2010年2月21日日曜日

歴史学者と国土意識

吉開将人「歴史学者と国土意識」(『シリーズ20世紀中国史2 近代性の構造』東京大学出版会、2009年8月)

ブックオフで偶然見かけて購入。
「中国の歴史学者たちがどのように歴史地図の編纂を志し,
いかなる国土意識を形作ったのかという点について」論じたもの。
1930年代の歴史地図編纂の試みから、
1982年に『中国歴史地図集』が完成するに至る過程を、
国内的要因(学術史的背景)と国際環境(日本の侵略)から分析。
「おわりに」では、現在の「高句麗史」帰属問題にも言及している。

普段何気なく使っている『中国歴史地図集』に
半世紀に及ぶ政治的背景が存在したとは。
歴史地図と政治が密接に関係していることを改めて実感しました。

2010年2月18日木曜日

戦国秦漢時代における塩鉄政策と国家的専制支配

柿沼陽平「戦国秦漢時代における塩鉄政策と国家的専制支配」(『史学雑誌』119-1、2010年1月)

これまで戦国秦漢時代の貨幣(銭・黄金・布帛)経済の展開について
研究を進めてきた柿沼氏が、民衆の必需品である塩・鉄に注目し、
戦国秦漢から武帝の専売制確立までの塩鉄政策の流れを分析。
研究蓄積の分厚い当該分野で、新知見を提出している。
すごい。

2010年2月16日火曜日

内陸アジア古文献研究会例会

内陸アジア出土古文献研究会2月例会
日時:2010年2月20日(土)14時30分~16時30分
会場:明治大学文学部共同演習室
宇都宮美生「隋唐洛陽城の大型穀倉と漕運―洛口倉・回洛倉・子羅倉および含嘉倉―」

2010年2月15日月曜日

『中国古代の専制国家と民間社会』

鷲尾祐子『中国古代の専制国家と民間社会―家族・風俗・公私』(立命館東洋史学会、2009年10月)

立命館東洋史学会叢書九。372頁もあって、わずか1500円。
まだ、序「専制国家と民間社会―諸説をふりかえって」を読んだだけだが、
ものすごく読み応えがありそう。
専制国家と民間社会、その接点にあたる家・戸を中心に分析している模様。
大きな問題に正面から取り組んでいる感じがします。

高村武幸氏の『漢代の地方官吏と地域社会』(汲古書院、2008年1月)の
総序のように、漢代のごく普通の人々の日常を明らかにすることを優先し、
あえて「理論的・総体的言及を意図的に避ける」と明言する姿勢もいいし、
鷲尾氏のように積極的に挑戦するのもいいと思う。

自分はというと、大して考えてもないのに、形だけまねてしまって、
どっちつかずの中途半端な代物になってしまいそうな気がします……。

後頭部


猫の後頭部。
なんかちょっとあほっぽいのがいい感じ。

2010年2月11日木曜日

泉太郎個展


ちょっと前のことになりますが、
泉太郎の個展「くじらのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」に行ってきました。
横浜の「日常/場違い」展で、泉太郎の作品が気になったので、
調べてみたら、ちょうど個展が開催されていることが判明。
ついつい見に行ってしまいました。


場所は浅草。アサヒアートスクエア4階・5階。
会場に入った途端、おもちゃ箱をひっくりかえしたような風景が広がっている。


何だろうと思ってみてみると……、すごろく?


大画面の映像を見てみると、
どうやら、マス目に書かれたことを実際にやるというすごろくらしい。
フトルに止まれば、腹に布を詰め込んで太る。


双六の中身をくまなくチェックしたり、大画面の映像を見たり、
その他のちょっとした映像作品(巻尺を褒める・けなす作品など)を
見たりしているうちに、ちょっと不気味なうさぎが登場し、
実際にすごろくがはじまった。


イロに止まれば、イロを塗り、
ヌルヌルに止まれば、スライムを塗り、
ドロに止まれば、ドロを塗る。


テープを巻いたり、泣いたり、耳を切ってパスしたり、
檻に入ってライオンのまねしたり。
最終的には、こんな感じ。もう、何が何だか。



面白いといえば、相当面白かったのだけど、
なんだかざわざわする感じ。
画面でみると、かなりユーモラスなのに、
実際見ると、生々しくて、ちょっとグロテスクな感じがしてしまった。
たまたま、止まったマスがわるかったのかも。
でも、その生々しさ・不気味さも含めて、アートなんだろうなぁ。
今度、どこかの展示で、スゴロクやってる映像をみてみたいです。

楊福東「将軍的微笑」


原美術館で開催されているヤン・フードン(楊福東)の
個展「将軍的微笑」に行ってきました。

ヤン・フードンは、中国の映像アートの中で高評価を受けている人物。
2005年の「フォロー・ミー!新しい世紀の中国現代美術」(森美術館)や、
2008年の「アヴァンギャルド・チャイナ」(国立新美術館)にも出展していた。
でも、個人的には、これまであまりピンとこなかった。
今回、個展が開かれるということで、再チャレンジしてみることに。


展示作品は全部で6点。全て映像作品で、最短は7分ほど、最長は53分。
「将軍的微笑」は、長机がそのまま画面になっていて、
パーティーの食事風景が映し出されている。
その周りには、たくさんの若い女性の姿や、老人(将軍)の独白、
ピアノをひく老人などが、ところせましと映し出されている。
部屋に入った瞬間のインパクトがかっこいい。老人の奏でるピアノとも合ってるし。

「青麒麟」は、真っ白の部屋の中に、10画面程の石の採掘場の風景と、
5画面のまるで英雄の肖像画のように微動だにしない直立不動の労働者が、
映しだされている。これまた部屋に入った瞬間のインパクトがすごい。

魏晋時代の竹林の七賢にインスピレーションを得て作られた
「竹林の七賢人 パート3」(53分)は、1930年代風の服装の若者7人が、
山村の棚田で寝起きし、農作を行ったり、牛の世話をしたり、
恋愛っぽいことしたりするアンニュイでシュールな雰囲気の映像。
ストーリはあるようなないような(多分、大まかにはあるのだろうけど)。


映像を大体全部みたので、かなり見応えあった。合計2時間以上滞在してたし。
確かにかっこいいし、映像も綺麗だし、評価が高いのもうなづける。
でも、やっぱり、面白いとは思えなかった。う~ん、残念。
多分、楊福東の問題でも、原美術館の展示の問題でもなく、
僕個人の好みの問題なのだと思う。

暗喩や象徴が込められていると思うのだけど、
それを読み解くコードがよくわからないもどかしさ。
無声・白黒といった音色の情報量の少なさと、
時間軸の入れ替えや似た映像の繰り返し。
手法としては有りだと思うけど、ちょっとついていけなかった。
単純に映像美を楽しめばいいのだろうけど、
それにしては思わせぶりすぎる。

映像作品は、もっとシンプルでユーモラスなのがいいなぁ。

ただ、これはあくまで個人的感想であって、
多分、ものすごくいいと感じる人も多いはず。
実際、かっこいいとは思ったし。


2010年3月28日(日)まで原美術館で開催中。
開館時間:11時~17時(水曜のみ20時まで)
休館日:月曜日・3月23日

2010年2月8日月曜日

遼に関する講演会

山形大学で遼に関する講演会が開かれます。
日時:2010年2月15日(月)14:40~16:10
会場:山形大学人文学部101教室(1号館)

董新林「遼代の祖陵(耶律阿保機陵)および上京城址の発見と研究」
通訳:佐川正敏

2010年2月6日土曜日

知識は東アジアの海を渡った

学習院大学東洋文化研究所編『知識は東アジアの海を渡った―学習院大学コレクションの世界―』(丸善プラネット株式会社、2010年1月)

丸善丸の内本店ギャラリーで開催されていた
展覧会「知識は東アジアの海を渡った」に行こうと思っていたのに、
ふと気づいたらもう終わってました。残念。
図録が新刊書店に出てたので、せっかくだから買いました。
全編フルカラーで、85点の漢籍・資料の解題とコラム、
学習院大学内の文庫や在籍していた東洋学関係者の紹介などが載っている。
さすが学習院。華族からの寄贈がすごい。

2010年2月5日金曜日

史林の書評

丸橋充拓「David A.Graff Medieval Chinese Warfare,300-900」(『史林』93-1、2010年1月)

2002年出版のデイビット・A・グラフ著『中世中国の戦争300~900』の書評。
この本は日本・中国で研究があまり多くない南北朝隋唐期の軍事史の研究書。
政治過程や制度的背景については、新知見はあまりないようだが、
戦争の経緯や軍事的諸要素の分析に興味深い点が多いようだ。
書評を読む限り、かなり面白そう。ぜひ日本語訳がでてほしいなぁ。