高野義弘「逸周書研究序説―「声の文化」の観点から―」(『東洋文化』復刊106、2011年4月)
西周時代の事績を記した書籍であるにも関わらず、
これまで関心が低かった『逸周書』について分析。
中国で用いられている二重証拠法の危うさを指摘した上で、文章構造から『逸周書』の一部は、殷・西周の記憶をとどめており、最終的にまとめられた時期は春秋期以降であるとする。
そして、殷周史を「声の文化」の視点から考察した松井嘉徳氏の見解を紹介し、『逸周書』の内容も王朝内の口頭伝承で伝えられた可能性を指摘している。
また、中国人研究者に顕著にみられる殷周時代に既に史官が存在し、史書を編纂していたという認識の危うさを指摘している。
2011年6月5日日曜日
はじめての漢籍
東京大学東洋文化研究所図書室編『はじめての漢籍』(汲古書院、2011年5月)
東洋文化研究所図書室が2009年・2010年に行なった
「はじめての漢籍」講演会を書籍化したもの。
目次は以下のとおり。
大木康「漢籍とは?」
齋藤希史「漢籍を読む」
橋本秀美「初心者向け四部分類解説」
平勢隆郎「工具書について」
大木康「東京大学総合図書館の漢籍について」
石川洋「東京大学文学部漢籍コーナーの漢籍について」
小寺敦「東京大学東洋文化研究所の漢籍について」
個人的には石川洋氏の文学部漢籍コーナーの紹介がおもしろかった。文学部の組織の中での位置づけがよくわからないまま、現在までちゃんと機能している漢籍コーナーの実状が述べられている。
東洋文化研究所図書室が2009年・2010年に行なった
「はじめての漢籍」講演会を書籍化したもの。
目次は以下のとおり。
大木康「漢籍とは?」
齋藤希史「漢籍を読む」
橋本秀美「初心者向け四部分類解説」
平勢隆郎「工具書について」
大木康「東京大学総合図書館の漢籍について」
石川洋「東京大学文学部漢籍コーナーの漢籍について」
小寺敦「東京大学東洋文化研究所の漢籍について」
個人的には石川洋氏の文学部漢籍コーナーの紹介がおもしろかった。文学部の組織の中での位置づけがよくわからないまま、現在までちゃんと機能している漢籍コーナーの実状が述べられている。
歴史の争奪
諸般の事情で五月は更新が滞ってしまいました……。
これからは、ぼちぼち更新していきたいと思います。
古畑徹「歴史の争奪―中韓高句麗歴史論争を例に―」(『メトロポリタン史学』6、2010年12月)
中国と韓国の学者・マスコミの間で論争になっている
高句麗の「帰属」問題の経緯をまとめている。
「中韓高句麗歴史論争のゆくえ」(弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房、2008年)の続編。
中国で2002年にはじまった「東北工程」の経緯や、
韓国側の学者・マスコミ・研究組織の反応・状況を述べ、
韓国側には「中国側の領土分割・民族分裂への警戒感に対する理解と配慮がないこと」、中国側には「高句麗が民族アイデンティティの根幹にかかわるという認識が欠如していること」を指摘。「民族感情に火がついた韓国側の方が明らかにヒートアップしている」とする。
そして、中国では両属論が台頭し、高句麗「争奪」から後退しているのにたいし、韓国では高句麗の「独占」をめざす方向に進んでいるとする。
現在の国民国家の枠組みに属さない存在の歴史を
どのように描くかということを考えさせる。
これからは、ぼちぼち更新していきたいと思います。
古畑徹「歴史の争奪―中韓高句麗歴史論争を例に―」(『メトロポリタン史学』6、2010年12月)
中国と韓国の学者・マスコミの間で論争になっている
高句麗の「帰属」問題の経緯をまとめている。
「中韓高句麗歴史論争のゆくえ」(弁納才一・鶴園裕編『東アジア共生の歴史的基礎』御茶の水書房、2008年)の続編。
中国で2002年にはじまった「東北工程」の経緯や、
韓国側の学者・マスコミ・研究組織の反応・状況を述べ、
韓国側には「中国側の領土分割・民族分裂への警戒感に対する理解と配慮がないこと」、中国側には「高句麗が民族アイデンティティの根幹にかかわるという認識が欠如していること」を指摘。「民族感情に火がついた韓国側の方が明らかにヒートアップしている」とする。
そして、中国では両属論が台頭し、高句麗「争奪」から後退しているのにたいし、韓国では高句麗の「独占」をめざす方向に進んでいるとする。
現在の国民国家の枠組みに属さない存在の歴史を
どのように描くかということを考えさせる。
2011年5月7日土曜日
第2回国文研フォーラム
第2回国文研フォーラム
日時:2011年5月18日(水)15:30~16:30
場所:国文学研究資料館 2階オリエンテーション室
報告
陳捷「十九世紀後半における日中間の古典籍の移動について」
事前申し込み不要。
会場の関係で、先着20名まで。
報告要旨などは国文学研究資料館のHPをご参照ください。
日時:2011年5月18日(水)15:30~16:30
場所:国文学研究資料館 2階オリエンテーション室
報告
陳捷「十九世紀後半における日中間の古典籍の移動について」
事前申し込み不要。
会場の関係で、先着20名まで。
報告要旨などは国文学研究資料館のHPをご参照ください。
2011年5月2日月曜日
西魏宇文泰政権の官制構造について
前島佳孝「西魏宇文泰政権の官制構造について」(『東洋史研究』69-4、2011年3月)
西魏の権力者であった宇文泰の官歴を詳細に分析し、従来等閑視されてきた西魏政権の官制構造に迫ったもの。宇文泰の官歴については、史料上の矛盾のため、諸説存在していましたが、本論文で解決されたと思います。
西魏の権力者であった宇文泰の官歴を詳細に分析し、従来等閑視されてきた西魏政権の官制構造に迫ったもの。宇文泰の官歴については、史料上の矛盾のため、諸説存在していましたが、本論文で解決されたと思います。
東アジアの記憶の場
板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔編著『東アジアの記憶の場』(河出書房新社、2011年4月)
1990年代以降の「記憶論的転回」(「記憶」を手がかりとした「歴史」叙述)を受け、ピエール・ノラ編『記憶の場』の理論的限界(特に植民地主義の問題)を踏まえた上で、「批判と連帯のための東アジア歴史フォーラム」の第二期で扱った〈東アジアの記憶の場〉をまとめたもの(パイロット版)。
目次は以下の通り
板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔「序文〈東アジアの記憶の場〉を探して」
〈古典古代の空間〉
李成市「三韓征伐」
金錫佑「関羽」
柳美那「孔子廟」
〈物語のダイナミクス〉
鄭智泳「孝女沈清」
三ツ井崇「三年峠」
〈ペルソナの断裂〉
金信貞「尹東柱」
板垣竜太「力道山」
〈風景の複層〉
駒込武「芝山岩」
テッサ・モーリス-スズキ「金剛山」
高木博志「桜」
〈身震いの経験〉
岩崎稔「アカ」
崔真磧「朝鮮人」
〈規律の反転〉
呉成哲「運動会」
板垣竜太「指紋」
序文でも書いてある通り、「東アジア」を銘打っておきながら、その殆どが日本・朝鮮半島の「記憶」に留まっているけれど、それをさしひいても、かなり面白かったです。単なる研究論文集ではなく、「記憶」と向き合った様子がうかがえました。今後も同様の試みが続いてほしいです。
1990年代以降の「記憶論的転回」(「記憶」を手がかりとした「歴史」叙述)を受け、ピエール・ノラ編『記憶の場』の理論的限界(特に植民地主義の問題)を踏まえた上で、「批判と連帯のための東アジア歴史フォーラム」の第二期で扱った〈東アジアの記憶の場〉をまとめたもの(パイロット版)。
目次は以下の通り
板垣竜太・鄭智泳・岩崎稔「序文〈東アジアの記憶の場〉を探して」
〈古典古代の空間〉
李成市「三韓征伐」
金錫佑「関羽」
柳美那「孔子廟」
〈物語のダイナミクス〉
鄭智泳「孝女沈清」
三ツ井崇「三年峠」
〈ペルソナの断裂〉
金信貞「尹東柱」
板垣竜太「力道山」
〈風景の複層〉
駒込武「芝山岩」
テッサ・モーリス-スズキ「金剛山」
高木博志「桜」
〈身震いの経験〉
岩崎稔「アカ」
崔真磧「朝鮮人」
〈規律の反転〉
呉成哲「運動会」
板垣竜太「指紋」
序文でも書いてある通り、「東アジア」を銘打っておきながら、その殆どが日本・朝鮮半島の「記憶」に留まっているけれど、それをさしひいても、かなり面白かったです。単なる研究論文集ではなく、「記憶」と向き合った様子がうかがえました。今後も同様の試みが続いてほしいです。
2011年4月29日金曜日
内陸アジア出土古文献研究会6月例会
内陸アジア出土古文献研究会6月例会
日時:2011年6月4日(土) 14:00~18:00
場所:財団法人東洋文庫7階 第1・2会議室
報告
菊地淑子 「敦煌の陰氏をめぐる一考察」
中川原育子「キジル壁画における箔の使用とその意味-キジル摩耶窟の事例を中心に-」
日時:2011年6月4日(土) 14:00~18:00
場所:財団法人東洋文庫7階 第1・2会議室
報告
菊地淑子 「敦煌の陰氏をめぐる一考察」
中川原育子「キジル壁画における箔の使用とその意味-キジル摩耶窟の事例を中心に-」
2011年4月24日日曜日
第104回訓点語学会研究発表会
第104回 訓点語学会研究発表会
日時:2011年5月22日(日)
場所:京都大学文学部(第3講義室)
報告:午前の部 10時30分~
賈智「『新訳華厳経音義私記』所引の楷書字書について― 用例の採集と考察 ―」
アルベリッツィ、ヴァレリオ・ルイジ「書記言語の観点から見た文体記述研究の可能性について―興福寺本『日本国現報善悪霊異記』の場合―」
報告:午後の部 13時30分~
大坪併治「古訓三題「〓カタヒラ・依ヨスキ・逮ウ」について」
是澤範三「台湾大学図書館蔵圓威本『日本書紀』の声点と資料的位置づけについて」
土居文人「語源辞書『和句解』見出し語の依拠資料― 易林本系節用集との比較 ―」
稲垣信子「北大津「音義木簡」成立年代存疑」
石井行雄・當山日出夫「園城寺『弥勒経疏』の訓点について―角筆・白点・朱点をめぐって―」
小助川貞次「漢文文献の階層構造(注釈構造)と朱点との関係について」
日時:2011年5月22日(日)
場所:京都大学文学部(第3講義室)
報告:午前の部 10時30分~
賈智「『新訳華厳経音義私記』所引の楷書字書について― 用例の採集と考察 ―」
アルベリッツィ、ヴァレリオ・ルイジ「書記言語の観点から見た文体記述研究の可能性について―興福寺本『日本国現報善悪霊異記』の場合―」
報告:午後の部 13時30分~
大坪併治「古訓三題「〓カタヒラ・依ヨスキ・逮ウ」について」
是澤範三「台湾大学図書館蔵圓威本『日本書紀』の声点と資料的位置づけについて」
土居文人「語源辞書『和句解』見出し語の依拠資料― 易林本系節用集との比較 ―」
稲垣信子「北大津「音義木簡」成立年代存疑」
石井行雄・當山日出夫「園城寺『弥勒経疏』の訓点について―角筆・白点・朱点をめぐって―」
小助川貞次「漢文文献の階層構造(注釈構造)と朱点との関係について」
2011年4月23日土曜日
魏晋南北朝時代の服飾制度
小林聡「漢唐間の礼制と公的服飾制度に関する研究序説」(『埼玉大学紀要教育学部』58-2、2009年9月)
小林聡「朝服制度の行方―曹魏~五胡東晋時代における出土文物を中心として―」(『埼玉大学紀要教育学部』別冊(1)59-1、2010年3月)
小林聡「北朝時代における公的服飾制度の諸相―朝服制度を中心に―」(『大正大学東洋史研究』3、2010年4月)
今まで見落としていたので、3本一気に読みました
「漢唐間の~」は、文献史料と出土史料を用いて、魏晋南北朝隋唐の服飾制度変容のアウトラインを描き、さらに東アジア(高句麗・倭)への服飾制度の伝播も視野に入れています。
「朝服制度の行方」では、曹魏から五胡東晋期の朝服制度の変容を明らかにし、「北朝時代における~」では、北魏の服制改革や北朝独自の服制について検討しています。
なお、「漢唐間の~」と「朝服制度の行方」は、
学術情報発信システムSUCRAからダウンロードできます。
小林聡「朝服制度の行方―曹魏~五胡東晋時代における出土文物を中心として―」(『埼玉大学紀要教育学部』別冊(1)59-1、2010年3月)
小林聡「北朝時代における公的服飾制度の諸相―朝服制度を中心に―」(『大正大学東洋史研究』3、2010年4月)
今まで見落としていたので、3本一気に読みました
「漢唐間の~」は、文献史料と出土史料を用いて、魏晋南北朝隋唐の服飾制度変容のアウトラインを描き、さらに東アジア(高句麗・倭)への服飾制度の伝播も視野に入れています。
「朝服制度の行方」では、曹魏から五胡東晋期の朝服制度の変容を明らかにし、「北朝時代における~」では、北魏の服制改革や北朝独自の服制について検討しています。
なお、「漢唐間の~」と「朝服制度の行方」は、
学術情報発信システムSUCRAからダウンロードできます。
2011年4月20日水曜日
六朝学術学会第23回例会
六朝学術学会・第23回例会
日時:2011年5月21日(土)午後1時~5時
場所:二松学舎大学九段校舎11階会議室
会場費:500円
発表(報告)
冨田絵美「正月十五日の行事について」
栗山雅央「「魏都賦」旧注に見える特徴について―「三都賦」劉逵注との比較を通して」
齋藤希史「遠望と遐想──六朝文学の主題として」
日時:2011年5月21日(土)午後1時~5時
場所:二松学舎大学九段校舎11階会議室
会場費:500円
発表(報告)
冨田絵美「正月十五日の行事について」
栗山雅央「「魏都賦」旧注に見える特徴について―「三都賦」劉逵注との比較を通して」
齋藤希史「遠望と遐想──六朝文学の主題として」
登録:
投稿 (Atom)
