2010年2月11日木曜日

泉太郎個展


ちょっと前のことになりますが、
泉太郎の個展「くじらのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」に行ってきました。
横浜の「日常/場違い」展で、泉太郎の作品が気になったので、
調べてみたら、ちょうど個展が開催されていることが判明。
ついつい見に行ってしまいました。


場所は浅草。アサヒアートスクエア4階・5階。
会場に入った途端、おもちゃ箱をひっくりかえしたような風景が広がっている。


何だろうと思ってみてみると……、すごろく?


大画面の映像を見てみると、
どうやら、マス目に書かれたことを実際にやるというすごろくらしい。
フトルに止まれば、腹に布を詰め込んで太る。


双六の中身をくまなくチェックしたり、大画面の映像を見たり、
その他のちょっとした映像作品(巻尺を褒める・けなす作品など)を
見たりしているうちに、ちょっと不気味なうさぎが登場し、
実際にすごろくがはじまった。


イロに止まれば、イロを塗り、
ヌルヌルに止まれば、スライムを塗り、
ドロに止まれば、ドロを塗る。


テープを巻いたり、泣いたり、耳を切ってパスしたり、
檻に入ってライオンのまねしたり。
最終的には、こんな感じ。もう、何が何だか。



面白いといえば、相当面白かったのだけど、
なんだかざわざわする感じ。
画面でみると、かなりユーモラスなのに、
実際見ると、生々しくて、ちょっとグロテスクな感じがしてしまった。
たまたま、止まったマスがわるかったのかも。
でも、その生々しさ・不気味さも含めて、アートなんだろうなぁ。
今度、どこかの展示で、スゴロクやってる映像をみてみたいです。

楊福東「将軍的微笑」


原美術館で開催されているヤン・フードン(楊福東)の
個展「将軍的微笑」に行ってきました。

ヤン・フードンは、中国の映像アートの中で高評価を受けている人物。
2005年の「フォロー・ミー!新しい世紀の中国現代美術」(森美術館)や、
2008年の「アヴァンギャルド・チャイナ」(国立新美術館)にも出展していた。
でも、個人的には、これまであまりピンとこなかった。
今回、個展が開かれるということで、再チャレンジしてみることに。


展示作品は全部で6点。全て映像作品で、最短は7分ほど、最長は53分。
「将軍的微笑」は、長机がそのまま画面になっていて、
パーティーの食事風景が映し出されている。
その周りには、たくさんの若い女性の姿や、老人(将軍)の独白、
ピアノをひく老人などが、ところせましと映し出されている。
部屋に入った瞬間のインパクトがかっこいい。老人の奏でるピアノとも合ってるし。

「青麒麟」は、真っ白の部屋の中に、10画面程の石の採掘場の風景と、
5画面のまるで英雄の肖像画のように微動だにしない直立不動の労働者が、
映しだされている。これまた部屋に入った瞬間のインパクトがすごい。

魏晋時代の竹林の七賢にインスピレーションを得て作られた
「竹林の七賢人 パート3」(53分)は、1930年代風の服装の若者7人が、
山村の棚田で寝起きし、農作を行ったり、牛の世話をしたり、
恋愛っぽいことしたりするアンニュイでシュールな雰囲気の映像。
ストーリはあるようなないような(多分、大まかにはあるのだろうけど)。


映像を大体全部みたので、かなり見応えあった。合計2時間以上滞在してたし。
確かにかっこいいし、映像も綺麗だし、評価が高いのもうなづける。
でも、やっぱり、面白いとは思えなかった。う~ん、残念。
多分、楊福東の問題でも、原美術館の展示の問題でもなく、
僕個人の好みの問題なのだと思う。

暗喩や象徴が込められていると思うのだけど、
それを読み解くコードがよくわからないもどかしさ。
無声・白黒といった音色の情報量の少なさと、
時間軸の入れ替えや似た映像の繰り返し。
手法としては有りだと思うけど、ちょっとついていけなかった。
単純に映像美を楽しめばいいのだろうけど、
それにしては思わせぶりすぎる。

映像作品は、もっとシンプルでユーモラスなのがいいなぁ。

ただ、これはあくまで個人的感想であって、
多分、ものすごくいいと感じる人も多いはず。
実際、かっこいいとは思ったし。


2010年3月28日(日)まで原美術館で開催中。
開館時間:11時~17時(水曜のみ20時まで)
休館日:月曜日・3月23日