2010年1月9日土曜日

漢籍伝来

静永健『漢籍伝来―白楽天の詩歌と日本』(勉誠出版、2010年1月)

『白氏文集』が中世日本の文学に与えた影響を論じた論文集。
菅原道真、『竹取物語』などが取り上げられている。平易で読みやすかった。
特に興味深かったのが第四部の第三章にあたる「十三世紀の『白氏文集』」。
ほぼ同時代人の藤原定家と高麗の李奎報の詩歌から、
日本では旧抄本、高麗では宋刊本の『白氏文集』が用いられていたことを指摘。
日本と高麗の『白氏文集』受容の違い、
さらには13世紀以後の両地域の漢文学の違いについても言及している。

2010年1月7日木曜日

早稲田大学学術講演会

明清時代の稿本・鈔本・校本の鑑定について
講師:陳先行(上海図書館歴史文献センター副主任、国家文物鑑定委員会委員)
開催日時:2010/01/09(土)16:20 ~ 18:10
会場:戸山キャンパス39号館4階第4会議室
対象者:学生・大学院生・教職員・一般
参加費用:入場無料
主催 早稲田大学文学部中国文学研究室、早稲田大学中国古籍文化研究所

2010年1月6日水曜日

The Collection of 禿庵 TOKUAN —大谷瑩誠と京都の東洋学—

「The Collection of 禿庵 TOKUAN —大谷瑩誠と京都の東洋学—」
場所:大谷大学博物館
会期:2009年12月15日(火)~2010年2月13日(土)
休館日:通常休館日(日曜日・月曜日)
 冬期休暇期間(12月29日~1月6日)
 一般入試期間(2月9日~11日)
開館時間 10:00~17:00
観覧料 一般・大学生200円

大谷大学第13代学長大谷瑩誠が蒐集した
東洋学関係のコレクション約40点ほど展示。


記念講演会も開催。
日時:2010年1月16日(土)13:00~
会場:大谷大学響流館3階メディアホール
礪波護「大谷禿庵と京都の東洋学」

金沢貞顕

ということで、鎌倉つながりで、
永井晋『金沢貞顕』(吉川弘文館、2003年7月)と
永井晋『北条高時と金沢貞顕―やさしさがもたらした鎌倉幕府滅亡』(山川出版社、2009年10月)
を読みました。

『北条高時と金沢貞顕』は、日本史リブレット人シリーズの035。
金沢貞顕に関する内容は、おおむね『金沢貞顕』を踏襲しているが、
『金沢貞顕』にはあまり書かれていなかった、
北条高時政権の抱えてた問題点にも切り込んでいる。

北条高時といえば、闘犬好きの暗君というイメージがあったが、
実際には、病弱で穏やかな人物で、必ずしも無能ではなかったようだ。
(既に80年代終わりには、こうした高時像が知られていて、
マンガ「風の墓標」や大河ドラマ「太平記」にも反映していたらしい。
不勉強ゆえ、知らなかった……)

また、高時政権を支えた金沢貞顕は、
保守的だが有能な調整型の政治家であり、
長崎高資などの能吏も多かったので、
高時政権はそれなりに安定していた。

しかし、穏やかな安定志向の政権では、
当時発生していた矛盾・問題、情勢の変化に対応できず、
鎌倉幕府は滅亡にいたってしまった。


敗者をどう評価するか、
その難しさを感じさせられました。

内藤礼個展

先日、神奈川県立近代美術館の鎌倉館で開催されている
「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」に行ってきました。

内藤礼の作品は、いつ、どこで見ても、
繊細で、ひそやかで、かすかな温かさを感じさせる。
正直、よくわからないなぁ、と思うけど、
なんだか気になって、次も見たくなってしまう。
そんな感じの作品。

とはいえ、実際に見るのは、
一昨年の「パラレル・ワールド展」(東京都現代美術館)、
昨年の個展(ギャラリー小柳)に続いて、
三度目にすぎないのですが。

今回は神奈川県立近代美術館・鎌倉館の武骨な建物の内外に、
9種類の作品を展示している。
いずれも、人の動きや自然の光・風などによって、
かすかに反応し、変化する作品。
穏やかで、自己主張がなくて、
うっかりすると見落としてしまいそう。
作品のアップ写真はダメだそうですが、
美術館の風景写真の中に写る分には問題ないそうです。

曇りの日や雨の日は、また違った表情をみせるんでしょうね。

美術館の上をトンビがたくさん飛んでいました。
それもまたよかったです。


内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している
神奈川県立近代美術館 鎌倉
2009年11月14日(土)~2010年1月24日(日)
時間:9時半~17時
休館日:1月12日、月曜日
観覧料:一般700円、学生550円

2010年1月3日日曜日

歴史はもっとおもしろい

福岡大学人文学部歴史学科編著『歴史はもっとおもしろい―歴史学入門12のアプローチ』(西日本新聞社、2009年11月)

福岡大学人文学部歴史学科の教員による歴史入門書で、
『歴史はおもしろい』の続編。
アジア史関係は、以下の5篇。
則松彰文「大英帝国の苦悩と中国巨大市場」
桃崎祐輔「中世博多のチャイナタウン」
山根直生「論文までの迷い道」
紙屋正和「秦王朝:「歴史」による占領地の支配」
武末純一「武寧王を知っていますか?」
その他の日本史・西洋史の文章もわかりやすく面白かった。

個人的には、松塚俊三「書くこと、読むこと、話すこと」が興味深かった。
18世紀以前のヨーロッパにおける「読み書き能力」や「ことば」などを
紹介するなかで、「書くこと」はできないけど、「読むこと」はできた民衆に
着目し、その豊かな文化について述べている。

2009年12月31日木曜日

振り返ると

振り返ると今年も色々ありました。
楽しいことも、嬉しいこともありましたが、
反省すべきことも多々ありました。

とりあえず、年が明けたら、前を向いて
振り返らないようにしたいと思います。
ま、時には振り返ってしまうでしょうけど。

2009年12月30日水曜日

曹操墓発見か

年末になって曹操墓(魏武王高陵)発見というニュースが飛び込んできましたね。
毎日新聞では小さいながらも一面にあげていました。
河南省文物局のホームページで詳細が紹介されています。
http://www.haww.gov.cn/html/20091227/153670.html

第一報を聞いて「本当かな?」と思った人は多いはずです。
かくいう私もそう思いました。
ただ、河南省文物局の情報によると、墓道と前室・後室と四つの側室があり、
墓道と墓室の合計の長さが60m近くもある相当大型の墓だそうです。
石牌には一抹の不安を感じますが、これだけの規模の墓となれば、
まぁ、間違いないような気がします。
ま、正式な報告書が出るまで、確実なことは言えませんが。

台湾の趙立新氏のブログ「 南國島夷:古代東亞與中國中古研究」では、
各種報道機関(中国・香港・日本・韓国・欧米)の記事とリンクしています。
さらに「高陵剖視圖」も掲載されています。

多分、万一、石牌が出なかったとしても、河南省文物局は、
曹操墓の可能性が高いとしたんじゃないですかね。
河北省磁県湾北朝墓が、文字資料がないにも関わらず、
規模や副葬品・文献の記載から北斉の文宣帝墓と
推定されている前例もありますし。
どっちに転ぶにせよ、報告書が楽しみです。

大阪大学歴史教育研究会39回例会

大阪大学歴史教育研究会・第39回例会
日時:2010年1月16日(土) 午後1時30分~5時30分
会場:大阪大学豊中キャンパス文法経本館2階大会議室

大阪大学歴史教育研究会・中央ユーラシア史部会報告
「中央ユーラシア史上の分水嶺―世界史教材のための時代区分と類型化の試み」

第1部 中央ユーラシア史の経糸と緯糸
向正樹「中央ユーラシアという世界―空間的考察・用語―」
伊藤一馬「中央ユーラシアにおける国家の形成と展開」

第2部 中央ユーラシアにおける国家の諸相
入野恵理子「4~6世紀 北魏」
旗手瞳「7~9世紀 吐蕃」
赤木崇敏「9~10世紀 敦煌王国」

『日本歴史』740号

『日本歴史』第740号(吉川弘文館、2010年1月)は、
「日本史研究とデータベース」という新年特集号。

分野別現況には、
小口雅史「日本古代史研究のためのオンラインデータベース」
田良島哲「中世研究資源としてのウェブデータベース」
江川式部「中国・台湾史に関するデータベース」
長森美信「朝鮮前近代史に関するデータベース」
荒木浩「ぞんざいな検索、丁寧な検索」
岡本真「日本史研究におけるインターネットの学術利用」などがある。
そのほかに「提供者の立場から」、「利用者の立場から」の項目もあり、
全体合計で、47人が各種データベースを紹介している。

工具書としてとても便利。
いつもならそんなにすぐには売れないはずなのに、
今回はあっという間に店頭からなくなってしまっていた。