上田純一『足利義満と禅宗』(法蔵館、2011年9月)
シリーズ権力者と仏教の3。目次は次の通り。
第一章:日明国交回復への道
第二章:国交樹立
第三章:明朝の禅宗
第四章:日明両国を結ぶ禅僧たち
第五章:博多・兵庫における禅宗の展開
終章:国交断絶
足利義満の信仰の話かと思いきや、義満の対外政策(日明外交)に禅宗・禅僧が果たした役割に迫っている。先日ブログで紹介した『モノが語る日本対外交易史』や橋本雄『中華幻想―唐物と外交の室町時代史―』(勉誠出版、2011年3月)を読んでいたこともあって、興味深く読むことができた。
禅僧は外交事務能力や漢詩作成能力によって外交に関わったとする通説に対し、より積極的な意義があったのではないかとし、足利義満は明朝と太いパイプを持つ禅僧ネットワークの活用を企図したのではないかとする。明朝における禅宗の状況や日明間の禅僧の交流についても詳細に紹介している。
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