2011年6月5日日曜日

歴史の争奪

諸般の事情で五月は更新が滞ってしまいました……。
これからは、ぼちぼち更新していきたいと思います。

古畑徹「歴史の争奪―中韓高句麗歴史論争を例に―」(『メトロポリタン史学』6、2010年12月)

中国と韓国の学者・マスコミの間で論争になっている
高句麗の「帰属」問題の経緯をまとめている。
「中韓高句麗歴史論争のゆくえ」(弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房、2008年)の続編。

中国で2002年にはじまった「東北工程」の経緯や、
韓国側の学者・マスコミ・研究組織の反応・状況を述べ、
韓国側には「中国側の領土分割・民族分裂への警戒感に対する理解と配慮がないこと」、中国側には「高句麗が民族アイデンティティの根幹にかかわるという認識が欠如していること」を指摘。「民族感情に火がついた韓国側の方が明らかにヒートアップしている」とする。
そして、中国では両属論が台頭し、高句麗「争奪」から後退しているのにたいし、韓国では高句麗の「独占」をめざす方向に進んでいるとする。

現在の国民国家の枠組みに属さない存在の歴史を
どのように描くかということを考えさせる。

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