2010年8月13日金曜日

『思想』No.1036

『思想』No.1036(2010年8月)は、
特集「ヘイドン・ホワイト的問題と歴史学」。
言語論的転回も、ヘイドン・ホワイトも、『メタヒストリー』も
全然わかってないのだけど、背伸びして読んでみました。

目次は以下の通り
ハリー・ハルトゥニアン「思想の言葉」
ヘイドン・ホワイト「実用的な過去」
ヘイドン・ホワイト「コンテクスト主義と歴史理解」
聞き手:エヴァ・ドマンスカ「〈インタビュー〉ヘイドン・ホワイトに聞く」
デヴィッド・ハーラン「40年後の「歴史の重荷」」
安丸良夫・小田中直樹・岩崎稔(司会)「〈座談会〉『メタヒストリー』と戦後日本の歴史学―言語論的転回の深度と歴史家の責任」
上村忠男「トロポロジーと歴史学―ホワイト=ギンズブルグ論争を振り返る」
長谷川貴彦「物語の復権/主体の復権―ポスト言語論的転回の歴史学」
長谷川まゆ帆「ヘイドン・ホワイトと歴史家たち―時間の中にある歴史叙述」
成田龍一「3つの「鳥島」―史学史のなかの「民衆史研究」」
今野日出晴「歴史を綴るために―〈歴史教師〉という実践」
舘かおる「歴史分析概念としての「ジェンダー」」
桜井厚「「事実」から「対話」へ―オーラル・ヒストリーの現在」


やはり、『メタヒストリー』を読んでいないのに、
ヘイドン・ホワイト特集を読むのは無理があったかもしれないです。
ヘイドン・ホワイトの『メタヒストリー』は、
原著が1973年に出たにも関わらず、日本語訳が出ていません。
どうやら、もうすぐ出るらしいので、読んでから再チャレンジしようかな。

ただ、ところどころで、ホワイトの考えが『メタヒストリー』刊行当時から、
論争や批判を経て、変化している様子がうかがえました。
その点も含めたヘイドン・ホワイト概説みたいな
文章があれば、もう少し理解できたんじゃないかなぁ、と思います。

それにしても、ホワイトってどうせバリバリの歴史哲学者でしょ、
とか思っていたのですが、実は1928年生まれで、
西洋中世の教会史を研究していたとは驚きでした。


個人的に楽しくスムーズに読めたのは、
ホワイトのインタビュー、「〈座談会〉『メタヒストリー』と戦後日本の歴史学」、
成田論文、今野論文、桜井論文あたり。
やっぱり、理論より具体的な文章の方が読みやすく感じてしまう。
なかでも今野論文の現代歴史学(言語論的転回以後の歴史学)と歴史教育の関係、その実践方法に関する論文が最も興味深かったです。