2011年2月1日火曜日

墨宝&思わぬ収穫

先日、ちょっと、背伸びをして、根津美術館で開催中の特別展「墨宝 常盤山文庫名品展」を見に行ってきました。
今回の展覧会では、主に13世紀以降の日中間の禅僧の往来の中から生み出された、禅僧の墨蹟や水墨画、茶碗などを展示しています。蘭渓道隆とか無学祖元とか虎関師錬といった有名人の墨蹟もあります。

……でも、やっぱり僕にはまだ早かったみたいです。一級品ばかりなのに、いまいちピンと来ず……。いつの日か墨蹟や水墨画の良さがわかるようになりたいものです。

他にも「仏教彫刻の魅力」、「古代中国の青銅器」、「鍋島と四季の草花」、「初春を祝う茶」が同時開催されています。このなかでは、ホールに展示してある北魏・北斉時代の仏像(山西省の天龍山石窟の仏像頭部など)に興味惹かれました。銘文がなかったのがちょっと残念。


と、そんなこんなで、ミュージアムショップに行くと、以下の書籍を発見。
根津美術館編集『鑑賞シリーズ11 中国の石仏 北斉仏の魅力』(根津美術館、2009年10月)、
常盤山文庫中国陶磁研究会『北斉の陶磁』(財団法人常盤山文庫©、2010年12月)

『中国の石仏』は、根津美術館所蔵の南北朝隋唐時代の石仏がカラー図版で紹介されています。さらに八木春生氏による「北斉時代の石仏」(45~80頁)、「作品解説」(81~89頁)、「コラム北斉の陶俑」(90~91頁)もあります。北斉時代の仏教美術をおさえるのにちょうどいい感じです。

『北斉の陶磁』は、近年、常盤山文庫が購入した北斉の陶磁のカラー図版・解説(41~58頁)と、矢島律子「北朝の白いやきもの」(27~40頁)、佐藤サアラ編「出土資料集」(128~59頁)が収録されています。「北朝の白いやきもの」は、北朝~隋の陶磁の変遷をまとめ、隋代に白磁が出現した背景に迫っています。これまた北朝の陶磁器をおさえるのにちょうどいい感じです。


というわけで、展覧会の方はいまいち味わいきれませんでしたが、根津美術館の建物自体がいい感じでしたし、ミュージアムショップで思わぬ収穫もあったので、行った甲斐がありました。

特別展「墨宝 常盤山文庫名品展」
会期:2011年1月8日(土)~2月13日(日)
開館時間:10時~17時 休館日:月曜日
入館料:一般1200円、学生1000円