2011年11月30日水曜日

新しい世界史へ

羽田正『新しい世界史へ―地球市民のための構想』(岩波新書、2011年11月)

現代にふさわしい世界史を模索する試み。
目次は以下の通り
序章:歴史の力
第一章:世界史の歴史をたどる
第二章:いまの世界史のどこが問題か?
第三章:新しい世界史への道
第四章:新しい世界史の構想
終章:近代知の刷新

第一章で日本における「世界史」の成立過程を確認し、第二章で現行「世界史」の問題点を指摘(日本でのみ通用・現状追認・ヨーロッパ中心史観)。さらに第三章で、現在試みられている「新しい世界史」の有効性と問題点に言及。中心史観(ヨーロッパ・イスラーム・中国・中央ユーラシアなど)からの脱却を唱える。そして、第四章で羽田氏の「新しい世界史」の構想を示す。

第一章~第三章は、「世界史」の抱えている問題が浮かび上がってきて、大変面白い。特に第三章で、中国中心史観に対して、中央ユーラシアから見直そうという動きが出ているが、「逆に、中央ユーラシアを世界史の中心に置き、中央ユーラシアが世界史を作ったと唱えては、せっかくの提言が台無しである」という指摘に共感。

ただ、第四章の「新しい世界史」構想は、僕の頭が従来の「世界史」に染まっているせいもあって、いまいちピンとこなかった。ぜひ、この構想に基づいた新しい「世界史」概説書を読んでみたい。

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