齋藤稀史『漢文スタイル』(羽鳥書店、2010年4月)
東京大学出版会の『UP』に連載している「漢文ノート」を芯に、
一般向けの文章を集めたエッセイ集。
前作の『漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界』(NHKブックス、2007年2月)が、「漢詩文を軸に、近代文学と現代日本語の成立を書き直す」と帯にあるように、近代日本が舞台だったのに対し、
今回のエッセイ集は、古典詩文が多く取り上げられている。
中島敦『山月記』の「嘯」の解釈、
ホトトギスの表記と徳富蘆花『不如帰』や正岡子規の筆名についてなどなど、
近代日本の漢文脈と古典詩文解釈が有機的に結びついていて、
読んでて飽きない。