2012年5月22日火曜日

風俗と時代観

岸本美緒『風俗と時代観―明清史論集1』(研文出版、2012年5月)

岸本氏の「肩の凝らない文章」を集めた論集。あとがきで「昼寝の友として気楽に読んでいただきたい」とあるが、むしろ、がっつり目を見開いて読んでしまった。講座モノや特集号の依頼で書いたものが多く、読みやすい文章で、かつ大変多くの示教を受けた。全編に補注がついていて、ところどころで「居直り」・「泥臭くても実感に即した議論」と述べているが、膨大な理論・実証の蓄積あっての言葉だから重みがある。

目次は以下の通り。
Ⅰ歴史変動と時代区分
時代区分論
時代区分論の現在
風俗と時代観
現代歴史学と「伝統社会」形成論
一八世紀の中国と世界

Ⅱ身分と風俗
明清時代の身分感覚
名刺の効用―明清時代における士大夫の交際
「老爺」と「相公」―呼称からみた地方社会の階層感覚

Ⅲ歴史の風
歴史の中の「風」
China-centered approach?
アジアからの諸視覚―「交錯」と「対話」

アジアの〈教養〉を考える

諸事情で、更新が滞ってしまいましたが、その間にいろいろ出ましたね。
思い出したものから、徐々に更新していきます。
まず一昨日読み終えたばかりのものから。

『アジア遊学150 アジアの〈教養〉を考える―学問のためのブックガイド』(勉誠出版、2012年5月)

アジア遊学150号記念ということで、
アジアの教養を考えるブックガイド。
「アジア」とあるけれど、基本的には東アジア。
東南アジアは多少あるけれど、
西アジアや南アジアはほとんどない。

執筆者は32人。一人三冊紹介して、合計93冊。
複数の評者がとりあげていたのが、
以前、このブログでも紹介した
金文京『漢文と東アジア―訓読の文化圏』(岩波新書、2010年)。
確かに読みやすくって奥が深い。
中国史ものでも、こういう新書がもっと出てほしいなぁ。

そのほか、読んでみたいと思う本が何冊もあった。
さっそく買いに走った本もある。
とりあえず、二人が推薦していた
川本邦衛『ベトナムの詩と歴史』(文藝春秋社、1967年)は
古本屋で探したい。