2011年2月3日木曜日

崩壊する大学と「若手研究者問題」

崎山直樹「崩壊する大学と「若手研究者問題」―現状分析と展望―」(『歴史学研究』876、2011年2月)

近年、話題になっている若手研究者問題を正面から取り上げた時評。「Ⅰ 中期財政フレームの衝撃」と「Ⅱ 若手研究者問題の現在」の二部構成。

若手研究者問題に焦点をしぼったⅡでは、大学院生・非常勤講師・ポストドクターをとりあげ、1970年代~80年代にかけて発生した「オーバードクター問題」との違いも示しています。

自己責任論の立場をとる研究者も多いでしょうが、それはそれとして、的確な進路指導をするためにも、「歴史学領域における若手研究者の実態調査と情報共有は必須である」と思います。文中で紹介されていた日本社会学会のアンケート調査報告(2009年実施)は、かなり参考になります。

東方学121

『東方學』第121輯(東方學會、2011年1月)

学会・研究会のHPは、なかなか新刊情報を更新してくれないところが多いのですが、東方学会のHPは、すぐに東方学の新刊の目次をアップしてくれます。地味だけど嬉しいサービスです。

【論文】
池田雄一「中国古代の律令と習俗」
鈴木直美「「収帑諸相坐律令」撤廃考―文帝の即位事情と賜爵を中心にして―」
十川陽一「日唐における「散位」と「散官」」
徳永洋介「景迹と警跡―宋元時代の治安措置―」
福田素子「雑劇『崔府君断冤家債主』と討債鬼故事」
松浦智子「楊門女将「宜娘」考―楊家将故事と播州楊氏―」
荒木達雄「岡島冠山『太平記演義』に見る「水滸伝」の影響」
謝恵貞「中国新感覚派の誕生―劉吶鴎による横光利一作品の翻訳と模作創造―」

【翻訳】
黄正建著、河上麻由子訳「唐代衣食住行の研究と日本の資料」

平成22年度第29回東方学会賞発表
第60回全国会員総会講演・研究発表要旨

【座談会】
「先学を語る」―山本達郎博士―
  〔出席〕池田 温、池端雪浦、石沢良昭、辛島 昇、桃木至朗

【追悼文】
小島毅「溝口雄三教授追悼文」
戸川芳郎「溝口雄三君を悼む」
池田温「窪徳忠博士追悼文」
田辺和子「前田恵學先生を悼む」