2010年8月2日月曜日

神父と頭蓋骨

アミール・D・アクゼル著、林大訳『神父と頭蓋骨―北京原人を発見した「異端者」と進化論の発展―』(早川書房、2010年6月、原著は2007年出版)

著者は数理科学や科学者に関するノンフィクションを多数執筆している
統計学者・ノンフィクション作家。
今回の題材は、北京原人・人類進化の研究者でありながら、
敬虔なイエズズ会士であったピエール・テイヤール・ド・シャルダン。

神学と進化論の融合を図ったため、イエズス会に圧迫され続けた
テイヤールの人生の軌跡を巧みに描いている。
要所要所に人類化石の発見史や現在の研究状況も
織り交ぜられていてわかりやすい。
北京原人の発見・研究史も簡潔にまとめられている。

ただ、副題の「北京原人を発見した」という部分は、
英文副題が「……and the Search for Peking Man」となっているし、
テイヤールが発見したわけではないので、
「北京原人を探求した」ぐらいの方がよかったような気がします。

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