として―」
柳原恵津子「記録体における動詞の用法について」
鈴木功眞「倭玉篇類字韻永禄六年写本の構成ならびに詩作との関連性に就いて」   
午後3時~
佐々木勇「親鸞使用の声点加点形式について―坂東本『教行信証』声点の位置づけ―」
渡辺さゆり「「文選読み」を考察する際の問題点―『文選』の場合―」
小助川貞次「古写本・古刊本における巻末字数注記について」

2011年度東洋史研究会大会

2011年度 東洋史研究会大会

日時:2011年11月3日(木・祝)9時~17時
会場:京都大学文学部新館第三講義室(二階)

発表題目
午前の部
二宮文子「前近代北インドのスーフィー教団」
上田新也「ベトナム・フエ近郊村落における家譜編纂―一八~一九世紀タインフオック村の事例―」
大櫛敦弘「使者の越えた「境界」―秦漢統一国家形成の一こま―」
石井仁「赤壁地名考―孫呉政権と江南の在地勢力」

午後の部
村井恭子「九世紀における唐朝の辺境政策―八四○年を画期として―」
平田茂樹「宋代の御前会議について」
舩田善之「ダーリタイ後裔諸王とモンゴル時代寧海州の社会―令旨とその刻石の意義をめぐって―」
谷井陽子「入関前清朝における政治的意思決定」
本野英一「一九二○年代中国に於ける商標権保護体制の確立―在華日英企業商標を中心に―」
宮嶋博史「朝鮮時代の戸籍大帳と身分制研究」

2011年10月6日木曜日

東日本大震災・原発事故と歴史学

『歴史学研究』884号(青木書店、2011年10月)は、
「緊急特集 東日本大震災・原発事故と歴史学」。

目次は以下の通り
平川新「東日本大震災と歴史の見方」
保立道久「地震・原発と歴史環境学―9世紀史研究の立場から」
矢田俊文「東日本大震災と前近代史研究」
北原糸子「災害にみる救援の歴史―災害社会史の可能性」
奥村弘「東日本大震災と歴史学―歴史研究者として何ができるのか」

史資料ネットワークから
佐藤大介「歴史遺産に未来を―東日本大震災後の歴史資料レスキュー活動」
白井哲哉「「茨城史料ネット」の資料救出活動―3・11から7・2へ」
阿部浩一「ふくしま歴史資料保存ネットワークの現況と課題」

論文
中嶋久人「原発と地域社会―福島第一原発事故の歴史的前提」
平田光司「マンハッタン計画の現在」
石山徳子「原子力発電と差別の再生産―ミネソタ州プレイリー・アイランド原子力発電所と先住民」
三宅明正「記録を創り,残すということ」
安村直己「言論の自由がメルトダウンするとき―原発事故をめぐる言説の政治経済学」
史料文献紹介(緊急特集関連)

史資料ネットワークの活動の意義も述べられている。佐藤大介氏は、史資料の保全に対し、被災者からの批判(そんなことしてる場合か!という批判)をうけるかもしれないと逡巡されるかもしれないが、「地域歴史遺産を保存し、それを未来に引き継ぐための被災地支援活動であることが理解されていれば、被災された方々は」活動に期待してくれるとする。
中嶋論文は、開沼博『「フクシマ」論―原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社、2011年6月)と内容が類似しているが、開沼書の刊行以前に執筆されている(脱稿後に読んだことを明記している)。

1923年の関東大震災直後、歴史学界が特集を組むなどの反応を示した様子がない(そもそも雑誌の編集後記で被災者に言及することすらしていない)ことに比べると、歴史学の在り方が大きく変化したことがわかる。