2011年12月13日火曜日

梁職貢図と倭

国際シンポジウム (國學院大學文学部共同研究)
「梁職貢図と倭―5~6世紀の東ユーラシア世界―」
日時:2012年1月21日(土)10:00~17:30
会場:國學院大學渋谷キャンパス百周年記念2号館2階2202教室

講演
王素「梁職貢図と西域」
李成市「梁職貢図の朝鮮諸国」
金子修一「中国南朝と東南諸国」
新川登亀男「梁職貢図と仏教」
廣瀬憲雄「中国王朝と倭と東部ユーラシア」
コメント:石見清裕・片山章雄・河上麻由子・赤羽目匡由
司会:佐藤長門・鈴木靖民

記憶の歴史学

金子拓『記憶の歴史学―史料に見る戦国』(講談社選書メチエ、2011年12月)

戦国時代を舞台に、「記憶」をキーワードとして、過去の出来事と史料の関係、史料から生み出される歴史について考察。日記・覚書・文書などを使って、些細な事件(信長の賀茂競馬見物や細川ガラシャの死など)を取り上げ、人間または人間集団に記憶されたできごとが、どのように歴史となっていくかに迫っている。特に第五章「覚書と記憶」で扱われている上杉家・佐竹家の「集合的記憶」の問題は、大いに参考になった。

中国化する日本

與那覇潤『中国化する日本―日中「文明の衝突」一千年史』(文藝春秋、2011年11月)

タイトルと装丁と出版社を見て、手に取ることすらしてなかったのだけど、先日、本屋でなんとなく気になって少し立ち読みしたところ、なかなか面白そうなので購入。

歴史(人類の進歩)は宋代に終わっていた、という衝撃の第一章を皮切りに、中世から現代までの日本史を「中国化」・「再江戸化」で再構築している。最新の学説・定説・学界の常識(筆者が言うほど学界の常識になってないものも結構あるけど)を踏まえて、ここまで斬新な日本史・世界史解釈を展開できるとは。あちこちに見える左右両方に対する皮肉や揶揄も面白い。

違う文脈で書かれた研究を自分の都合のいいように切り貼りしただけという批判も成り立ちうるだろうけど、そもそも通史というのは、そういうものだし、これだけ面白いものに仕上がっていればいいような気がする。