2011年6月12日日曜日

朝鮮史研究入門

朝鮮史研究会編『朝鮮史研究入門』(名古屋大学出版会、2011年6月)

35名の執筆者による朝鮮史研究入門。
本文333頁、文献目録&研究の手引き156頁。
日本の研究動向だけでなく、
韓国の研究動向もかなり詳しく紹介している。
日本と韓国での研究状況の違いもうかがえる。

目次は以下の通り
緒論:朝鮮史研究の課題と現況
第1章:先史時代の朝鮮半島
第2章:国家形成と三国
第3章:統一新羅と渤海
第4章:高麗
第5章:朝鮮
第6章:開港期・大韓帝国期
第7章:植民地期
第8章:現代史

2011年6月6日月曜日

モンゴル帝国の覇権と朝鮮半島

森平雅彦『モンゴル帝国の覇権と朝鮮半島』(山川出版社、2011年5月)

抵抗か服従か、といった二分法でとらえられがちな、
モンゴル帝国時期の朝鮮半島(高麗)について、
対モンゴル関係の変化や、
モンゴル帝国内の駙馬高麗国王としての側面、
モンゴルとの密接な関係がもたらした国内政治の変容など、
複雑で多様な朝鮮半島(高麗)の状況を述べている。

日中国交正常化

服部龍二『日中国交正常化―田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦―』(中公新書、2011年5月)

1972年の日中国交正常化について、
外交記録・インタビュー・日記などを用いて、
田中角栄・大平正芳・外務官僚の動きをひもとき、
国交正常化にいたる過程(主に日本側)を解き明かしている。

田中角栄には金権政治のイメージばかりが
先行していたけれど、日中国交正常化に関しては、
アメリカ・台湾・中国、そして日本の政治家の思惑が交錯する中で、
上手に官僚を操縦し、成果を上げていたことがわかる。

2011年6月5日日曜日

逸周書研究序説

高野義弘「逸周書研究序説―「声の文化」の観点から―」(『東洋文化』復刊106、2011年4月)

西周時代の事績を記した書籍であるにも関わらず、
これまで関心が低かった『逸周書』について分析。
中国で用いられている二重証拠法の危うさを指摘した上で、文章構造から『逸周書』の一部は、殷・西周の記憶をとどめており、最終的にまとめられた時期は春秋期以降であるとする。
そして、殷周史を「声の文化」の視点から考察した松井嘉徳氏の見解を紹介し、『逸周書』の内容も王朝内の口頭伝承で伝えられた可能性を指摘している。
また、中国人研究者に顕著にみられる殷周時代に既に史官が存在し、史書を編纂していたという認識の危うさを指摘している。

はじめての漢籍

東京大学東洋文化研究所図書室編『はじめての漢籍』(汲古書院、2011年5月)

東洋文化研究所図書室が2009年・2010年に行なった
「はじめての漢籍」講演会を書籍化したもの。
目次は以下のとおり。
大木康「漢籍とは?」
齋藤希史「漢籍を読む」
橋本秀美「初心者向け四部分類解説」
平勢隆郎「工具書について」
大木康「東京大学総合図書館の漢籍について」
石川洋「東京大学文学部漢籍コーナーの漢籍について」
小寺敦「東京大学東洋文化研究所の漢籍について」

個人的には石川洋氏の文学部漢籍コーナーの紹介がおもしろかった。文学部の組織の中での位置づけがよくわからないまま、現在までちゃんと機能している漢籍コーナーの実状が述べられている。

歴史の争奪

諸般の事情で五月は更新が滞ってしまいました……。
これからは、ぼちぼち更新していきたいと思います。

古畑徹「歴史の争奪―中韓高句麗歴史論争を例に―」(『メトロポリタン史学』6、2010年12月)

中国と韓国の学者・マスコミの間で論争になっている
高句麗の「帰属」問題の経緯をまとめている。
「中韓高句麗歴史論争のゆくえ」(弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房、2008年)の続編。

中国で2002年にはじまった「東北工程」の経緯や、
韓国側の学者・マスコミ・研究組織の反応・状況を述べ、
韓国側には「中国側の領土分割・民族分裂への警戒感に対する理解と配慮がないこと」、中国側には「高句麗が民族アイデンティティの根幹にかかわるという認識が欠如していること」を指摘。「民族感情に火がついた韓国側の方が明らかにヒートアップしている」とする。
そして、中国では両属論が台頭し、高句麗「争奪」から後退しているのにたいし、韓国では高句麗の「独占」をめざす方向に進んでいるとする。

現在の国民国家の枠組みに属さない存在の歴史を
どのように描くかということを考えさせる。

2011年5月7日土曜日

第2回国文研フォーラム

第2回国文研フォーラム
日時:2011年5月18日(水)15:30~16:30
場所:国文学研究資料館 2階オリエンテーション室

報告
陳捷「十九世紀後半における日中間の古典籍の移動について」

事前申し込み不要。
会場の関係で、先着20名まで。
報告要旨などは国文学研究資料館のHPをご参照ください。

2011年5月2日月曜日

西魏宇文泰政権の官制構造について

前島佳孝「西魏宇文泰政権の官制構造について」(『東洋史研究』69-4、2011年3月)

西魏の権力者であった宇文泰の官歴を詳細に分析し、従来等閑視されてきた西魏政権の官制構造に迫ったもの。宇文泰の官歴については、史料上の矛盾のため、諸説存在していましたが、本論文で解決されたと思います。

東アジアの記憶の場

板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔編著『東アジアの記憶の場』(河出書房新社、2011年4月)

1990年代以降の「記憶論的転回」(「記憶」を手がかりとした「歴史」叙述)を受け、ピエール・ノラ編『記憶の場』の理論的限界(特に植民地主義の問題)を踏まえた上で、「批判と連帯のための東アジア歴史フォーラム」の第二期で扱った〈東アジアの記憶の場〉をまとめたもの(パイロット版)。

目次は以下の通り
板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔「序文〈東アジアの記憶の場〉を探して」
〈古典古代の空間〉
李成市「三韓征伐」
金錫佑「関羽」
柳美那「孔子廟」
〈物語のダイナミクス〉
鄭智泳「孝女沈清」
三ツ井崇「三年峠」
〈ペルソナの断裂〉
金信貞「尹東柱」
板垣竜太「力道山」
〈風景の複層〉
駒込武「芝山岩」
テッサ・モーリス-スズキ「金剛山」
高木博志「桜」
〈身震いの経験〉
岩崎稔「アカ」
崔真磧「朝鮮人」
〈規律の反転〉
呉成哲「運動会」
板垣竜太「指紋」

序文でも書いてある通り、「東アジア」を銘打っておきながら、その殆どが日本・朝鮮半島の「記憶」に留まっているけれど、それをさしひいても、かなり面白かったです。単なる研究論文集ではなく、「記憶」と向き合った様子がうかがえました。今後も同様の試みが続いてほしいです。

2011年4月29日金曜日

内陸アジア出土古文献研究会6月例会

内陸アジア出土古文献研究会6月例会

日時:2011年6月4日(土) 14:00~18:00
場所:財団法人東洋文庫7階 第1・2会議室

報告
菊地淑子 「敦煌の陰氏をめぐる一考察」
中川原育子「キジル壁画における箔の使用とその意味-キジル摩耶窟の事例を中心に-」