2011年5月2日月曜日

東アジアの記憶の場

板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔編著『東アジアの記憶の場』(河出書房新社、2011年4月)

1990年代以降の「記憶論的転回」(「記憶」を手がかりとした「歴史」叙述)を受け、ピエール・ノラ編『記憶の場』の理論的限界(特に植民地主義の問題)を踏まえた上で、「批判と連帯のための東アジア歴史フォーラム」の第二期で扱った〈東アジアの記憶の場〉をまとめたもの(パイロット版)。

目次は以下の通り
板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔「序文〈東アジアの記憶の場〉を探して」
〈古典古代の空間〉
李成市「三韓征伐」
金錫佑「関羽」
柳美那「孔子廟」
〈物語のダイナミクス〉
鄭智泳「孝女沈清」
三ツ井崇「三年峠」
〈ペルソナの断裂〉
金信貞「尹東柱」
板垣竜太「力道山」
〈風景の複層〉
駒込武「芝山岩」
テッサ・モーリス-スズキ「金剛山」
高木博志「桜」
〈身震いの経験〉
岩崎稔「アカ」
崔真磧「朝鮮人」
〈規律の反転〉
呉成哲「運動会」
板垣竜太「指紋」

序文でも書いてある通り、「東アジア」を銘打っておきながら、その殆どが日本・朝鮮半島の「記憶」に留まっているけれど、それをさしひいても、かなり面白かったです。単なる研究論文集ではなく、「記憶」と向き合った様子がうかがえました。今後も同様の試みが続いてほしいです。

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