柿沼陽平『中国古代貨幣経済史研究』(汲古書院、2011年1月)
中国古代史のみならず、中国史全体(ひいては世界史)を視野に入れて、“交換史観”を提唱し、中国古代貨幣経済の解明を試みた意欲的な論著。経済人類学などの近接諸分野の成果を取り入れるのみならず、中国古代史では殆ど言及されることのない言語論的転回も視野に入れている。
いずれも既出論文に改稿を加えている。なお、近年刊行された後漢・三国・晋代に関する論文は収録されていない。
目次は以下の通り
序 章 中国古代貨幣経済史研究の意義と分析の視角
第一章 殷周宝貝文化とその「記憶」―中国古代貨幣経済史の始源に関する「記憶」の形成―
第二章 文字よりみた中国古代における貨幣経済の展開
第三章 戦国秦漢時代における物価制度と貨幣経済の基本的構造
第四章 戦国秦漢時代における「半両」銭の国家的管理
第五章 戦国秦漢時代における盗鋳銭と盗鋳組織
第六章 戦国秦漢時代における銭と黄金の機能的差異
第七章 戦国秦漢時代における布帛の流通と生産
第八章 戦国秦漢時代における塩鉄政策と国家的専制支配の機制―男耕女織政策・塩鉄専売制・均輸平準による三位一体的支配体制の確立―
終章 中国古代貨幣経済の特質とその時代的変化
0 件のコメント:
コメントを投稿