2011年9月18日日曜日

内陸アジア言語の研究26

『内陸アジア言語の研究』26(中央ユーラシア学研究会、2011年8月)

齊藤茂雄「突厥「阿史那感徳墓誌」訳注考―唐羈縻支配下における突厥集団の性格」
岩尾一史「古代チベット帝国支配下の敦煌における穀物倉会計―S.10647+Pelliot tibetain1111の検討を中心に」
西田祐子「『新唐書』回鶻伝の再検討―唐前半期の鉄勒研究に向けて」
松井大「古ウイグル語文献にみえる「寧戎」とベゼクリク」
趙振華著、中田裕子訳「唐代少府監鄭巖とそのソグド人祖先」

今号は唐代に関する論文が殆ど。いずれも大変興味深い。
齊藤論文は、墓誌を詳細に読み解いたうえで、
唐朝支配下の突厥遺民の様相について明らかにしている。
西田論文は、『新唐書』回鶻伝前半部(8世紀半ばまで)と先行記事とを詳細に比較し、回鶻伝前半部の編纂方針(先行記事の切り貼り)を明らかにし、編者に「鉄勒=ウイグル」という前提が存在したことを確認。『新唐書』回鶻伝前半部は、「歴史学的考察の根拠として用いることができない」とする。
趙論文は、墓誌を用いて、ソグド人でありながら、
漢姓(鄭)を名乗った鄭氏の存在を明らかにした。

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