2010年1月18日月曜日

ツチノコの民俗学

伊藤龍平『ツチノコの民俗学―妖怪から未確認動物へ―』(青弓社、2008年8月)

以前、買おう買おうと思っていたのに、
すっかり忘れていた本をしょぼい本屋で偶然発見。
ついつい購入してしまいました。

UMA(未確認動物)として有名なツチノコ。
江戸時代に「妖怪」と認識されていたツチノコは、
1970年代に「幻のヘビ」として取り上げられ、
未確認動物として普及していった。

前半(第一章・第二章)は民俗学の視点から、
江戸期におけるツチノコ類とその関連領域について詳説。
本草書中の怪蛇や中国の蠱毒にも触れている。
後半(第三章・第四章)は1970年代以降における
ツチノコ像の固定化、マンガ等におけるツチノコ受容、
観光資源化など、妖怪から未確認動物への変化について論じている。
UMA(未確認動物)の民俗学っていうのが、
なんだか新鮮な気がして面白い。

著者は台湾の南台科技大学の教員。
ドラえもんに出てくるツチノコが、
中華圏でどう翻訳されているか比較し、
海外におけるツチノコ受容についてもちょっと触れている。
このテーマも深化させたら面白そう。