2009年11月22日日曜日

「伝えゆく典籍の至宝」参観

五島美術館で11月29日まで開催されている
「伝えゆく典籍の至宝」を見に行ってきました。

漢籍以外、あまり興味ないので、すぐに見終わるかなぁ、
なんて思って行ったのだけど、想定外の面白さでした。
さすが五島美術館。

まず興味をひかれたのが、「金光明最勝王経」。
奈良時代の写本なのだけど、
平安時代のヲコト点(多分、博士家系統)がつけられている。
写本の作成年代と読まれた時期が違っているのが興味深い。

また、平安時代後期に作られた類書(『幼学指南鈔』)や、
『伊呂波字類抄』・『和妙類聚抄』などの古辞書の写本も面白かった。

もちろん、金沢文庫本『白氏文集』・『論語集解』・駿河版『群書治要』・
秀頼版『帝鑑図札』などなど、漢籍も非常に充実してました。
なかでも古典籍展観大入札会で手に取った直江版『文選』が、
ケースの中で鎮座しているのを見た時は妙に嬉しかったです。


でも、一番印象的だったのは、
藤原頼長の手跋のある『因明論疏』。
頼長は、政治家として、そして保元の乱の
中心人物として有名だけど、
ものすごい読書家としても名高い。
でも、彼の字はマジックペンで書いた
みたいで、お世辞にも名筆とはいえない。
なんだか親近感を覚えた。
解説には、悪筆をむしろ顕示していた、とある。
ますます、いいなぁ。


と、そんなこんなであっというまに時間が過ぎてしまい、
庭園を散歩する時間はおろか、
江戸期の写本・刊本をゆっくりみる時間もなくなってしまいました……。残念。 写真は、行く途中で見かけた日向ぼっこする猫。
満足そうにぬくそうな顔をしている。

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