2009年12月18日金曜日

オブジェの方へ―変貌する「本」の世界


先日、うらわ美術館で開催中の「オブジェの方へ―変貌する「本」の世界」展に行ってきました。
うらわ美術館は、「本」のアートをコレクションの柱にしている美術館で、
現在、1180点収蔵しているそうです。
今回は開館10周年記念ということで、コレクションの一部(67点)を展示中。

うらわ美術館は、シンプルでこじんまりとしていて、
客もあまり多くない感じ。今回の展覧会もちょっと地味目。
でも、国外・国内の様々な「本」に関する現代アートが並べてあって、
とても面白かった。


針で聖書を丹念にほぐした
イー・ジヒョン「007SE0711(聖書)」。

福田尚代の「佇む人たち」は、
小口を削った文庫本をずらりと並べて羅漢に見立てた作品。
まるで木製の彫刻みたい。

中村宏「機甲本 Ιχαρος(イカルス)」は、
稲垣足穂の短編小説を銅版にしたもの。総重量23kg。
外観と小説の内容が密接にリンクしている。
というか、単純にかっこいい。

西村陽平と遠藤利克は、焼いた本を展示。
西村作品は、鮮やかな白が奇妙に美しく、
遠藤作品は、2000冊の黒ずんだ本が重厚で圧巻。

柄澤齊の「書物標本Susanna」は、
まるで化石を見ているよう。


今回の展示で、ほぼ共通していることは、
本なのに、「読めない」(または極めて読みにくい)ということ。
焼いたり、塗りつぶしたり、重かったり、解体したり。
大体、物理的に読めないようになっている。
「本」とは何か、「読書」とは何かを考えさせられる。

でも、「本」があると、読みたくなるのが人情というもの。
ぜひ、「読む」という行為を含んだアートも展示してほしい。

「読めない」で思い出したけど、 うらわ美術館は
徐冰の作品を持っているのだろうか。
もし持ってたら、ぜひ展示してほしいなぁ。

徐冰「天書」(1987~1991年作成)











「オブジェの方へ―変貌する「本」の世界」
会場:うらわ美術館
会期:2009年11月14日~2010年1月24日
開館時間:10時~17時(土日のみ20時まで)
休館日:月曜日・年末年始(12月27日~1月4日)・1月12日
観覧料:一般500円、大高生300円

大阪市立東洋陶磁美術館

国際交流特別展「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」
会期:2009年12月5日(土)~2010年3月28日(日)
会場:大阪市立東洋陶磁美術館
休館日:月曜日(12月14日、21日、1月11日、3月22日は開館)、
 年末年始〈12月28日(月)~1月4日(月)〉、1月12日(火)、2月12日(金)、3月23日(火)
開館時間:午前9時30分~午後5時
 *12月12 日(土)~25日(金)は午後9時まで
主催:大阪市立東洋陶磁美術館、河南省文物管理局、読売新聞大阪本社
特別協力:河南省文物考古研究所
料金:一般900円(750円)、高大生600円(450円)
展示内容:近年、河南省文物考古研究所が進めてきた
 河南省宝豊県清凉寺の北宋汝窯青磁窯址の出土資料約80点を展示


講演会・シンポジウム
国際シンポジウム「北宋汝窯青磁の謎にせまる(仮題)」
日時:2010年3月13日(土)、14日(日)
場所:大阪歴史博物館・講堂
定員:250名(参加費無料・先着順)
内容:中国、台湾、韓国、日本の研究者が汝窯に関する最新の研究成果を発表
詳細については後日別途広報。大阪市立東洋陶磁美術館ホームページ参照。