2011年10月10日月曜日

西魏・北周の二十四軍と「府兵制」

平田陽一郎「西魏・北周の二十四軍と「府兵制」」(『東洋史研究』70-2、2011年9月)

西魏・北周の軍制について、前期府兵制という枠組みから解き放ち、二十四軍を中心に再考した論文。二十四軍の集団構成や親信・庫真といった制度を分析し、二十四軍は擬制的部落兵制であり、遊牧軍制の系譜を継ぐものとする。
賛否両論とあると思うが、北朝隋唐研究に一石を投ずる研究であることは間違いない。

特集:五山文学

『文学』12-5(岩波書店、2011年9月)は、「特集:五山文学」。

目次は以下の通り
島尾新・住吉朋彦・中本大・堀川貴司(司会) 「《座談会》五山文学研究の新段階」
堀川貴司「『覆簣集』について―室町時代後期の注釈付き五山詩総集―」
金文京「中巌円月の中国体験―科挙との関係を中心として―」
樹下文隆「能〈龍虎〉の背景―禅林の周易受容と神仙趣味―」
楊昆鵬「五山文学と和漢聯句」 
中本大「菊隠慧叢について―『名庸集』研究序説―」
住吉朋彦「高峰東晙の学績」
島尾新「室町時代の画賛について―「禅林画賛」と「文人画賛」の関係から―」
綿田稔「足利将軍邸の障子画賛」 
岩山泰三「引き裂かれた臥遊世界―一休八景詩素描―」
芳澤元「慶長期の絵画・漢詩の製作過程―前田利家夫人・芳春院の女人図―」
太田亨「五山版『新刊五百家註音辯唐柳先生文集』について―五山版の再検討をめぐって―」
朝倉和「五山文学版『百人一首』と『花上集』の基礎的研究―伝本とその周辺―」
【文学のひろば】 川合康三「五山文学臆見」 

なんとなく、興味を持って購入。
座談会は、五山文学研究の現状と課題がわかりやすく述べられていておもしろかった。
しかし、専門論文になると素人ではついていけず……。
基礎知識を得てから再チャレンジしたいと思います。

素人の僕でもついていけて、興味深かったのは以下の論文。
入元経験から中巖円月の背景を追った金文京論文。
和漢聯句の面白さを味わえた楊昆鵬論文。
「画賛とは何か」をまとめた島尾論文。
前田利家夫人(まつ=芳春院)が作らせた女人図の賛の意味と制作過程・時代背景を明らかにした芳澤論文。

たまには書評も紹介

津田資久「書評・新刊紹介 渡邉義浩著『西晋「儒教国家」と貴族制』」(『唐代史研究』14、2011年8月)
井ノ口哲也「書評 渡邉義浩著『後漢における「儒教國家」の成立』」(『史学雑誌』120-9、2011年9月)

立て続けに書評が出た。