2012年11月25日日曜日

鎌倉興隆―金沢文庫とその時代

先日、神奈川県立金沢文庫で開催中の
「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」に行ってきました。

この展覧会は、世界遺産登録推進 三館連携特別展「武家の古都・鎌倉」の一つ。他の二つは鎌倉八幡宮内の鎌倉国宝館(古都鎌倉と武家文化)と神奈川県立歴史博物館(再発見!鎌倉の中世)。一応、全部いったけれど、一番熱かった金沢文庫を紹介します。

今回の展覧会は三つのテーマで構成されている。
まずは、お目当ての「金沢文庫の世界」。
鈔本では、『白氏文集』、『文選集注』、『卜筮書』、『集七十二家相書』、『施氏孫子講義』などなど。『孫子講義』は北条顕時が書写したそうだ。ヲコト点や訓点がびっしり書き込まれている。やはり武家らしく、気合入れて兵法書を読んだのだろうなぁ。
宋版では、『読史管見』、『唐柳先生文集』、宋版残欠集(文苑英華や春秋後伝など)などなど。近年、館山で発見された『孫真人玉函方』(南宋版の元覆刻本らしい)も公開されていて驚いた。『玉函方』のほか『膏盲腧穴灸法』・『産育保慶集』も合綴されているらしい。佚書とされていた医書が同時に三冊見つかったことになる。きっと、まだまだ日本には佚書があるに違いないと思わせる。

もう一つのテーマは「北条氏権力の確立と金沢北条氏」。
金沢北条氏の肖像画や書状のほか、北条氏の政変を記した日記などが展示されている。ここでは、蛇体に囲まれた日本図(鎌倉時代)と、あまりにも図形化が過ぎて、もはや地図とは呼べない日本図(日蓮宗・戦国写本)に目を奪われた。唐土・新羅などにまじって羅刹国・龍及国(身人頭鳥)という謎の国も。右隅には蒙古国の記事があり、日本・高麗・唐土(南宋)でそれぞれ呼び名が異なるという指摘が見える。
そのほか、称名寺の僧侶と流罪唐人(元寇の捕虜)の漢詩のやりとりも興味深かった。漢詩というより、漢詩風筆談といった感じで、僧侶(多分、渡来僧)にあわせてほしいと訴えている。多分、兵士か下級官で、苦手な漢詩を一生懸命作ったんだろうなぁ、と想像してしまった。

予想以上に長くなったので、三つ目のテーマ「鎌倉仏教開花」は省略。

約300頁の三館合同の図録が1200円と超お得。
会期は12月2日(日)まで。開館時間は9時~16時半。
観覧料は600円。