『アジア遊学132 東アジアを結ぶモノ・場』(勉誠出版、2005年5月)
今回は、日本と中国を行き来したモノを中心に、
東アジア海域世界の多様性・多義性を浮かび上がらせようとしている。
目次は以下の通り。
久保智康「海を渡った密教法具」
佐々木守俊「入唐僧と檀印」
瀧朝子「仏像とともに海を渡った鏡―清凉寺釈迦如来像―」
吉村稔子「平安時代中期の天台浄土教とその美術」
荒木浩「モノの極北―ツクモ・心・コトバ―」
山内晋次「『香要抄』の宋海商史料をめぐって」
高橋昌明「宋銭の流通と平家の対応について」
横内裕人「久米田寺の唐人―宋人書生と真言律宗―」
蓑輪顕量「麈尾と戒尺」
西山美香「浄智寺の奇瑞―福州版大蔵経焼失と舎利現出―」
水越知「「忠臣」、海を渡る―日中における文天祥崇拝―」
西谷功「楊貴妃観音像の〈誕生〉」
荒木和憲「中世対馬宗氏領国の海域交流保護政策」
橋本雄「大内氏の唐物贈与と遣明船」
伊藤幸司「硫黄使節考―日明貿易と硫黄―」
藤田明良「明清交替期の普陀山と日本―大蔵経日本渡来事件を中心に―」
松島仁「〈中華〉の肖像、あるいは徳川日本のセルフイメージ」
澤田和人「慶長小袖の時代性―中国・韓国の染織品と比較して―」
松尾晋一「港町長崎の危機管理―転換点としてのフェートン号事件」
ほとんどが中世以降。全体的に仏教関係が多い。
日中交流中心で、朝鮮半島や琉球はあまり取り上げられていない。
個人的には、山内晋次氏・水越知氏・橋本雄氏・伊藤幸司氏・
藤田明良氏・松島仁氏の論稿が興味深かった。
2010年6月5日土曜日
2010年6月3日木曜日
日本宋史研究の現状と課題
浅見洋二・平田茂樹・遠藤隆俊編『日本宋史研究の現状と課題―1980年代以降を中心に―』(汲古書院、2010年5月)
目次は以下の通り。
遠藤隆俊・平田茂樹・浅見洋二「前言」
平田茂樹「政治史研究―国家史・国制史研究との対話を求めて―」
小川快之「法制史研究」
宮澤知之「財政史研究」
岡元司「地域社会史研究」
遠藤隆俊「家族宗族史研究」
久保田和男「都市史研究」
須江隆「地方志・石刻研究」
市來津由彦「儒教思想研究」
松本浩一「仏教道教史研究」
内山精也「文学研究―詞学および詩文を中心に―」
勝山稔「古典小説研究およびその史学的研究への活用」
板倉聖哲「絵画史研究」
山崎覚士「五代十国史研究」
飯山知保「遼金史研究」
榎本渉「日宋交流史研究」
1980年代以降を中心とした研究史整理。
様々なジャンルが網羅されていて、内容も充実している。
西夏史が取り上げられていなかったのが、ちょっと残念。
『中国歴史研究入門』では、大まかな研究状況しかわからないし、
『史学雑誌』の回顧と展望では、長期的状況はよくわからない。
だから、こうした試みは、本当にありがたい。
他の時代でもやってくれないだろうか。
目次は以下の通り。
遠藤隆俊・平田茂樹・浅見洋二「前言」
平田茂樹「政治史研究―国家史・国制史研究との対話を求めて―」
小川快之「法制史研究」
宮澤知之「財政史研究」
岡元司「地域社会史研究」
遠藤隆俊「家族宗族史研究」
久保田和男「都市史研究」
須江隆「地方志・石刻研究」
市來津由彦「儒教思想研究」
松本浩一「仏教道教史研究」
内山精也「文学研究―詞学および詩文を中心に―」
勝山稔「古典小説研究およびその史学的研究への活用」
板倉聖哲「絵画史研究」
山崎覚士「五代十国史研究」
飯山知保「遼金史研究」
榎本渉「日宋交流史研究」
1980年代以降を中心とした研究史整理。
様々なジャンルが網羅されていて、内容も充実している。
西夏史が取り上げられていなかったのが、ちょっと残念。
『中国歴史研究入門』では、大まかな研究状況しかわからないし、
『史学雑誌』の回顧と展望では、長期的状況はよくわからない。
だから、こうした試みは、本当にありがたい。
他の時代でもやってくれないだろうか。
三国志演義の世界【増補版】
金文京『三国志演義の世界【増補版】』(東方書店、2010年5月)
1993年に出された東方選書39を増補したもの。
九章「東アジアの『三国志演義』」が丸々付け足されている。
他の章も多少の増補がなされているらしい。
七章「『三国志演義』の出版戦争」では、2010年の最新情報が見える。
恥ずかしながら、旧版を持ってなかったので、
増補版が出たのを機に購入。
『三国志演義』の成り立ちを知るには手ごろな一冊。
1993年に出された東方選書39を増補したもの。
九章「東アジアの『三国志演義』」が丸々付け足されている。
他の章も多少の増補がなされているらしい。
七章「『三国志演義』の出版戦争」では、2010年の最新情報が見える。
恥ずかしながら、旧版を持ってなかったので、
増補版が出たのを機に購入。
『三国志演義』の成り立ちを知るには手ごろな一冊。
2010年5月31日月曜日
史学概論
遅塚忠躬『史学概論』(東京大学出版会、2010年5月)
歴史学者が書くこんな史学概論を待っていた。
史学概論といっても、史学史や研究法などではなく、
歴史学とは何か、という問題を正面から扱っている。
目次は以下の通り。
はしがき
序論:史学概論の目的
第1章:歴史学の目的
第2章:歴史学の対象とその認識
第3章:歴史学の境界
第4章:歴史認識の基本的性格
問題は多岐にわたっていますが、カギとなるのは、事実と真実。
歴史学は、事実には迫りうるが、真実は扱えないとする。
もちろん、言語論的転回論を踏まえ、素朴実在論は否定している。
著者は、基本的に事実実在論の立場を取るが、
部分的または全面的に「揺らぐ」事実(主に事件史・文化史など)が
存在することを指摘し、「柔らかな実在論」を提唱している。
不勉強なだけかもしれませんが、
歴史学者が言語論的転回論や「物語り」論に
ここまで正面からまとめて応答したことは、
これまであまり無かったような気がします。
僕個人としては、納得の内容(影響されやすいだけかも)。
ま、先鋭的な研究者なら、頑固な見解とみなすでしょうし、
逆に「柔らかな実在論」に納得いかない人もいるでしょうね。
今後の議論が楽しみです。
歴史学者が書くこんな史学概論を待っていた。
史学概論といっても、史学史や研究法などではなく、
歴史学とは何か、という問題を正面から扱っている。
目次は以下の通り。
はしがき
序論:史学概論の目的
第1章:歴史学の目的
第2章:歴史学の対象とその認識
第3章:歴史学の境界
第4章:歴史認識の基本的性格
問題は多岐にわたっていますが、カギとなるのは、事実と真実。
歴史学は、事実には迫りうるが、真実は扱えないとする。
もちろん、言語論的転回論を踏まえ、素朴実在論は否定している。
しかし、その一方で歴史「物語り」論も否定している。
著者は、基本的に事実実在論の立場を取るが、
部分的または全面的に「揺らぐ」事実(主に事件史・文化史など)が
存在することを指摘し、「柔らかな実在論」を提唱している。
不勉強なだけかもしれませんが、
歴史学者が言語論的転回論や「物語り」論に
ここまで正面からまとめて応答したことは、
これまであまり無かったような気がします。
僕個人としては、納得の内容(影響されやすいだけかも)。
ま、先鋭的な研究者なら、頑固な見解とみなすでしょうし、
逆に「柔らかな実在論」に納得いかない人もいるでしょうね。
今後の議論が楽しみです。
2010年5月27日木曜日
東アジア世界史研究センター公開講座
平成22年度東アジア世界史研究センター公開講座
全体テーマ:遣唐使外交の終焉と東アジア・日本
日時:2010年7月10日(土)13:00~17:00
会場:専修大学生田校舎10号館10203教室
講演
13:00~13:20 荒木敏夫「趣旨説明」
13:20~14:20 皆川雅樹「モノから見た遣唐使以後の東アジアの交流」(仮題)
14:30~15:30 佐藤宗諄「大陸文化の「日本化」と国際交流~白詩と道真~」
15:50~17:00 討論
募集人員:250名(聴講無料・申込者多数の場合は抽選)
参加希望者の方は、東アジア世界史研究センターのHPで、
申込方法などをご覧になってください。
全体テーマ:遣唐使外交の終焉と東アジア・日本
日時:2010年7月10日(土)13:00~17:00
会場:専修大学生田校舎10号館10203教室
講演
13:00~13:20 荒木敏夫「趣旨説明」
13:20~14:20 皆川雅樹「モノから見た遣唐使以後の東アジアの交流」(仮題)
14:30~15:30 佐藤宗諄「大陸文化の「日本化」と国際交流~白詩と道真~」
15:50~17:00 討論
募集人員:250名(聴講無料・申込者多数の場合は抽選)
参加希望者の方は、東アジア世界史研究センターのHPで、
申込方法などをご覧になってください。
2010年5月23日日曜日
周恩来秘録
高文謙著、上村幸治訳『周恩来秘録―党機密文書は語る―』上・下(文春文庫、2010年5月)
2007年3月に刊行された同著の文庫化。
著者自身はもともと中国共産党中央文献研究室に勤務して、
周恩来生涯研究小組組長をつとめたが、天安門事件後に渡米した人物。
ただ、この本はあくまでノンフィクション。
「「大宰相」周恩来のイメージを覆す衝撃の書」というけど、
まぁ、どちらかといえば、予想通りの内容。
生き残るために、心ならずも文革に加担し、
戦友たちを切り捨てる側に回ってしまった悲劇と責任。
文革と行政のすりあわせに神経をつかう日々などなど。
ただ、予想以上だったのが、周恩来に対する毛沢東の嫉妬・猜疑心。
ここまでやるかぁ、といった感じ。しかし、もっとすごいのが、
様々な罠や闘争をギリギリでなんとか回避して、生き残った周恩来。
この才能を行政・外交の場で思いっきり活用できたらよかったのに。
到底まねできないけど、ある種の教科書として読むことも不可能ではない。
2007年3月に刊行された同著の文庫化。
著者自身はもともと中国共産党中央文献研究室に勤務して、
周恩来生涯研究小組組長をつとめたが、天安門事件後に渡米した人物。
ただ、この本はあくまでノンフィクション。
「「大宰相」周恩来のイメージを覆す衝撃の書」というけど、
まぁ、どちらかといえば、予想通りの内容。
生き残るために、心ならずも文革に加担し、
戦友たちを切り捨てる側に回ってしまった悲劇と責任。
文革と行政のすりあわせに神経をつかう日々などなど。
ただ、予想以上だったのが、周恩来に対する毛沢東の嫉妬・猜疑心。
ここまでやるかぁ、といった感じ。しかし、もっとすごいのが、
様々な罠や闘争をギリギリでなんとか回避して、生き残った周恩来。
この才能を行政・外交の場で思いっきり活用できたらよかったのに。
到底まねできないけど、ある種の教科書として読むことも不可能ではない。
日本中世史の新書・選書
ここ数日、日本中世史に関する新書・選書を立て続けに読みました。
伊藤正敏『無縁所の中世』(ちくま新書、2010年5月)
本郷和人『選書日本中世史1 武力による政治の誕生』(講談社選書メチエ、2010年5月)
かたや寺社勢力、かたや武家勢力。
中世のはじまりも、かたや1070年(比叡山が諸役不入権を獲得)、
かたや12世紀末の鎌倉幕府の成立。
おそらく両者とも、いわゆる「主流」からは、ちょっと(?)はずれてるのだろうけど、
これだけ中世観が違うと、困惑するより面白くなってくる。
これから日本中世史は、ますます熱くなってくるのかもしれないなぁ、
そんなことを感じました。
伊藤正敏『無縁所の中世』(ちくま新書、2010年5月)
本郷和人『選書日本中世史1 武力による政治の誕生』(講談社選書メチエ、2010年5月)
かたや寺社勢力、かたや武家勢力。
中世のはじまりも、かたや1070年(比叡山が諸役不入権を獲得)、
かたや12世紀末の鎌倉幕府の成立。
おそらく両者とも、いわゆる「主流」からは、ちょっと(?)はずれてるのだろうけど、
これだけ中世観が違うと、困惑するより面白くなってくる。
これから日本中世史は、ますます熱くなってくるのかもしれないなぁ、
そんなことを感じました。
2010年5月20日木曜日
ハングルの誕生
野間秀樹『ハングルの誕生―音から文字を創る』(平凡社新書、2010年5月)
全9章(序章・1~8章・終章)構成で、
前4章がハングル前史・ハングルの構造、
後4章がハングル(正音)の誕生から現在までの歴史を扱っている。
「はじめに」で、言語・文字自体について考えることを避けたい人は、
序章・第1章から第4章に飛んでも構わない、
と述べているが、その読み方はものすごくもったいない。
第2章で、漢字の構造、訓読の構造などを語った後、
第3章で、20世紀言語学を先取りしているハングル(正音)の仕組みについて、
詳細に論じ、「〈正音〉は音韻論、音節構造論、形態音韻論の三層構造である」
と述べている。この第3章こそが本書の核で、一番熱入っていて面白い。
言語学の知識がないため、ついていけないかな、と最初は思ったのですが、
全くそんなことはなく、十分楽しめました。
第4章のハングル(正音)の誕生は、ちょっとあっさりしているけど、
第5章では、ハングル(正音)は近代以前あまり使われていなかった、
というイメージを見事に打ち破ってくれます。
新書としては、368頁(本文319頁・索引・年表などが48頁)と
ちょっと大部ですが、読みごたえあります。
全9章(序章・1~8章・終章)構成で、
前4章がハングル前史・ハングルの構造、
後4章がハングル(正音)の誕生から現在までの歴史を扱っている。
「はじめに」で、言語・文字自体について考えることを避けたい人は、
序章・第1章から第4章に飛んでも構わない、
と述べているが、その読み方はものすごくもったいない。
第2章で、漢字の構造、訓読の構造などを語った後、
第3章で、20世紀言語学を先取りしているハングル(正音)の仕組みについて、
詳細に論じ、「〈正音〉は音韻論、音節構造論、形態音韻論の三層構造である」
と述べている。この第3章こそが本書の核で、一番熱入っていて面白い。
言語学の知識がないため、ついていけないかな、と最初は思ったのですが、
全くそんなことはなく、十分楽しめました。
第4章のハングル(正音)の誕生は、ちょっとあっさりしているけど、
第5章では、ハングル(正音)は近代以前あまり使われていなかった、
というイメージを見事に打ち破ってくれます。
新書としては、368頁(本文319頁・索引・年表などが48頁)と
ちょっと大部ですが、読みごたえあります。
第14回六朝学術学会大会
第14回六朝学術学会大会
日時:2010年6月13日(日)12時40分~17時40分
会場:斯文会館講堂(湯島聖堂内)
大会参加費:1,000円、写真代:1,000円(希望者のみ)
懇親会費:6,000円(希望者のみ)
研究発表 12:50~15:45(各発表20分、質疑10分)
三田辰彦「東晋の「皇太妃」号議論とその展開」
北島大悟「沈約の隠逸観と文学」
佐野誠子「初唐期九月九日詩における陶淵明の影響」
小林聡「唐朝六大服飾体系の成立過程─六朝隋唐における礼制の変容と他文化受容─」
福山泰男「徐淑小考―文学テクスト上の性差をめぐって─」
記念講演 16:00~17:00
堀池信夫「<可道>と<常道>-『老子』第一章の読みをめぐって」
日時:2010年6月13日(日)12時40分~17時40分
会場:斯文会館講堂(湯島聖堂内)
大会参加費:1,000円、写真代:1,000円(希望者のみ)
懇親会費:6,000円(希望者のみ)
研究発表 12:50~15:45(各発表20分、質疑10分)
三田辰彦「東晋の「皇太妃」号議論とその展開」
北島大悟「沈約の隠逸観と文学」
佐野誠子「初唐期九月九日詩における陶淵明の影響」
小林聡「唐朝六大服飾体系の成立過程─六朝隋唐における礼制の変容と他文化受容─」
福山泰男「徐淑小考―文学テクスト上の性差をめぐって─」
記念講演 16:00~17:00
堀池信夫「<可道>と<常道>-『老子』第一章の読みをめぐって」
第26回学習院大学史学会大会
第26回学習院大学史学会大会
日程:2010年6月12日(土)
会場:学習院大学百周年記念会館
研究発表 *中国史関係のみあげます
第一会場:3階第1会議室
14:10~15:10 矢沢忠之「前漢における保塞蛮夷と辺境防衛」
第二会場:3階第3会議室
13:00~14:00 村松弘一「碑林から博物館へ―近代西安における文物保護事業の展開」
講演:小講堂
15:30~16:30 鐘江宏之「 「日本の7世紀史」再考―遣隋使から大宝律令まで―」
16:45~17:45 石見清裕 「唐の貢献制と国信物―遣唐使への回賜品―」
日程:2010年6月12日(土)
会場:学習院大学百周年記念会館
研究発表 *中国史関係のみあげます
第一会場:3階第1会議室
14:10~15:10 矢沢忠之「前漢における保塞蛮夷と辺境防衛」
第二会場:3階第3会議室
13:00~14:00 村松弘一「碑林から博物館へ―近代西安における文物保護事業の展開」
講演:小講堂
15:30~16:30 鐘江宏之「 「日本の7世紀史」再考―遣隋使から大宝律令まで―」
16:45~17:45 石見清裕 「唐の貢献制と国信物―遣唐使への回賜品―」
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