2011年1月30日日曜日

みえないちから&OPEN SPACE2010

先日、曽根裕展の感想を書きましたが、
東京オペラシティでは、あと二つ展覧会がやってました。
今日はその感想を。

「みえないちから」は、東京オペラシティタワー四階のNTTインターコミュニケーションセンター[ICC]ギャラリーAで開催中。一般500円。コンセプトは「さまざまなエネルギーや現象としての振動を」めぐる多様に解釈されうる「みえないちから」を表現する作品を紹介」するというもの。

作品数は全部で7点。そのうち、大半が映像作品。
正直いって、あまりピンときませんでした。
身近なものを電気コードなどで組み合わせ、
微細な空気の流れなどに連動して動く
堀尾寛太の《スピードスイッチング》は、
愛知トリエンナーレで見た梅田哲也の作品に似ているような気が……。
違いがよくわからなかったなぁ。


「みえないちから」よりも、ずっとおもしろかったのが、NTTコミュニケーションセンターで開催中の「OPEN SPACE2010」。こちらは無料。「メディア・テクノロジーと芸術文化の関係をわかりやすく紹介」しています。

作品数は合計14点。大半が最新テクノロジーを使った作品。
イェンス・ブラントの《G-G-Gストア東京:ひとつの世界 3つのプレーヤー》は、地球をレコード盤に見立てた作品。人工衛星の軌道下の地点の標高が音に置き換えられている。地球の音を聞くことができる。
ゲープハルト・ゼンクミュラー+フランツ・ビュッヒンガー《パラレル・イメージ》は、テレビになり得たかもしれないもうひとつの技術を紹介。雰囲気は全然違うけど、蒸気駆動歯車式コンピュータが実用化された世界を描いたSF『ディファレンス・エンジン』を思わせる設定。


しかし、なんといっても一番良かったのは、
クワクボリョウタ《10番目の感傷(点・線・面)》。
真っ暗な部屋。床に置かれた小さな日用品の間をぬって、
小さな照明のついた鉄道模型が走っていく。
壁や天井に次々にうつる影。
なんだか、妙にノスタルジーかき立てられる作品。
「千と千尋の神隠し」の電車のシーンを思い出してしまった。
他の作品がメディア・テクノロジーを駆使しているのに対し、
鉄道模型と日用品だけを用いているのもいい感じ。

クワクボリョウタは、「デバイス・アーティスト」と称されることが多いみたいで、デジタルとアナログの境界線上の作品を作ってるのだけど、今回はあくまでローテクでせめている。メディアアートの展覧会で、一押しがローテク作品。やっぱりアートで最も大事なのは、テクノロジーじゃないんだな、と改めて実感。

ちなみに下はクワクボリョウタの商品化された作品《ニコダマ》。

それから、疑似しっぽの《シリフリン》。



「みえないちから」も「OPEN SPACE2010」も2011年2月27日まで。
休館日は月曜日。開館時間は11時~18時。

世界史史料3・4

歴史学研究会編『世界史史料3 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅠ 10世紀まで』(岩波書店、2009年12月)
歴史学研究会編『世界史史料4 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅡ 10-18世紀』(岩波書店、2010年11月)

参考書として購入。まだ拾い読みしかしてないけど、各史料の解説がとても参考になります。ただ、史料については、3では漢文の場合は基本的に書き下しだったのだけど、4では担当者によって、書き下しだったり、翻訳だったりとバラバラなのが少し気にかかりました。

また、執筆者紹介の欄はないので、詳細はわかりませんが、
どうやら執筆者選定の方針に少し違いがありそうです。
主に中国史部分を比較してみようと思います。

世界史史料3
第1章(中国古代:殷周・秦・漢):鶴間和幸・平勢隆郎・濱川栄
第2章(魏・晋・南北朝):金子修一・關尾史郎
第3章(隋・唐):金子修一・關尾史郎・妹尾達彦・荒川正晴
第5章(内陸アジア):關尾史郎・荒川正晴・吉田豊・石川巖
合計9人。

世界史史料4
第1章(宋代中国と近隣諸国家):岸本美緒・須江隆・平田茂樹・高井康行・梅村坦・矢澤知行・久保田和男・土肥祐子・松井太・鈴木弘一郎
第2章(モンゴル帝国):岸本美緒・宇野伸浩・赤坂恒明・矢澤知行・四日市康博・中村淳・新宮学・石濱裕美子・平田茂樹
第3章(明清時代の中国):岸本美緒・新宮学・楠木賢道・黨武彦・柳澤明・則松彰文・村上衛・中島楽章・林文孝
第5章(内陸アジア):柳澤明・赤坂恒明・澤田稔・小沼孝博・久保一之・野田仁・井上治・岡洋樹・岸本美緒・中村篤志・ブレンサイン・萩原守・石濱裕美子・小松原ゆり・玉井陽子
合計34人。

ぱっと見て3より4の方が、執筆者多そうだなと思ったのですが、まさかここまでとは。打ち込み始めてから、やらなきゃよかったと思いました。史料・分野の多様化のためなのか、それとも別の要因なのか、よくわかりませんが、とりあえず平均年齢は世界史史料4のほうが低そうです。

古代の都はどうつくられたか

吉田歓『古代の都はどうつくられたか―中国・日本・朝鮮・渤海』(吉川弘文館、2011年2月)

歴史文化ライブラリー313。東アジアの都城についての概説書。
漢代から隋唐代の都城の変遷を述べた後、
日本・朝鮮・渤海の都城を紹介し、
隋唐長安城が与えた影響の違いを述べている。

ここ最近ブログで紹介した三国時代の都城についていえば、
後漢の北宮に太極殿が建造されたとする近年の説に従っている。
ただ、この問題には深入りせず、
明帝による太極殿(東堂・西堂の付設)建造、
曹操期の鄴城における官庁配置と宮殿の機能分化に、
より深い関心をよせている。