伊原弘編『「清明上河図」と徽宗の時代―そして輝きの残照』(勉誠出版、2012年1月)
いま話題の「清明上河図」を主題とした論集。
第一部では、「清明上河図」の分析とともに
徽宗の再検討も試みている。
第二部では、北宋の「清明上河図」以降に誕生した
様々な「清明上河図」を取り上げ、
風俗画の伝承と拡散について論じている。
第三部では、様々な時代の画巻から、
時代を読み解いている。
目次は以下の通り。
序文
伊原弘「徽宗とその時代―本書導入の前論」
第1部 徽宗―都市と芸術の開拓者
清木場東「清明上河図の背景」
クリスチアン・デ・ペー「清明上河図と、北宋(960-1127)東都(開封)のテキスト地理学」
久保田和男「メディアとしての都城空間と張擇端『清明上河図』」
マギー・ビックフォード「芸術と政治」
パトリシア・イブリー「徽宗朝の開封の建築計画」
高津孝「清明上河図と蘇軾の芸術論」
小島毅「天を観て民に示す」
須江隆「『清明上河図』の時代の信心の世界」
第2部 清明上河図―風俗画の伝承と拡散
加藤繁「仇英筆清明上河図と云われる図巻に就いて」
板倉聖哲「張擇端「清明上河図巻」(北京故宮博物院)の絵画史的位置」
久保田和男「開封復元図(徽宗時代)と『清明上河図』」
鈴木陽一「張擇端「清明上河図」とその影響力」
王正華「晩明《清明上河図》考」
植松瑞希「乾隆帝と「清明上河図」」
内田欽三「東アジアにおける都市図と風俗画」
加藤玄「中世ウェストミンスター宮殿の壁画群」
第3部 描かれぬものと描かれたもの―継承される画巻に時代をみる
齋藤忠和「兵士と農民」
福田アジオ「画巻に民俗をよむ」
伊原弘「画巻に時代をよむ」
「清明上河図」に描かれたものを詳細に分析した伊原弘編『「清明上河図」をよむ』(勉誠出版、2003年10月)とは違って、「清明上河図」が描かれた時代背景や「清明上河図」の意義について論じている。「清明上河図」を見に行く前に『「清明上河図」をよむ』を読み、見終わった後に本書を読むといいのかもしれない。