上田新也「ベトナム黎鄭政権の官僚機構―18世紀の鄭王府と差遣―」(『東洋学報』91-2、2009年9月)
18世紀のベトナム黎朝における権力二重構造(黎朝皇帝と鄭王)について分析。
黎朝前期の官僚体系を維持しつつ、鄭王府系組織が政治の実権を掌握。
黎朝系組織の形骸化が進行したのにともない、
黎朝の官職を帯びつつ、鄭王府へ差遣されるようになり、
黎朝の官職は散官化しつつあった。
しかし、王朝の正統性はあくまで黎朝に求められたため、
黎朝系官職は廃止されず、 差遣が活用され続けた。
「おわりに」では、黎鄭政権を日本の幕藩体制と比較する視座を提供している。
権力の二重構造は時代・地域が異なっても存在する問題であり、
とても興味深く、おおいに参考になった。
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