由水常雄『正倉院ガラスは何を語るか―白琉璃碗に古代世界が見える―』(中公新書、2009年10月)
現在、正倉院に収蔵されている六つのガラス器の由来、製造法を探求。
六つのうち、東大寺大仏開眼のさいに奉献されたものは、わずかに一つのみで、
江戸、さらには明治期に収められたものもあることを指摘。
また、ガラス器の再現を通じ、製造法を明らかにし、
考古学の成果と合わせ、器の制作年代・制作場所を特定している。
正倉院への収蔵過程が結局よくわからないことが残念。
あと、伝天皇陵を天皇陵と断定し、論を展開している点は疑問が残る。