2010年4月8日木曜日

名古屋中国古代史研究会報告集1

柴田昇編著『名古屋中国古代史研究会報告集1 血縁関係・老人・女性―中国古代「家族」の周辺』(名古屋中国古代史研究会、2010年3月)

収録論文は次の通り。
飯田祥子「同産小考―漢代の兄弟姉妹に関する整理」
仲山茂「甘粛省武威出土の王杖簡をめぐって―研究史の視点から」
柴田昇「劉向『列女伝』の世界像―前漢後期における秩序意識と性観念の一形態」
酒井恵子「唐宋変革期と「家族」―大澤正昭著『唐宋時代の家族・婚姻・女性―婦は強く』を読む」
張昀「春秋戦国時期的秦国土地制度探討―従軍事制度入手」

個人的に興味深かったのは、飯田論文。
漢代の「同産」の語義を探り、「同母兄弟」ではなく、
「同父兄弟」を意味する公的性質(刑罰・爵賞など)の強い語であり、
従兄弟などの親族や異父同母兄弟と区別するために用いられたとする。
しかし、後漢ごろより「同産」の語義がゆらぎはじめ、
南北朝時代には「同母兄弟」の意味で用いられるようになったとし、
その背景に親族認識や国家の戸口認識の変化が考えられるとする。

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