ちょっと前になりますが、
アサヒビール大山崎山荘美術館で開催中の
「睡蓮池のほとりにて―モネと須田悦弘、伊藤存」に
行ってきました。
睡蓮の絵で有名なモネと、
大山崎山荘美術館にある睡蓮の池をモチーフにした、
須田悦弘と伊藤存の作品を展示している。
モネはいわずとしれた印象派の巨匠。
伊藤存は動植物や人などをモチーフにした刺繍作品を作る作家。でも、お目当てはこの二人ではなく、須田悦弘。
須田悦弘は、木彫りのリアルな実物大の草花を、
様々な空間にそっと配置する作品を作り続けている。
はじめて須田の作品を見たのは、
2005年の「秘すれば花:東アジアの現代美術」(森美術館)。
植物が壁からそっと出ていたのだけど、あまりにも何気なく存在していたため、
気付かず通り過ぎる人もけっこういた。
その後、しばらく現代アートとは遠ざかっていたのだけど、
一昨年くらいから、また見に行くようになり、次に出会ったのは昨年。
「ネオテニー・ジャパン―高橋コレクション」(上野の森美術館)では、
他の作品(小澤剛の醤油画屏風)の陰に、
ひっそりと指先ほどの「雑草」が置いてあった。
原美術館の常設展示「此レハ飲水二非ズ」では、
汚い小部屋のむき出しになった排水管の先に椿が咲いていた。
リアルな木彫りの植物を見過ごしそうなほどさりげなく配置したり、
意外な場所と組み合わせたり。
それがなんとも言えず、かっこよく感じてしまうわけです。
で、今回の「睡蓮池のほとりにて」では、
白い壁・カーペットで仕切られた小部屋の中央に敷かれた
黒い円形のボード上に、 木彫りの睡蓮がそっと置いてありました。
睡蓮の葉には虫食いのあともあります。
天井には円形ボードと同じ大きさの天窓があり、
睡蓮の上に淡い光が差し込んでいます。
小部屋を出ると、周囲の壁にはモネの睡蓮がたくさん掛けられています。
やっぱり、かっこいい。
新館の廊下にも、虫食いの「葉」が展示してありました。
今回は意外な組み合わせや、さりげなさはなかったものの、
モネの睡蓮と呼応するかのような配置がよかったです。
また、どこかで須田の作品を見てみたいです。
ちなみにこの「睡蓮池のほとりにて」は、
本来1月31日までの予定だったのですが、
好評につき、2月28日まで延期されたそうです。