高野義弘「逸周書研究序説―「声の文化」の観点から―」(『東洋文化』復刊106、2011年4月)
西周時代の事績を記した書籍であるにも関わらず、
これまで関心が低かった『逸周書』について分析。
中国で用いられている二重証拠法の危うさを指摘した上で、文章構造から『逸周書』の一部は、殷・西周の記憶をとどめており、最終的にまとめられた時期は春秋期以降であるとする。
そして、殷周史を「声の文化」の視点から考察した松井嘉徳氏の見解を紹介し、『逸周書』の内容も王朝内の口頭伝承で伝えられた可能性を指摘している。
また、中国人研究者に顕著にみられる殷周時代に既に史官が存在し、史書を編纂していたという認識の危うさを指摘している。
0 件のコメント:
コメントを投稿