2010年1月6日水曜日

金沢貞顕

ということで、鎌倉つながりで、
永井晋『金沢貞顕』(吉川弘文館、2003年7月)と
永井晋『北条高時と金沢貞顕―やさしさがもたらした鎌倉幕府滅亡』(山川出版社、2009年10月)
を読みました。

『北条高時と金沢貞顕』は、日本史リブレット人シリーズの035。
金沢貞顕に関する内容は、おおむね『金沢貞顕』を踏襲しているが、
『金沢貞顕』にはあまり書かれていなかった、
北条高時政権の抱えてた問題点にも切り込んでいる。

北条高時といえば、闘犬好きの暗君というイメージがあったが、
実際には、病弱で穏やかな人物で、必ずしも無能ではなかったようだ。
(既に80年代終わりには、こうした高時像が知られていて、
マンガ「風の墓標」や大河ドラマ「太平記」にも反映していたらしい。
不勉強ゆえ、知らなかった……)

また、高時政権を支えた金沢貞顕は、
保守的だが有能な調整型の政治家であり、
長崎高資などの能吏も多かったので、
高時政権はそれなりに安定していた。

しかし、穏やかな安定志向の政権では、
当時発生していた矛盾・問題、情勢の変化に対応できず、
鎌倉幕府は滅亡にいたってしまった。


敗者をどう評価するか、
その難しさを感じさせられました。

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