2010年4月28日水曜日

遣唐使の光芒

森公章『遣唐使の光芒―東アジアの歴史の使者―』(角川選書、2010年4月)

東野治之『遣唐使』(岩波書店、2007年11月)に続く、一般向け遣唐使概説書。
文化・知識の移入や人物に関するは記述はやや少なめで、
対外認識や外交制度などに重点が置かれている。

正倉院文書の世界

丸山裕美子『正倉院文書の世界―よみがえる天平の時代』(中公新書、2010年4月)

1万点以上ある正倉院文書の中から、
漢籍・僧侶名簿・戸籍・行政文書・写経事業などを取り上げ、
奈良時代の社会を描き出している。

第一章「聖武天皇と光明皇后」では、
『雑集』と聖武天皇の仏教政策との関係を指摘し、
聖武天皇にとって座右の書であった可能性を述べている。
個人的に一番面白かったのは、第六章「国家プロジェクトを支えた人々」。
写経事業を荷った写経生たちの日常が浮かび上がってくる。
そういえば、ちょうど去年の正倉院展では、
写経生の減給規定(誤字・脱字があったり、見逃したら減給)の文書を
展示していたなぁ。