2010年2月3日水曜日

歴代名画記

宇佐美文理『歴代名画記―〈気〉の芸術論―』(岩波書店、2010年1月)

岩波書店の「書物誕生 あたらしい古典入門」シリーズの一つ。
このシリーズに『歴代名画記』が入っていること自体が面白い。
唐代までの絵画史(実態は画家史)の集大成であり、
北宋以降の画論と異なっている(一部先取りしているが)ことを指摘。

気分

一月下旬は、私生活でも研究でもないことのせいで、こんな気分でしたが、

今はちょっとのんびりしてます。

倭寇とはだれか

村井章介「倭寇とはだれか―十四~十五世紀の朝鮮半島を中心に―」(『東方学』119、2010年1月)

「倭寇は日本人か朝鮮人か」という議論の不毛さを指摘し、
「倭寇」は「境界人」であるという自説を再確認。
村井氏の説は、ずいぶん前から展開されている。
ただ、今回の論文では、韓国・中国における日本の倭寇研究(特に村井説)に
対する批判が引用されていて、とても興味深い。
今、話題になっている「日中歴史共同研究」での中国側コメントも
一部載っている。
韓国側・中国側の「公式見解」(個人見解があるのかどうかはわからないけど)も、
ある程度理解できるし、それに対する村井氏のコメントもわかる。
現在と「国家」概念の異なる前近代史研究の難しさを実感した。