野嶋剛『ふたつの故宮博物院』(新潮選書、2011年6月)
北京と台北に存在するふたつの故宮。
清末の文物流失、抗日戦争による文物移動、
そして国共内戦を経て、二つの故宮が成立し、
現在に至る過程を描く。
前近代中国史に関する凡ミス(例:曹操を宦官の息子とする)がけっこうあるし、第2章~第4章(故宮の歴史的経緯)が先行書籍をまとめただけで、物足りなかったけれど、現代の故宮をめぐる諸問題を扱った第1章・第6章・第7章はかなりおもしろかった。
一番よみごたえがあったのは、
陳水扁期の故宮改革とその挫折を述べた第1章。
院長などへのインタビューを通じて、
生々しく故宮改革の様子について描いている。
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