2009年11月29日日曜日

石刻と法帖

福本雅一『石刻と法帖』(藝文書院、2009年6月)

石刻概論(初出は1993年)と『淳化閣帖』などの概説。
書道史からみた石刻概論としては、比較的まとまっていて読みやすい。
というか、日本では藤原楚水『書道金石学』(三省堂、1953年)や
本書のように書道史側の入門書しか作られていない。
歴史学の立場から書かれた石刻概論書を読んでみたいと思う。

通り道


不審者を見たような顔つき。
別に怪しいものではないですよ。

内陸アジア出土古文献研究会

東洋文庫・内陸アジア出土古文献研究会12月例会
日時:12月12日(土) 午後2:00-5:30
場所:明治大学駿河台校舎研究棟4階 第一会議室  

報告
岡野誠「杏雨書屋所蔵唐開元雑律疏断簡の再検討」
山口正晃「敦煌学百年―現状と課題―」

2009年11月26日木曜日

鑑真

東野治之『鑑真』(岩波新書、2009年11月)


鑑真の渡日に関する苦心談は抑えめにし、
鑑真の師や学問の環境などの来日以前の鑑真と、
受戒や唐招提寺など来日後に鑑真が果たした役割に焦点をあてている。
鑑真のもたらした戒律は根づかなかったが、
「鑑真の心が別の形で受け継がれた」とし、天台宗や最澄に言及している。
また、これまで一部の研究者に指摘されていた
道璿・良弁と鑑真の軋轢や、鑑真の弟子間の対立などを否定している。

2009年11月23日月曜日

龍谷大学東洋史学研究会

龍谷大学東洋史学研究会第33回研究大会
日時:2009年11月27日(金),午後1時15分より
会場:龍谷大学大宮学舎,清和館3階ホール

研究発表:1時15分~
椎名知世「南唐の対外政策における一考察」
高橋亮介「後趙仏教史再考」
石本利宏「先秦時代における秦の国家的性質」
赤羽奈津子「地域史からみる朝鮮古代史」

文学部特別講義:3時~
王小甫氏「トルファンにおける吐蕃及びチベット仏教の遺跡」

2009年11月22日日曜日

四国東洋学研究者会議

2009年度四国東洋学研究者会議 
日程:2009年11月28日・29日
場所:愛媛大学

第1日 11月28日(土)14:00~17:00
会場:愛媛大学法文学部中会議室(法学部本館2階)
邢東風「フィールドワークと中国仏教史の研究について」
張子侠「《呉書》作者辨」
徐国利「徽州文書的理論研究与整理方法」
胡中生「宋明以来民間修譜面臨的血縁困境及其解決―以徽州為中心的探討」
 
第2日 11月29日(日)9:00~12:00
会場:愛媛大学 職員会館 小会議室
片岡一忠「清朝外交史と新疆問題」
牧野修二「チンギス汗の金国侵入時の軍事編制について」
 

「伝えゆく典籍の至宝」参観

五島美術館で11月29日まで開催されている
「伝えゆく典籍の至宝」を見に行ってきました。

漢籍以外、あまり興味ないので、すぐに見終わるかなぁ、
なんて思って行ったのだけど、想定外の面白さでした。
さすが五島美術館。

まず興味をひかれたのが、「金光明最勝王経」。
奈良時代の写本なのだけど、
平安時代のヲコト点(多分、博士家系統)がつけられている。
写本の作成年代と読まれた時期が違っているのが興味深い。

また、平安時代後期に作られた類書(『幼学指南鈔』)や、
『伊呂波字類抄』・『和妙類聚抄』などの古辞書の写本も面白かった。

もちろん、金沢文庫本『白氏文集』・『論語集解』・駿河版『群書治要』・
秀頼版『帝鑑図札』などなど、漢籍も非常に充実してました。
なかでも古典籍展観大入札会で手に取った直江版『文選』が、
ケースの中で鎮座しているのを見た時は妙に嬉しかったです。


でも、一番印象的だったのは、
藤原頼長の手跋のある『因明論疏』。
頼長は、政治家として、そして保元の乱の
中心人物として有名だけど、
ものすごい読書家としても名高い。
でも、彼の字はマジックペンで書いた
みたいで、お世辞にも名筆とはいえない。
なんだか親近感を覚えた。
解説には、悪筆をむしろ顕示していた、とある。
ますます、いいなぁ。


と、そんなこんなであっというまに時間が過ぎてしまい、
庭園を散歩する時間はおろか、
江戸期の写本・刊本をゆっくりみる時間もなくなってしまいました……。残念。 写真は、行く途中で見かけた日向ぼっこする猫。
満足そうにぬくそうな顔をしている。

2009年11月21日土曜日

白山史学会

2009年度 白山史学会大会
日時:2009年11月28日(土)13時30分~
会場:東洋大学白山校舎6号館2階6210教室   

研究報告 13時30分~
染井千佳「平安時代相撲節会における部領使の任命」 
浅松佑介「オスマン帝国対仏派遣使節イルミセキズ・チェレビィの使節行に見る「異文化接触のかたち」」

公開講演 15時30分頃~
谷口房男「『梁職貢図』の中の蛮使図」   
櫻井良樹「支那駐屯軍をめぐる国際関係」 

2009年11月19日木曜日

古典籍展観大入札会見学

平成21年度古典籍展観大入札会に行ってきた。
合計2000点以上の古典籍が所狭しと並んでいて、見ていて飽きない。
しかも手にとってじっくり見ることができるというのがすごい。
つい勢いで『古典籍展観大入札会目録』も購入してしまった。

色々あるなか、特に取り上げたいものが二点。

ひとつは、直江版文選(目録番号672)。
目録の説明によると、慶長12年(1607)刊、古活字版。
高木文庫・安田文庫旧蔵。
直江兼続が京都の要法寺へ依頼して開版。
元の黄土色表紙に紅色原題簽を有する。

直江版を手に取るのはもちろん、見るのもはじめて。
書誌学の知識は全くないけれど、ながめてるだけで面白い。
気になったのが、表紙に文書の裏紙を使用していること。
おそらく、ただの廃棄文書だとは思うけど、
もし、万一、直江兼続が紙を用意してたら、おもしろいのに…と妄想してみる。
でも、中身を確認するのはとてつもなく難しそうだ。

もうひとつ取り上げたいのが、
目録番号1223の安南国書幅(安南国から日本にあてた書状)。
目録には「副都堂福義侯阮粛 日本国国王座下」 光興十四年(天正十九年) 
新出資料 従来知られている、徳川家康宛慶長六年安南書は、
本状の形式・文言を踏襲したものと思われる、とある。

天正十九年は1591年。すなわち秀吉の時代。
かりにこの資料が本物なら、中近世の対外史にとって、
結構重要な資料だと思われる。 中身はうろ覚えだが、
日本国国王と象や贈答品をめぐるやりとりが書かれていた気がする。
そもそも、この日本国国王って誰なのだろうか。
かなり気になる。

2009年11月18日水曜日

歴博フォーラム

歴博フォーラム 第74回 「新春トラの巻」
日程:2010年1月16日(土)
時間:13時00分~17時00分
場所:ヤクルトホール(東京都港区東新橋1-1-19)
定員:530名(先着順)
参加費:無料
主催:国立歴史民俗博物館

プログラム
13:10~13:35  山田慎也「人生とトラ」
13:35~14:00 小池淳一「トラの昔話と芸能」
14:00~14:15 休憩
14:15~14:40  日高薫「トラを描く」
14:40~15:05 大久保純一 「寅年のトラ」
15:05~15:30 岩淵令治「江戸のトラ」
15:30~15:45 休憩
15:45~16:10 高橋一樹「“虎の威を借る”中世武士」
16:10~16:35 上野祥史「中国古代のトラ」
16:35~16:55 質疑応答

申し込み
往復ハガキまたはEメールにて、「1月16日 第74回歴博フォーラム 参加希望」と明記の上、
住所、氏名(ふりがな)、電話番号を書いてお申し込み。
お申し込み・お問い合わせ先
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117国立歴史民俗博物館 
広報サービス室 サービス・普及係


寅年だから、虎特集。
どうせだったらついでに猫特集もやればいいのに。
同じネコ科だし。

2009年11月16日月曜日

国際研討会:中国貨幣歴史再考察

国際研討会“中国貨幣歴史再考察―従多元性和互補性的観点来看” (貨幣論班第16回研究会)
主催:貨幣論班
日時:2009年12月15(火)・16日(水)
会場:東京大学東洋文化研究所大会議室 *来聴自由 
使用言語:中国語

12月15日(火)
9:30~12:00
黒田明伸「再考察中国貨幣歴史―従多元性和互補性的観点来看」
王文成「従銭刀到圜銭:中国春秋戦国時期銅鋳幣的標準化与多様性」
柿沼陽平「晋代貨幣経済的構造与其特色」

13:30~15:00
高聰明「論宋代貨幣不統一問題」
Richard von Glahn 「宋元時期紙幣制度建立和銅銭外流」

15:30~17:00
三宅俊彦「中国的窖蔵銭以及東亜的流通銭幣」
何平「従“短陌”看中国古代貨幣流通的特色—兼与日本的“撰銭”比較」
   
12月16日(水)
9:30~11:00
張瑞威「十六世紀初中国皇帝的礼儀消費与銅銭鋳造的関係」
和文凱「国家,市場与小額貨幣供応:比較視野下的清代銅銭問題」 

11:30~13:00
封越健「清代前期徽商典鋪的典当制度与経営管理—以〈文謨典條約〉為中心」
Hans Ulrich Vogel 「中国的銭之弊(1644-1850)—内含1794年四川綦江私鋳個案研究」

14:30~16:00 
総合討論  評論人:Christian Lamouroux
 

2009年11月15日日曜日

気合

さー、これからがんばるぞ!
やっぱ、休もっ。

2009年11月13日金曜日

白東史学会大会

白東史学会大会
日時:12月5日(土)14:00~17:20
場所:中央大学駿河台記念会館330号室

発表題目   
14:00~15:00 道上峰史「明朝の西南経営ー苗疆辺牆の成立とその背景ー」 
15:10~16:10 西村陽子「衛星写真を用いたスタイン地図の精度分析と考古調査への応用-Digital Excavationの試みー」(仮題)
16:20~17:20 石川厳「チベットにおける葬儀の仏教化-敦煌出土チベット語文献P.T.239表の分析を中心としてー」

宋代食羊文化と周辺国家

塩卓悟「宋代食羊文化と周辺国家」(宋代史研究会編『『宋代中国』の相対化』汲古書院、2009年7月)

北宋において大量の羊肉が消費されていた状況を確認したのち、
遼や西夏からの羊の輸入が、羊肉供給体制の一部を担っていたことを示し、
北宋と遼・西夏の経済関係に相互補完的側面もあったことを明らかにする。
不勉強ゆえ、北宋で食羊文化が発展していたこと自体、知らなかった。
食羊といった文化面から、国際関係・経済史に踏み込む研究手法が
とても面白いし、参考になる。

2009年11月12日木曜日

日本中国考古学会2009年度大会

日本中国考古学会・2009年度大会
日時:2009年11月21日(土)・22日(日)
場所:筑波大学春日キャンパス情報メディアユニオン2階メディアホール(大会・総会会場)
    筑波大学春日キャンパス情報メディアユニオン3階(ポスターセッション)
参加費:大会資料費 1000円

21日(土)一般報告
10時40分~11時20分:内田宏美「漢長安城未央宮出土の骨簽に関する一考察」
11時20分~12時00分:江介也「六朝期画像塼の編年と地域性について―紋様塼を中心に―」
13時00分~13時40分:徳留大輔「中国初期青銅時代の社会像のとらえ方に関する学説史的整理」
13時40分~14時20分:小林仁「初唐陶俑様式試論」
14時50分~15時30分:廣川守・今津節生・鳥越俊行・河野一隆・市元塁「X線CTスキャナを活用した殷周青銅器の構造解析」
15時30分~16時10分:徐光輝「高句麗壁画の浄土変について」
16時10分~16時50分:ポスターセッション
17時00分~17時30分:総会

22日(日)シンポジウム「装飾・図像へのまなざし」
10時40分~11時40分:記念講演 小南一郎「図像配置の意味―漢代墓葬画像を例として」
12時40分~13時10分:今村佳子「先史時代の図像とその解釈」
13時10分~13時40分:内田純子「殷周青銅器の装飾研究」
13時40分~14時10分:上野祥史「漢代図像資料と検討視角」
14時30分~15時00分:吉開将人「ドンソン系銅盂と漢系銅洗」
15時00分~15時30分:八木春生「隋時代菩薩造像にみられる装飾について」
15時40分~16時40分:討論会

2009年11月10日火曜日

卑弥呼と台与

仁藤敦史『卑弥呼と台与―倭国の女王たち』(山川出版社、2009年10月)

日本史リブレット人の001番。
邪馬台国畿内説の立場から、卑弥呼の王権について論じている。
倭人・卑弥呼と後漢・公孫氏・魏との外交関係を検討し、
特に公孫氏との関係を強く指摘。
また、鬼道と鏡、鉄資源の流通などから、
卑弥呼の王権や大人による「共立」背景について論じている。
そして、卑弥呼・台与の時代には、
王権を安定的に継承させるシステムが完成していなかったとする。

邪馬台国・卑弥呼については、限られた資料をもとに、
様々な議論が次々に提出されていて、終わる気配が無い。
手を出すまいと改めて固く心に誓った。

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11月13日追記
数日前に、纒向遺跡から建築(宮殿?)遺構が発見されたという報道があった。
邪馬台国畿内説への追い風になるのは間違いないが、
それでも完全に決まったわけではないのが、難しいところ。

2009年11月8日日曜日

五代の「中国」と平王

山崎覚士「五代の「中国」と平王」(宋代史研究会編『『宋代中国』の相対化』汲古書院、2009年7月)

五代期に特有の在り方を示す東・西・南・北平王に着目。
四平王は、華北諸政権の実効支配領域の境界付近勢力(節度使)に付与され、
「中国」の範囲を示した指標的官職であるとする。
そして、宋によって「天下」統一が果たされ、歴史的役割を終えたとする。
また、四平王のうち、南平王(荊南)は、現在では十国のうちの一つに
数えられているが、 五代・北宋初には十国に数えられておらず、
欧陽脩撰『五代史記』の成立によって、十国と規定されるようになったことを指摘。
宋朝の生み出した「五代十国」史観の相対化の必要性を述べる。

大変、興味深い論考。宋朝の前代史観が現在の歴史観をも規定していることは、
平田陽一郎「唐代兵制=府兵制の概念成立をめぐって―唐・李繁『鄴侯家伝』の史料的性格と位置づけを中心に―」(『史滴』147、2002年9月)も指摘している。
宋代以前を研究する上でも、宋代の研究が欠かせないことを改めて実感。

続々日宋貿易の研究

新編森克己著作集編集委員会編『新編森克己著作集3 続々日宋貿易の研究』(勉誠出版、2009年10月)

新編森克己著作集も3冊目。
次の『著作集4 増補日宋文化交流の諸問題』こそが本命なのだが、
一応、『著作集2 続日宋貿易』と3も読んでおくことにする。
なお、『著作集1 新訂日宋貿易の研究』は買いそびれたので、
近いうちに購入する予定。

で、感想なのだけど、海域アジア史について素人同然の目からみても、
なんだかとても古臭い。著作集2ではそんなに感じなかったんだけどなぁ……。
村井章介氏の解説が、問題点を端的に指摘している。

2009年11月7日土曜日

上代文学会秋季大会

上代文学会秋季大会シンポジウム
日時:11月14日(土)午後2時~5時30分
会場:日本女子大学 香雪館4階401教室

テーマ:仏教と上代文学
曾根正人「上代「仏教」の実態と研究者の「仏教」」
北條勝貴「神身離脱の内的世界―救済論としての神仏習合―」
増尾伸一郎「上代文学と東アジアの漢訳仏典」
司会 瀬間正之

大遣唐使展

平城遷都1300年記念 大遣唐使展
日程:2010年4月3日(土)~6月20日(日)
場所:奈良国立博物館
開館時間:午前9時30分~午後5時 *4月30日(金)より毎週金曜日は午後7時まで。
休館日:毎週月曜日 *5月3日(月・祝)は開館
観覧料金:一般1400円 高校・大学生1000円 小中学生500円

展示品(一部)
「国宝 聖観音菩薩立像」(飛鳥~奈良時代、薬師寺蔵)
「観音菩薩立像」(唐・神龍2年(706)、ペンシルバニア大学博物館蔵)
「国宝 刺繍釈迦如来説法図」(唐or飛鳥~奈良時代、奈良国立博物館蔵)
「国宝 錫杖頭(伝空海請来)」(唐代、善通寺蔵)
「吉備大臣入唐絵巻」(平安時代、ボストン美術館蔵)
「国宝 伝教大師将来目録」(唐・貞元21年(805)、延暦寺蔵)

2009年11月6日金曜日

京都の猫

京都の猫は、なんとなく雅な感じ。
というのは、京都という言葉の雰囲気に惑わされているだけだろう。なんか見られてるなぁ。

戒律文化研究会

戒律文化研究会 第八回学術大会 シンポジウム・見学会
日時:11月8日(日)午前9時~午後5時頃
場所:唐招提寺(奈良市五条町)

午前:学術大会個別研究報告 9時受付 9時20分開会
西山明彦「道宣の著作に見られる戒律観」
船山徹「梵網経下巻先行説の再検討」
稲本泰生「鄮県阿育王塔考―その形態の来源と本生図の意味―」
真田尊光「金堂建立後の唐招提寺」
星山晋也「唐招提寺金堂本尊の台座・光背について」
松尾剛次「唐招提寺證玄五輪塔と西琳寺惣持五輪塔をめぐって」

午後:唐招提寺金堂落慶記念シンポジウム「金堂大修理の成果から」 13時30分開始
吉川聡「唐招提寺境内の変遷」
田中泉「金堂修理の建築史上の成果と知見」
米川裕治「金堂修理の考古学上の成果と知見」
奥健夫「金堂内の仏像修理の成果と知見」

境内見学会 15時30分~17時

参加費:会員無料、非会員1600円(拝観料600円+資料代1000円)
事前に戒律文化研究会事務局まで参加申し込み。