前田勉『江戸の読書会―会読の思想史』(平凡社、2012年10月)
江戸時代に普及した議論する読書会=会読。
伊藤仁斎や荻生徂徠のもとで、儒学を学ぶためにはじまり、その相互コミュニケーション性・対等性・結社性の三原理ゆえに、身分社会との軋轢を経験しつつ、各地の私塾(蘭学・国学)・藩校に普及し、幕末・明治の精神・思想を準備したのだとする。
江戸時代の学問は講釈中心で、会読形式は蘭学(『解体新書』の翻訳)に始まったとばかり思っていたので、目からウロコが落ちることしきり。遊戯性を帯びていて、立身出世と直結しないからこそ、普及したという指摘も面白い。会読のエッセンスをなんとか授業に取り入れられないかなぁ。