2010年11月30日火曜日

古語の謎

白石良夫『古語の謎―書き替えられる読みと意味―』(中公新書、2010年11月)

古語の歴史ではなく、「古語認識の歴史」を通して、
江戸時代の「古学」、さらには「古語とは何か」を語っている。
柿本人麻呂の歌(『万葉集』巻一・48番目)「東野炎立所見而反見為者月西渡」の読み方、『徒然草』にみえる「おこめく」は「おごめく(蠢く)」なのか、
といった具体的な問題を扱う一方で、
江戸時代の古学の歴史もバランス良くまとめていて読みやすい。
学問の発展によって、かえって古語が創り出されることもあるという指摘は、
他人事ではないような気がする。