2011年6月18日土曜日

美術史学会西支部例会

美術史学会西支部例会

日時:2011年7月16日(土)13:30~
場所: 大和文華館講堂

研究発表
井面舞「物語の絵画化の一様相について―『釈迦堂縁起絵巻』の場合―」
河野道房「北斉徐穎(徐顕秀)墓壁画の造形的特徴―北朝人物画様式の一典型―」

2011年6月12日日曜日

朝鮮史研究入門

朝鮮史研究会編『朝鮮史研究入門』(名古屋大学出版会、2011年6月)

35名の執筆者による朝鮮史研究入門。
本文333頁、文献目録&研究の手引き156頁。
日本の研究動向だけでなく、
韓国の研究動向もかなり詳しく紹介している。
日本と韓国での研究状況の違いもうかがえる。

目次は以下の通り
緒論:朝鮮史研究の課題と現況
第1章:先史時代の朝鮮半島
第2章:国家形成と三国
第3章:統一新羅と渤海
第4章:高麗
第5章:朝鮮
第6章:開港期・大韓帝国期
第7章:植民地期
第8章:現代史

2011年6月6日月曜日

モンゴル帝国の覇権と朝鮮半島

森平雅彦『モンゴル帝国の覇権と朝鮮半島』(山川出版社、2011年5月)

抵抗か服従か、といった二分法でとらえられがちな、
モンゴル帝国時期の朝鮮半島(高麗)について、
対モンゴル関係の変化や、
モンゴル帝国内の駙馬高麗国王としての側面、
モンゴルとの密接な関係がもたらした国内政治の変容など、
複雑で多様な朝鮮半島(高麗)の状況を述べている。

日中国交正常化

服部龍二『日中国交正常化―田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦―』(中公新書、2011年5月)

1972年の日中国交正常化について、
外交記録・インタビュー・日記などを用いて、
田中角栄・大平正芳・外務官僚の動きをひもとき、
国交正常化にいたる過程(主に日本側)を解き明かしている。

田中角栄には金権政治のイメージばかりが
先行していたけれど、日中国交正常化に関しては、
アメリカ・台湾・中国、そして日本の政治家の思惑が交錯する中で、
上手に官僚を操縦し、成果を上げていたことがわかる。

2011年6月5日日曜日

逸周書研究序説

高野義弘「逸周書研究序説―「声の文化」の観点から―」(『東洋文化』復刊106、2011年4月)

西周時代の事績を記した書籍であるにも関わらず、
これまで関心が低かった『逸周書』について分析。
中国で用いられている二重証拠法の危うさを指摘した上で、文章構造から『逸周書』の一部は、殷・西周の記憶をとどめており、最終的にまとめられた時期は春秋期以降であるとする。
そして、殷周史を「声の文化」の視点から考察した松井嘉徳氏の見解を紹介し、『逸周書』の内容も王朝内の口頭伝承で伝えられた可能性を指摘している。
また、中国人研究者に顕著にみられる殷周時代に既に史官が存在し、史書を編纂していたという認識の危うさを指摘している。

はじめての漢籍

東京大学東洋文化研究所図書室編『はじめての漢籍』(汲古書院、2011年5月)

東洋文化研究所図書室が2009年・2010年に行なった
「はじめての漢籍」講演会を書籍化したもの。
目次は以下のとおり。
大木康「漢籍とは?」
齋藤希史「漢籍を読む」
橋本秀美「初心者向け四部分類解説」
平勢隆郎「工具書について」
大木康「東京大学総合図書館の漢籍について」
石川洋「東京大学文学部漢籍コーナーの漢籍について」
小寺敦「東京大学東洋文化研究所の漢籍について」

個人的には石川洋氏の文学部漢籍コーナーの紹介がおもしろかった。文学部の組織の中での位置づけがよくわからないまま、現在までちゃんと機能している漢籍コーナーの実状が述べられている。

歴史の争奪

諸般の事情で五月は更新が滞ってしまいました……。
これからは、ぼちぼち更新していきたいと思います。

古畑徹「歴史の争奪―中韓高句麗歴史論争を例に―」(『メトロポリタン史学』6、2010年12月)

中国と韓国の学者・マスコミの間で論争になっている
高句麗の「帰属」問題の経緯をまとめている。
「中韓高句麗歴史論争のゆくえ」(弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房、2008年)の続編。

中国で2002年にはじまった「東北工程」の経緯や、
韓国側の学者・マスコミ・研究組織の反応・状況を述べ、
韓国側には「中国側の領土分割・民族分裂への警戒感に対する理解と配慮がないこと」、中国側には「高句麗が民族アイデンティティの根幹にかかわるという認識が欠如していること」を指摘。「民族感情に火がついた韓国側の方が明らかにヒートアップしている」とする。
そして、中国では両属論が台頭し、高句麗「争奪」から後退しているのにたいし、韓国では高句麗の「独占」をめざす方向に進んでいるとする。

現在の国民国家の枠組みに属さない存在の歴史を
どのように描くかということを考えさせる。