諫早直人『海を渡った騎馬文化―馬具からみた古代東北アジア―』(風響社、2010年11月)
風響社のブックレット《アジアを学ぼう》の⑰。
朝鮮半島・日本列島における馬・騎馬文化の受容について考察。
日本だけでなく、韓国の「騎馬民族説」にも言及した後、
慕容鮮卑・朝鮮三国・加耶・倭の馬具を比較して、
「騎馬民族説」の問題点を指摘し、
「新しい騎馬文化伝播モデル」を提示している。
慕容鮮卑の装飾騎馬文化が、なぜ東北アジア各地に
広まったのかについても言及し、東晋とは異なる独自の世界秩序を
可視的に表現しようとしたのではないかとする。
日本だけでなく、朝鮮半島・慕容鮮卑(特に前燕)にも
視野が及んでいて刺激的。
韓国にも「騎馬民族説」があるとは知らなかった。
しかも有力な仮説の一つになっているとは。
2010年12月27日月曜日
平成22年度國學院大學文化講演会
平成22年度國學院大學文化講演会
「円仁石刻と古代の日中文化交流―法王寺釈迦舎利蔵誌の史料性と史実―」
日時:2011年1月23日(日)9:30~
場所:渋谷キャンパス 120周年記念2号館1階2104教室
*参加多数の場合は、2号館1階2101教室で同時中継。
資料代:500円
講演・報告
10:10~11:10 斉藤圓眞「日中文化交流史上の円仁と天台」
11:10~12:00 酒寄雅志「法王寺釈迦舎利蔵誌の史料性と解釈」
13:00~13:50 田凱「法王寺舎利塔地下宮殿の発掘調査」
13:50~14:40 呂宏軍「嵩山の寺院・石刻と交通」
14:50~15:10 氣賀澤保規「隋唐の仏教と石刻」
15:10~15:30 肥田路美「舎利信仰と舎利塔・荘厳具」
15:40~16:00 石見清裕「唐代石刻の避諱と空格」
16:00~16:20 佐藤長門「入唐僧の情報ネットワーク」
16:40~18:30 討論
国学院大学エクステンション事業課に要申込。
申込締切:2011年1月13日(木)必着
「円仁石刻と古代の日中文化交流―法王寺釈迦舎利蔵誌の史料性と史実―」
日時:2011年1月23日(日)9:30~
場所:渋谷キャンパス 120周年記念2号館1階2104教室
*参加多数の場合は、2号館1階2101教室で同時中継。
資料代:500円
講演・報告
10:10~11:10 斉藤圓眞「日中文化交流史上の円仁と天台」
11:10~12:00 酒寄雅志「法王寺釈迦舎利蔵誌の史料性と解釈」
13:00~13:50 田凱「法王寺舎利塔地下宮殿の発掘調査」
13:50~14:40 呂宏軍「嵩山の寺院・石刻と交通」
14:50~15:10 氣賀澤保規「隋唐の仏教と石刻」
15:10~15:30 肥田路美「舎利信仰と舎利塔・荘厳具」
15:40~16:00 石見清裕「唐代石刻の避諱と空格」
16:00~16:20 佐藤長門「入唐僧の情報ネットワーク」
16:40~18:30 討論
国学院大学エクステンション事業課に要申込。
申込締切:2011年1月13日(木)必着
2010年12月25日土曜日
契丹(遼)後期政権下の学僧と仏教
藤原崇人「契丹(遼)後期政権下の学僧と仏教―鮮演の事例を通して―」(『史林』93-6、2010年11月)
契丹(遼)の道宗期に活躍した僧侶の鮮演の事績について、
1986年に発見された「鮮演墓碑」を中心に考察。
契丹後期の学僧と遼皇帝・支配層との関係や、契丹と高麗間における仏教典籍(鮮演の著作)の流通形態の多様性について明らかにしている。
契丹(遼)の道宗期に活躍した僧侶の鮮演の事績について、
1986年に発見された「鮮演墓碑」を中心に考察。
契丹後期の学僧と遼皇帝・支配層との関係や、契丹と高麗間における仏教典籍(鮮演の著作)の流通形態の多様性について明らかにしている。
2010年12月21日火曜日
立教大学日本学研究所第41回研究会
立教大学日本学研究所第41回研究会
日時:2011年1月21日(金)17:00~
場所:立教大学池袋キャンパス7号館7202教室
報告
高陽「東アジアの須弥山図~敦煌本とハーバード本を中心に」
李銘敬「遼の非濁をめぐる」
日時:2011年1月21日(金)17:00~
場所:立教大学池袋キャンパス7号館7202教室
報告
高陽「東アジアの須弥山図~敦煌本とハーバード本を中心に」
李銘敬「遼の非濁をめぐる」
2010年12月19日日曜日
2010年12月18日土曜日
華竜の宮
上田早夕里『華竜の宮』(早川書房、2010年10月)
ハヤカワSFシリーズ Jコレクションの一冊。このブログでは、これまで小説の類は紹介してこなかったので、書くか迷ったのですが、他に媒体もないので書いてみます。SF小説に興味ない方は飛ばしてください。
先日見に行ったトランスフォーメーション展の影響で、なんだか無性にSF小説が読みたくなってしまい、いくつか立ち読みした中で、おもしろそうだと思って購入。
海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀が舞台。未曾有の混乱を乗り越えるため、積極的に生命操作技術を活用し、人体に応用していった結果、海に適応した海上民が誕生。陸上民と海上民の確執、各国家連合の思惑、そして再び大変動の兆しが……。
まさしく、「変身―変容」の世界。久しぶりにSF小説を読んだけど、引き込まれて、586頁を一気に読んでしまった。
で、今回の小説の舞台はアジア海域。日本政府の末端外交官が主人公なのだけど、中国系の人々も多数登場する。こちらもなかなか魅力的。ただ、SF小説の中の中国系政府は、たいてい非人道的に描かれているが、『華竜の宮』でもひどいことばかりやっている。プロローグで描かれる混乱期には、殺到した避難民を殺戮する人工知性体(殺戮知性体)を世界で初めて発明している。なんだかコードウェイナー・スミスのマンショニャッガー(=人間狩猟機)みたいな設定(なお、1950年代に書かれたためか、こちらはドイツ人が発明)。本編でも、中国が中心となっている〈汎アジア連合〉は、海上民の虐殺に乗り出している。
ここがどうも気にかかる。
SF小説は、未来を扱うことが多いのだけど、当然のことながら、小説が書かれた時期の国家イメージが反映されてしまう。多分、昔は中国が出てくることすらあまりなかったのではなかろうか。その昔、ドイツやソ連が荷っていた(であろう)SF小説中の役割を、今は中国が荷っているのかもしれない。欧米や日本で傾向が違うかもしれないし、そんなにSF小説読んでないから、実際のとこはわかりませんが。調べてみたら面白いかも。
ちなみに、日本政府は相変わらず、官僚主義な上に、汎アジア連合ではなく、欧米・太平洋連合の〈ネジェス〉に加入している。まぁ、これは現在の状況そのままですね。
ハヤカワSFシリーズ Jコレクションの一冊。このブログでは、これまで小説の類は紹介してこなかったので、書くか迷ったのですが、他に媒体もないので書いてみます。SF小説に興味ない方は飛ばしてください。
先日見に行ったトランスフォーメーション展の影響で、なんだか無性にSF小説が読みたくなってしまい、いくつか立ち読みした中で、おもしろそうだと思って購入。
海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀が舞台。未曾有の混乱を乗り越えるため、積極的に生命操作技術を活用し、人体に応用していった結果、海に適応した海上民が誕生。陸上民と海上民の確執、各国家連合の思惑、そして再び大変動の兆しが……。
まさしく、「変身―変容」の世界。久しぶりにSF小説を読んだけど、引き込まれて、586頁を一気に読んでしまった。
で、今回の小説の舞台はアジア海域。日本政府の末端外交官が主人公なのだけど、中国系の人々も多数登場する。こちらもなかなか魅力的。ただ、SF小説の中の中国系政府は、たいてい非人道的に描かれているが、『華竜の宮』でもひどいことばかりやっている。プロローグで描かれる混乱期には、殺到した避難民を殺戮する人工知性体(殺戮知性体)を世界で初めて発明している。なんだかコードウェイナー・スミスのマンショニャッガー(=人間狩猟機)みたいな設定(なお、1950年代に書かれたためか、こちらはドイツ人が発明)。本編でも、中国が中心となっている〈汎アジア連合〉は、海上民の虐殺に乗り出している。
ここがどうも気にかかる。
SF小説は、未来を扱うことが多いのだけど、当然のことながら、小説が書かれた時期の国家イメージが反映されてしまう。多分、昔は中国が出てくることすらあまりなかったのではなかろうか。その昔、ドイツやソ連が荷っていた(であろう)SF小説中の役割を、今は中国が荷っているのかもしれない。欧米や日本で傾向が違うかもしれないし、そんなにSF小説読んでないから、実際のとこはわかりませんが。調べてみたら面白いかも。
ちなみに、日本政府は相変わらず、官僚主義な上に、汎アジア連合ではなく、欧米・太平洋連合の〈ネジェス〉に加入している。まぁ、これは現在の状況そのままですね。
2010年12月16日木曜日
オランダのアート&デザイン 新・言語
東京都現代美術館で開催中のトランスフォーメーション展のついでに見た
「オランダのアート&デザイン 新・言語」展。
全然期待してなかったのですが、なかなかよかったです。
「人とモノとの関係、そして人と人とのコミュニケーションを問いかける」
オランダのアーティスト/デザイナー4名を紹介する展覧会。
地下一階のみの展示で、ずいぶんこじんまりしている。
インパクトあったのが、マーティン・バースの家具。
作家:マーティンバース CC/BY-NC-ND
生まれたての小鹿、または、よぼよぼの宇宙生物みたいな机。
作家:マーティンバース CC/BY-NC-ND
表面がゆがみまくっている衣装棚。
作家:マーティンバース CC/BY-NC-ND
一分ごとに人が分針を消したり書いたりする時計。
正直、使い勝手はあんまりよくなさそうだけど、
なんだか楽しくなってくるデザイン。
続くマルタイン・エングルブレクトの作品(5点のインスタレーション)は、
人とのコミュニケーションをテーマにしたもの。
迷惑な電話セールスをけむにまく「迷惑電話撃退マニュアル」や、
隣人とのコミュニケーションを円滑(?)にすすめるための
グッズを販売する「ご近所ショップ」などなど、
ちょっとしたブラックユーモアが効いていて、かなり面白い。
トランスフォーメーション展とは一転して、
シンプルであっさり見ることができ、
ユーモアあふれる作品ばかりで純粋に楽しい。
ただ、ネックはお値段……。
こちらの展覧会だけだと、一般1100円・学生850円。
トランスフォーメーション展があれだけたくさん展示していて、
一般1300円・学生1000円となると、ちょっと割高な気がしないでもないです。
セット券(一般1800円・学生1400円)で入ったほうがいいかもしれません。
会期:2010年10月29日~2011年1月30日
休館日:月曜日、12月29日~1月1日、1月11日
開館時間:10時~18時
「オランダのアート&デザイン 新・言語」展。
全然期待してなかったのですが、なかなかよかったです。

オランダのアーティスト/デザイナー4名を紹介する展覧会。
地下一階のみの展示で、ずいぶんこじんまりしている。
インパクトあったのが、マーティン・バースの家具。

生まれたての小鹿、または、よぼよぼの宇宙生物みたいな机。

表面がゆがみまくっている衣装棚。

一分ごとに人が分針を消したり書いたりする時計。
正直、使い勝手はあんまりよくなさそうだけど、
なんだか楽しくなってくるデザイン。
続くマルタイン・エングルブレクトの作品(5点のインスタレーション)は、
人とのコミュニケーションをテーマにしたもの。
迷惑な電話セールスをけむにまく「迷惑電話撃退マニュアル」や、
隣人とのコミュニケーションを円滑(?)にすすめるための
グッズを販売する「ご近所ショップ」などなど、
ちょっとしたブラックユーモアが効いていて、かなり面白い。
トランスフォーメーション展とは一転して、
シンプルであっさり見ることができ、
ユーモアあふれる作品ばかりで純粋に楽しい。
ただ、ネックはお値段……。
こちらの展覧会だけだと、一般1100円・学生850円。
トランスフォーメーション展があれだけたくさん展示していて、
一般1300円・学生1000円となると、ちょっと割高な気がしないでもないです。
セット券(一般1800円・学生1400円)で入ったほうがいいかもしれません。
会期:2010年10月29日~2011年1月30日
休館日:月曜日、12月29日~1月1日、1月11日
開館時間:10時~18時
2010年12月15日水曜日
ヒトの進化七〇〇万年史
河合信和『ヒトの進化七〇〇万年史』(ちくま新書、2010年12月)
古人類学に関する著書が多数ある科学ジャーナリストによる
最新の人類学概説書。デニーソヴァ人の発見や、
ネアンデルタール人と現生人類の交雑の可能性など、
今年、報告された最新情報を取り込んでいて、ざっと人類史をみるのに便利。
なお、北京原人・ジャワ原人(両方とも学名はホモ・エレクトス)は、
「人類進化学的観点からは傍系にすぎない」として、殆ど触れられていない。
古人類学に関する著書が多数ある科学ジャーナリストによる
最新の人類学概説書。デニーソヴァ人の発見や、
ネアンデルタール人と現生人類の交雑の可能性など、
今年、報告された最新情報を取り込んでいて、ざっと人類史をみるのに便利。
なお、北京原人・ジャワ原人(両方とも学名はホモ・エレクトス)は、
「人類進化学的観点からは傍系にすぎない」として、殆ど触れられていない。
トランスフォーメーション
現在、東京都現代美術館で開催中の
トランスフォーメーション展に行ってきました。
テーマは「変身―変容」。
文化人類学者の中沢新一が共同プロデュースしてます。
この展覧会、前から知ってたのですが、
どうにも食指が動きませんでした。原因はポスター。
著名なアーティストであるマシュー・バーニーの作品が
ポスターになっているのですが、なんとなく苦手な雰囲気。
迷いに迷って、今回やっと見に行くことに。
参加アーティストは15カ国21組。
三階・一階・地下一階と展示スペースがかなり広く、
しかも映像作品が多いので、全部見るのに結構時間がかかります。
結果的に2時間半くらい滞在しました。
印象に残った作品は以下の通り。
マーカス・コーツ《ローカル・バード》:人間に鳥の鳴真似をさせて、
映像の速度を上げることで本物の鳴き声っぽくみせる作品。
スプツニ子!の作品:生理の疑似体験マシーンや
カラスとのコミュニケーションなど。
変容人類研究室(名前はうろ覚え):正式な出展作品ではなく、
アーカイヴコーナーなのだけど、古今東西(旧石器時代から現在まで)の
様々な「変身―変容」の事例をパネル形式で紹介している。
映画・マンガ・浮世絵・祭祀・民族文化・壁画・ロボットなどなど。
今回の展示で一番面白かったです。
個人的な感想をいうと、作品はいろいろあるのだけど、
どうにも全体的にグロテスクで雰囲気が暗い。
なんだかユーモアが足りないような気がしてしまった。
確かに、人間と何か(動植物・無機物)の融合、
人間から何かへの変容というテーマは、
昔から重たいもの、暗いものだと相場が決まっている。
そのことは、変容人類研究室の紹介を見てもよくわかる。
……ということは、今回の展示も昔ながらの枠組みを
超えてないということになりやしないだろうか。
それだったら、SF小説の方がぶっ飛んだ「変身―変容」たくさんあるし。
例えば、コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズとか、
日本では神林長平・北野勇作・大原まり子などなど。
ポスター見たときの直感に従っておけばよかったと反省。
ただ、同時開催の「オランダのアート&デザイン新・言語」が、
予想以上におもしろかったので、まぁ、行ってよかったです。
こちらの感想は後日。
トランスフォーメーション
会期:2010年10月29日~2011年1月30日
休館日:月曜日・12月29日~1月1日
開館時間:10時~18時
観覧料:一般1300円・学生1000円
トランスフォーメーション展に行ってきました。
テーマは「変身―変容」。
文化人類学者の中沢新一が共同プロデュースしてます。
この展覧会、前から知ってたのですが、
どうにも食指が動きませんでした。原因はポスター。

ポスターになっているのですが、なんとなく苦手な雰囲気。
迷いに迷って、今回やっと見に行くことに。
参加アーティストは15カ国21組。
三階・一階・地下一階と展示スペースがかなり広く、
しかも映像作品が多いので、全部見るのに結構時間がかかります。
結果的に2時間半くらい滞在しました。
印象に残った作品は以下の通り。
マーカス・コーツ《ローカル・バード》:人間に鳥の鳴真似をさせて、
映像の速度を上げることで本物の鳴き声っぽくみせる作品。
スプツニ子!の作品:生理の疑似体験マシーンや
カラスとのコミュニケーションなど。
変容人類研究室(名前はうろ覚え):正式な出展作品ではなく、
アーカイヴコーナーなのだけど、古今東西(旧石器時代から現在まで)の
様々な「変身―変容」の事例をパネル形式で紹介している。
映画・マンガ・浮世絵・祭祀・民族文化・壁画・ロボットなどなど。
今回の展示で一番面白かったです。
個人的な感想をいうと、作品はいろいろあるのだけど、
どうにも全体的にグロテスクで雰囲気が暗い。
なんだかユーモアが足りないような気がしてしまった。
確かに、人間と何か(動植物・無機物)の融合、
人間から何かへの変容というテーマは、
昔から重たいもの、暗いものだと相場が決まっている。
そのことは、変容人類研究室の紹介を見てもよくわかる。
……ということは、今回の展示も昔ながらの枠組みを
超えてないということになりやしないだろうか。
それだったら、SF小説の方がぶっ飛んだ「変身―変容」たくさんあるし。
例えば、コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズとか、
日本では神林長平・北野勇作・大原まり子などなど。
ポスター見たときの直感に従っておけばよかったと反省。
ただ、同時開催の「オランダのアート&デザイン新・言語」が、
予想以上におもしろかったので、まぁ、行ってよかったです。
こちらの感想は後日。
トランスフォーメーション
会期:2010年10月29日~2011年1月30日
休館日:月曜日・12月29日~1月1日
開館時間:10時~18時
観覧料:一般1300円・学生1000円
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